クーデター倶楽部 2026年3月度 03.03

クーデター倶楽部

議題 第3章 現状の課題と対策

項目2-4 教育3=生産性を上げる為に

日本の企業は生産性が低いと言われています。

⑴ 長時間労働=頑張っている、という価値観 長く働くこと自体が評価されがちで成果よりプロセス重視に成り易いので、時間当たりの付加価値が上がりにくい。   1会議が会議が長い         2.決済に時間がかかる        3.とりあえず文化                            ⑵ 意思決定が遅い=合議制・稟議制                                               1.根回し              2全員一致             3.責任所在が曖昧                                   ⑶ IT・デジタル化の遅れ=既得権益関係者による抵抗 1. システム現場が属人化      2.システム投資をコストと見がち  3.中小企業ほどDX投資に余力が無い            .. ⑷ 雇用慣行=終身雇用(メンバーシップ型)による雇用の安定が労働意欲育成に壁になる                       1.人材の流動性が低い  2.スペシャリストが育ちにくい  3.成果と報酬が結び付きにくい  4.人件費の増加と生産性低下

日本企業は会議ばかり無駄に多く、部下は会議の為の会議や資料作りに無駄な残業をし、結果よりも全員合議で決めたという事が重要視されるのです。業務を効率化するための部下からのAIやDXの新規提案にはまず否定から入ります。何故なら自分が知らない知識には拒否反応を示すからです。結果、日本の企業は大手から中小まで古い頭のTOP企業は掛け声ばかりで生産性が上がらないのです。生産性が低いのは完全に役員達の責任です。時代の最先端情報を把握し、企業経営にどう活用するか判断すべき立場の人達が旧態然としたやり方に固執し、責任逃れの為の会議を多く開催し合議制・稟議制による責任分散を図っているからこそ、決済が遅く、結果に対しての対応策が皆無でものほほんとしていられるのです

一方で若い世代やスタートアップは成果主義で、高い生産性を誇っています。またリモートや副業で働き方に多様性を持たせ、社員のモチベーションアップに繋げているのです。利益が予定以上であれば社員に株として還元し、優秀な人材の引き留めや確保も進んでいます。更に本気でAIやDXを進める企業は生産性が高い状況です。それは「やってもやらなくても給料は一緒」ではなく、既定の業務を規定期間内に完了できれば残った時間は自由に使えるという体制があるからです。余った時間で更に業務を遂行企業からして将来企業に残って貰い管理職としてやって貰った方が行無効率が更に上がるだろうと判断し、査定不応化が上がるのです。

要するに古い仕組みを引きずっている企業の生産性が上がらないのです。横並びの給料に縛られるが故、残業してお金を稼ごうとしてきたのです。近年、お金よりも自分のライフスタイルを優先する若手が増え、残業をしない傾向が強まっています。結果、企業がジョブ型で課題を出さない限り、経費は膨らんでいくのに生産性は上がらないのです。しかし大企業でジョブ型を早期に導入することは現場に混乱を招くだけで難しいでしょう。導入に伴う明確な組織制度の確立・社員の明確な業務割り当て・一定期間の査定評価の為の目標値設定、そして何よりも全社員のジョブ型労働への認識の浸透が絶対必須条件となります。達成の為には最低でも1年ほどの準備期間が必要でしょう。

また、日本の企業の多くは業務遂行のノウハウが残念ながら個人に所属し、部全体で共有化されることは極めて稀でした。AI化やDX化はそれらの部員への共有化を助ける素晴らしいシステムにも拘わらず、上層部は積極的に導入や活用化を行ってきませんでした。企業の貴重な業務ノウハウが個人に属し会社全体で共有化されていないことの重要さや価値の損失に気付く人材は居なかったのでしょうか?TVコマーシャルで営業先の連絡を取れる人材探しに、名刺共有システムでいとも簡単にルートが創れるというのがありました。正にこのような現場サイドのサポート役を行うのがAI化やDX化の真骨頂で、大それたデータベース管理や営業成績表の構築だけがAI化やDX化の目的では無いのです。企業内で埋もれている企業価値や営業価値を見つけ連結且つ連動し、共有化することで効率的に使うのが真の目的なのです。
また小売業・サービス業ではマニュアルによる教育が盛んで、まずマニュアルを覚えることが唯一且つ最大の教育とばかり行われてきました。しかし多様化した消費者ニーズに対応する為にはマニュアル通りでは対応できません。昨今クレイマーと称する自分勝手な常識のない輩が増えています。直ぐに上司を呼び頼るのではなく、自分自身で対応できる能力が求められているのです。故に今一番に企業が行うべきは社員のスキルアップなのです。マニュアルの効率化はAI導入やDX推進で十分可能ですが、店頭販売員の育成やバイヤーのスキルアップはAIではできません。その為には従来のメンバーシップ型雇用と新たにジョブ型の導入した混合型の組織構築が不可欠になります。販売員のジョブ型は売り上げ達成度・顧客獲得(カード獲得)数・来店頻度向上・指名制度・来店予約制度等の成果表を創り、役員にまで成れるシステムを構築すべきでしょう。バイヤーのジョブ型は新規ブランド発掘数、買取数/販売数、利益率、利益額等で成果を判断する評価システム構築が急がれます。人/総/経の後方部門はAIやDXの早期導入による業務改革を大至急行うべきです。後方部門の人員は少しでも削減し効率化を図るべきです。AI化やDX化の費用は無駄な人件費に比べたら大したことではなく、人についている業務から誰でもできる平準化は業務を飛躍的に向上させます

同時に即戦力としてジョブ型専門職として中途採用の強化が求められています。現在インスタやユーチューブに写真や動画を上げる世代は自分の趣味としての領域を超えて、プロ級の情報力とセンスを持っています。彼らはスポンサーや視聴者からの援助で生活しています。有名になると数千万円もの大金を払って企業と契約を結びますが成果は出せていません。それは単なるコンサル契約であり、資料提供や情報提供で終わっているからです。そうではなく、実際に社員として実務を担当させ、結果を求めることが求められます。特に百貨店などの小売業では接客が命になります。マニュアル通りの接客だけでは顧客の購買意欲を掻き立てることはできません。マニュアル自体も素材や産地などの製品知識ばかりで、肝心の商品情報は教えていません。※1 商品情報は実際販売する本人が実際に商品を使ってみて、試着してみて、試食してみて、この商品はどのように使えば一番良いか理解できるものだからです。中途採用は即戦力であるばかりでなく、他社での経験を自社に取り込み・提案することでより良い組織や業務効率化が期待できます。中途採用者に対しては一般とは異なる給与体系を開発する必要が生じます。彼等は現場に興味がわかない、仕事内容が自分のレベルアップに繋がらない、貢献に対して収入が少ない、等の理由で他企業へ簡単に移動する可能性があります。所謂中途採用者の昇給制度、半期に一度の成績結果(売上高・獲得顧客名簿・ネット連絡先.指名頻度。商品知識など)査定制度などが一般社員より高くて当たり前であります。更には半期毎の成果に対するボーナス制度も新設されるべきです。
小売業全般の衰退はかなり根の深い課題なのです。一個人商店の話ではなく、国の制度として語られるものなのです。

クーデター俱楽部 2026年2月  02.22  

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議題 第3章 現状の課題と対策

項目2-4 教育2

あらゆる業種で人手不足が深刻化しています。

原因として老齢化や後継者不足による廃業、収入不足や不安定さ、長時間の拘束や少ない休み、等が指摘されています。また、中途退社する新人も近年急上昇しています。この原因としては自分が希望した職種や業務内容が余りにも想像と乖離している事、年功序列型の弊害で、新しいチャレンジを提案しても全く上司は聞く耳を持たない、きちんと業務を体系立てて教えてもらえない、等の声が多く聞かれます。更に技能系の職種では後継者問題が深刻で所謂職人が急速に減り始めています。原因の一つに職業的に収入が少ないことが挙げられます。ドイツではマイスター制度が整備され、将来の進路が職人化ホワイトカラーか中学生から選択でき、その道を進むに国家が保護保証しているのです。我が国でも職業専門高等学校がありますが、就職率は大変高いですがモノ創りが専門なので、工業系中心で所謂サービス系職人は育成されていません。特に飲食系職人は私立の学校へ行く道しかはありませんし、資格制度や身分制度が無い為将来の収入の保証が全くない状況です。サービス業種ではこのような技能を判定する仕組みや発想すらないのが現状です。

大企業はいとも簡単に外国人労働力を充てにしようとしていますが、早期に移民政策を推進した欧州の現状はどうでしょう。トルコからの移民を大量に許したドイツの都市部では犯罪が激増し、オランダのアムステルダムでは市民の70%が移民という状況です。パリは国際色豊かな犯罪都市化し、ロンドンはごみの街に変貌しました。きちんとした法整備や管理体制無くしての安易な移民政策は経団連に参加している大企業の目先の利益確保の道具と化し、一般民には何の恩恵も持たらさないばかりか害しか残さないでしょう。

国内に可能な労働力は存在しないのでしょうか。否。今一番期待されているのは女子労働力だと思います。女子の労働参加には法律的に制度が未設定な課題は多く、課税の壁問題(所得税・住民税・社会保険)や、子供の保育所数の問題や保育援助の問題など多々存在します。また産休の問題も女子のキャリア化に大きく影を落としています。こういった縛りが無くなれば女子労働力の増加や活性化が期待されうるのです。しかし、最も大事な問題点は、今までの景気が良くなれば形振り構わず社員やパート社員にアルバイトを雇用し、景気が悪化すればいとも簡単に切り捨てるという企業姿勢です。単純作業はAI化し、流行りの超短時間隙間バイトで埋めることが可能となっている今日、多様な働き方スタイルを企業は提案するべきです。同時に女子のサービス業における技量を国家資格で保護すべきです。左様に、サービス業種での技能を国家資格化することは早急に必要でしょう

一方大手企業内では労働力は余っています。

旧来の年功序列型で採用された社員達は中年を過ぎて時代の変化についてゆけず、新時代のテクノロジーなどを駆使するどころか新しい知識や時代の流れを否定し、自分の理解できる範疇でのみ時代を判断するので全く新しい時代の働き方や、仕事の進め方、に馴染めないのです。結果、判断できない中間管理職として若手の業務の妨げとなる存在となってしまっているのです。企業も業績の厚情に寄与しない中間職を早く排除したくて早期退職を促しますが、実力のある者ほど早期に転職し、残った者は休まず・遅れず・働かずという昭和の役人と同じくのうのうと過ごすばかりです。しかし彼等も決して現状に満足しているのではありません。彼等は実はまだまだ活躍したいと願っているのですが、その方法がわからないでいるのです。企業も早く辞めてほしいと感触へ配置転換したり、転勤させたり意味のない行動に走っているだけで、彼等を活用する方策を検討すらしていないのが現状です。

それ故、企業が「リスキニング」を行い、眠っている人材を再活用することは最優先課題の一つであります。人事部は社員の生産性向上や社員の新しいスキル獲得へ向け、外部コンサルタントへ多額の費用を払って無駄な空論をありがたがって聞くのではなく、自ら社員を教育するという本来業務に戻るべきなのであります。能力を発揮できず腐っている人材を如何に活用するか、単に再教育するだけではなく、組織を改革し、給与体系を再構築し、社員のやる気と能力に対応する新しい組織と人事体系を構築すべきです。同時に新人教育にも総花的な教育ではなく、専門的なスキルを中心とした所謂専門職教育を行うべきしょう。ジョブ型システムを導入を前提とした移行期にあるという認識をする時期でしょう。

中高年社員にはそれまでの経験があります。それを経験を現在にどのように活かせるか。若手と一緒に改善策・効率化策を提案できるか。その為に必要なAI技術やDXの実施方法を学ばせることが必要になります。中途半端な教育ではなく、生き残りを賭けて必死に勉強してもらわねばなりません。当然結果を出す人材は評価を上げ、出せない人材は評価を下げる査定システムを構築します。その際、組合が四の五の言う企業があるでしょうが、TOP自らが組合と直談判してでも社員のやる気とそれに繋がる業務見直しであることを理解させなければなりません。「皆で渡れば怖くない」とばかり現状に居座る組合は必要ないのです。

クーデター倶楽部 2025年7月 07.31 

クーデター倶楽部

第3章 現状の課題と対策

項目2-3 組織

我が国の企業組織といえば新卒一括採用、終身雇用、ジョブローテーションによる出世型、プロフェッショナルを育てるよりかはゼネラリストを育成するのに向いた組織です(メンバーシップ型)。しかしここ数年、これでは硬直した組織の立て直しや、時代に即応できる人材が育成できず、スピード感を以て専門課題に取り組むことが難しくなってきています。専門職のプロには幅広い知識と深い判断力が求められていますが、現状のメンバーシップ型ではプロが育ちにくく、自社の独自性が発揮できず同業他社と同質化する傾向があります。IT技術が企業活性化の原動力となる現代、自動車自動車メーカーから百貨店・スーパーに至る迄、戦後の日本型企業組織はその機能を享受するには充分とは言えないものになってしまいました。

まず通常の業務にIT機能を導入する部署の設立が不可欠ではありますが、部署を創設するだけでは効率的な組織へと改善できる訳ではありません。現状の組織上の問題点や運用上の問題点を明確にする必要があります。その為には何の為にITを導入し、何を目的とするかを明確に掲げる必要があります。基本的には生産性を上げるためといわれますが、自社の生産性を上げ、効率的な業務へ改善するために必要な事柄を全て確認し、それを一つ一つ改善する為に何が必要がか明確にすることが先ず求められます。更に最も重要な事は組織を運営する社員(および経営層)の意識改革です。新たなソフトを導入したり機械化したり、作業効率を上げるといっただけではだめなのです。それには社員から『どうすれば作業効率が上がるか』といった現状の作業をどうしたいか、どうすれば生産性が上がるかを現場から見直すことが重要なのです。しかし間違えてはいけないのはイレギュラーな、又は稀な事例や案件迄対応しようとするとソフトが重くなったり、ほとんど使われないものがソフトが多量になり結局複雑且つ高額なものになってしまうのです。これは注意すべき点です。

百貨店では利益が薄い事業構造故、売上が下がると人件費に手を付け利益改善を図る構図が永年続けられてきた結果、後方部門では人が余り、店頭では人手不足といういびつな構図になっています。消化仕入れ拡大により店頭人員が要らなくなったことが最大の要因ですが、正社員はは非正社員や派遣社員の監督指導等が主たる業務になったり、会議の為の会議資料作成や、中間管理職の保身の為の膨大な手元資料を作成するため、本来業務が疎かになり、日本企業特有のピラミッド型組織に意思決定を求めていく方法においては現場としての有効な意見具申ができず、経営判断に大いなる支障が出ていると言わざるを得ません。可もなく不可もない業務では優秀な人材が流出し、サラリーマン的な作業で満足する人材のみが残る傾向が大企業から中小企業まで広がっています。

ピラミッド型に意思決定を上に上げていく方法では、役員が現代のIT技術やAI活用の為の基本知識に欠けるため、新規案件は否定されているのが現実です。また決済を望む案件も中間管理職が自己保身の為、成果を上げるためのリスクを嫌がり、その時点で上程を止めるか忖度して、前年踏襲主義で可もなく不可もない案件に修正されてしまうことが多々あります。結果企業は前年踏襲型の安全な政策しか採らず、時代に世界に、消費者に置いて行かれてしまうのです。

かと言って全面的にジョブ型が良いかは業種によります。幅広い知識が管理者に求められたり、異業態や異業種迄知識を求められる業種にはメンバーシップ型が良いですが、細かく業務内容を見るとジョブ型が不可欠な職種も多数存在します。百貨店やスーパーでは現場に特化したジョブ型(プロ販売員)が不可欠ですが、どうしても企画部とか宣伝部とか言った部署より格下に思われ、賃金や昇格も遅いのが現状です。それ故評価制度も厳格化し、現場や後方の賃金&昇給格差をなくす政策が求められます。昔提案して一蹴されたのですが、百貨店販売員の役員が居ても良い、いや必要なのではと提案しましたが笑らわれて終わりました。しかし新入社員が偉そうに百戦錬磨の販売員(そのほとんどが派遣社員ですが)の前で演説をぶっても誰も聞かないのは当たり前のことです。戦略を立てる部門はメンバーシップ型とジョブ型が同居した部署が最適で、現場はジョブ型が最適だと思われます。

それに加えて即戦力を確保するという意味で中途採用を大幅に拡大すべきです。現在の組織では急激なジョブ型に変更するにはかなり無理があります。会社の全体を把握しなくてはメンバーシップ型でもジョブ型でも最適な提案はできません。故にジョブ型では即戦力として中途採用が不可欠になってきます。その為には明確な評価基準が必要になってきます。売り上げ数字だけの評価ではなく、何人個客を集客・獲得したか。来店人数をどれだけ増やしたか。顧客販売単価や点数をどれだけ上げたか。誰だけ売場の情報を顧客に発信したか、などを評価基準に加えるべきであります。業務上の具体的目的を数字で付与し、結果を評価する。

従来の総合職的発想を捨て、専門職の新規開発や大幅な中途採用、外国人起用、現場販売員の役員登用。昇給の為の子会社での現場作業経験3年を導入など、要するに人員 数ではなく社員の能力開発を早急に行い、能力評価型組織にすることが必須事項であります。これから人手不足が解消される見込みは全く無いと言えるでしょう。それなら今居る人員をより効率的に働いてもらうために、無駄な作業を止め、スキル向上の為の社員教育をリスキングを強化し、能力給を取り入れていくしか方法がありません。人事部は外から講師を招くだけではなく、今居る社員を有効活用する為に50歳代と30歳代の社員を組み合わせて講師にするなどの手法を考えるべきです。

クーデター倶楽部 2025年5月 05.24  

クーデター俱楽部 5月

議題

第3章 現状の課題と対策

項目2-1 組織の再構築&活性策と人材育成=消費ニーズ把握の為に

IT技術の革新スピードの速さやコロナ禍により劇的に変化した消費者のライフスタイルに対応すべく、企業は消費者のニーズを把握する為に即急に自社の体制や組織を再構築する必要が有ります。従来の組織では変化した消費者ニーズ把握が不十分であるのみならず、そのニーズ把握は旧モデルのマーケティング手法でしかないので、現在の消費者ニーズやその大きな潮流は全く掴めてはいません。従来の年齢別・収入別・テイスト別やペルソナ型分析などではライフスタイルは把握できません。

多様化&多層化した現在の消費者ニーズ把握には従来では想像できない規模のデータが不可欠ですが、そのデータは「何を・どうやって・どれくらい」集めればよいのか、また「どうやって分析したらよいのか」従来のクロス分析レベルでは解析できないレベルを新しい分析手法を開発して分析しなければならないのです。特に自社の業態では何を目的にするのかによって数千種類の分析方法があるので、その為のデータ取得が、数においても精度においても経営戦略の基礎になるので、データ収集方法は最大の経営課題になるのです。

しかもマーケティング部員(マーケティング部が残っていればの話ですが)達の技能は現在のITを使いこなし、AIすらも多用できるレベルでなければなりません。それを可能にするのは部員の最新IT技術の再教育やITに熟知した人材を中途採用するしかありません。その為には人事制度の大幅改革や中途採用人員の活用策など、従来には無かった制度を創設する必要があります。人材も自社社員に限らず中途採用を積極的に進めるべきです。しかも日本人に限る必要はありません。優秀なスキルを持った人材は一般と違った雇用形態やボーナスを用意すべきです。

一方、従来の部員再教育は単に社員のみならず役員全員も教育されるべきです。現在の役員の多くは自分の知らない新しい技術に対してか否定ら入る人が多いからです。部下が折角有望な業績向上安を提出しても、自分が知らないITやAI技術などを使っての提案は理解できないので必ず否定するのです。これでは時代に即した経営判断などできる訳がありません。経営を担う人は必ず時代の最先端技術を理解すべきで、自らその仕組みを理解せねばなりません。そうでなければ自社の経営戦略や営業戦略が有効なのか否か判断できないからなのです。今までの経験値やROE、ROAなどを知っているだけではこれからの経営はできません。それはあくまで目的係数であり、その実現の為に何を成すべきか判断するのが役員の使命だからです。

GAFAM(Google・apple・facebook・Amazon・Microsoftのビッグテック企業群)の時価総額は2021年で770兆円で日本企業の総時価総額を超えていますが、これらの創業者達は自らIT技術を開発したり、使用したりして業績を伸ばしてきました。会社のデスクに座って新聞を読んでるだけの役員とは全く異なる人種です。役員室に閉じこもり現場を全く見ない人種ではなく、自ら旗を掲げ先頭になり難題に、また社会の壁や嘲笑に、毅然として突撃する人達なのです。時代に何が必要か、自社を時代に遅れない為に何が必要かを、ITやAIを駆使して、或いは自社が必要とする技術を持つ企業とコラボやⅯ&Aして成長を続けてきました。ひたすら保身のみが目的で、知ったかぶり且つ情報不足、新しい知識を増やそうともせず、ひたすら自身の若い時の成功論のみで押し切ろうとする老害以外の何者でもない日本の経営層とは真逆に位置するのが世界の経営層です。

組織再構築で一番重要な事は、新しい消費者データをどの様に取得し・分析し・活用するの3点で経営戦略を立てる部門傘下にシステム部が置かれるべきです。そして自社の顧客の行動パターンや購入パターンデータを取得させます。方法としては自社カード顧客の購入履歴(他店での購入履歴も含む)行動パターンなどを把握分析します。分析手法も「個のお客様はこのレベル」と決めつけず、年齢や職業、家族構成やお住まいや購買内容からワンランクアップ志向なのか、現状維持なのか、何を消費に求めているのかを分析し、現状のみならず「手の届く次」への提案も行えるレベルでなくてはなりません。何度も言いますが、現在の消費者は一括りでの分析では把握できず、個人への部分的なカスタマイズされた要求・嗜好への対応が不可欠で、そこまでの分析はどうしても外せません。

例えば同じ郊外の同じ一戸建てに住んでいる消費者が居たとします。収入も務めている企業も同べレベルの同種企業とします。家族構成も夫婦に子供4歳児一人、どちらも共働きで子供好きです。この夫婦たちを片方をAさん他方をBさんと称します。他人から見たら、この2家族は従来の分析では全く同じ部類に区分けされてしまいます。しかしAさんは子供と過ごすことに人生の喜びを感じ、育児は夫婦で変わり番こ、休日はアウトドア―で海や山に行き子供にできるだけ多くの体験をさせ、自分で考え対応する能力を期待しています。自然の中で如何に一人では難しいことも仲間が居れば助け合ったり協力し合ったりして生きていけることを身に行けさせたいと考えています。Bさんは子供に世界に雄飛するような人材になって貰いたい、東大が全てのような学力暗記バカではなく、インターナショナルに5歳から通わせて国際語を身に着け、国際人に早くなるよう幅広い視野を持つ子供になって貰いたいと思い、休日にはインターで知り合った外人家庭と付き合い、両親も国際化を実践しています。

上記のような家族は従来の消費者分析では全く分析できず、「中産階級・郊外在住・可処分所得〇〇万円」というレベルでしか分析は得られません。しかし現在ではAさんの消費動向や購入アイテムからアウトドア派という事は簡単に割り出せ、且つ、街中でも着用できるアウトドアシューズやアウトドア―製品のみならず関連商品として防災グッズやキャンピングカー迄提案することができ、貯蓄に余裕が出来たら海外探検ツアーや遺跡巡りなどの旅行も販売できるでしょう。Bさんには学費が高いので両親とも仕事を掛け持ちしたり、無駄な消費に気を付け、代わりに楽器やアートなど教養を身に着ける教育に消費をつぎ込んでいくため、同じ体験でも演奏会や美術館巡りに消費を提案することができます。

このように同じような消費者をより詳細に分析することにより、消費者毎のカスタマイズ提案が今後の消費活動で提案できるのです。これがITやAIを活用した新時代の消費分析の一例です。このような分析はIT業界で100歩ぐらい先に進んでいますので、まず人材確保が最優先化されねばなりません。その為には会社毎Ⅿ&Aすることもあるでしょう。また自社店内にもれなくTVカメラを設置し、顧客の動線を全て把握し、レジでの売り上げ内容と共にデータとして残していくことが自社BICデータ取得の第一歩となるでしょう。同時に商品自体にも素材や色、価格や流行だけではなく、商品が醸す出す雰囲気や詳細なテイスト、コーディネート提案等の情報をバーコードではなくQRコードに詰め込めば、その人が商品を買えば買う程その人の消費性向がより把握できていくのです。

このような分析を行い開発・指導していく役割のシステム部再生が先ず一番に望まれます。

クーデター俱楽部 2025年4月  04.07

クーデター俱楽部 4月度

議題

第3章 現状の課題と対策

項目1ー2 地方及び郊外の百貨店がとるべきお客様第一主義

百貨店の地方店や郊外店に生き残る策はあるのでしょうか。

前項で述べたように大都市での店舗は高級店としてMD・環境・サービスを固定客向けに特化すれば客数ではなく、客単価向上で生き残りを図れますが、大都市以外ではインバウンド客や富裕層の数が限られており、高級化路線では対処できません。日用品や低価格衣料は郊外型SCに顧客を奪われ、老齢層は公共交通機関であったバス路線の廃止が大きく響いています。駐車場も郊外の広大なSCの駐車場にはその便利性で比肩できません。嘗ての一流立地であった駅前や商店街は最早消費者にとって行き易く買い易い立地では無くなっているのです。しかもそのMDは「モノ」中心であり、百貨店の集客の目玉ともいえる化粧品やブランドはほとんど揃っていないのです。ラグジュアリーに関しては逆選別で、大都市に本店が在ったとしても、完璧に交渉余地は無いのです。

加えて地方の最大の弱点は人口減です。どんな商売をやろうとしても街に活気が無くては中々難しいです。人口を増やすことは難しいですが、今居る顧客、離れてしまった顧客、未だ来店していない顧客、を呼び込むことは可能です。

ではどうすれば良いのでしょう

やはり自社の顧客を洗い出し、徹底したニーズの把握から始め、「モノ」中心ではなく「コト」でも集客ができる施設に業態変更をするしか生き残る道はありません。地方では特に生活に密着し、ニーズはあるが供給できていない「コト」や「モノ」をどう集積・運営するのかが大きな課題です。今までの消化仕入れで場所貸しに近い商売形態では存続は不可能です。何故なら取引先大手は商品在庫や販売員経費が大きく経営負担になっているからです。それ故、百貨店業に固執することなく地域の核になるような施設への変更が求められます。例えば役所や郵便局は勿論、ボランティアやNPO法人に街興隊の事務所、保育所、託児所、病院、子供用ジムやインターナショナルスクール、シェアハウスにライフスタイル型ホテル、大型レストラン、本屋にカフェ、パン屋に花屋、床屋に美容院、等々例に挙げた幾つかの業種が揃えば、人々がわざわざ集う、自然に集う場所になりうります。単なる商業施設ではなく、通りすがりの客ではなくモノを買う為だけの来店ではなく、目的を以て来店したくなる業態に進化させなければ生き残るすべはありません。

しかし実際は未だにブランドの招聘や大きな面積を借りてくれる取引先を探しているのみで、従来型の百貨店を夢見ています。誘致できてもドン・キホーテにパチンコ屋がせいぜいで、商業施設としては最早成立してはいません。自社の存続のみを夢見て肝心の顧客の事はさっぱり置き去りにされています。自社が時代に取り残されており、顧客のニーズを満たしていないことに気付くべきです。今の地方の消費者は何を望んでいるのでしょう。地域によりそのニーズは異なるでしょうが、老齢者向け食品やギフト雑貨品、男性客用にはスポーツ用品とゴルフ用品、若年層には原宿や渋谷のギャル対応専門店、ヤングミセスには子供用品‣衣料は不可欠でしょう。其の販売方法もわざわざ来店できない顧客に対して巡回カーを出して送迎するとか、カタログを配布し電話でオーダーを受け配送するとか(当然返品可)何か新しい販売手段を開発する必要があります。コト寄りのイベントが大きな力を発揮する場合もあるでしょう。新しい時代の消費者ニーズを徹底して洗い出し、できる事から早急に手を打つことが望まれています。

これからの主顧客層は少数ながらも若い層からミセス層までのターゲットするのが一番良いと思われます。何故なら若い層は学生から30代までSNSなどで情報の伝達が早く都会の情報にも通じているため、都会の憧れのライフスタイルを提案できる施設になれば大きな集客が見込まれます。また集まって女子会やママ友とのお茶会をする場所が無いことが彼女達の大きな不満であり、1か所で用事が済む施設があれば迷いなくそこに集中するでしょう。来店客数を増加が難しい地方では来店頻度を増やしたり、購入点数増加を図ることが重要です。その為には消費者がわざわざ来店したくなる環境やサービス、それにソフトが充実し、若いママ族や学生が楽してる空間を提供し、且つ便利でそこにいるだけで優雅な雰囲気と空間を提供することが大前提かも知れません。そして施設が人気になれば自然と新規顧客が増えていくものです。よくTVで閉店する地方の百貨店に対するインタヴュ―で「閉店するのは残念」という声がありますが、そういう人々が実際来店購入しなかったからこそ閉店の憂き目にあうのです。

しかし改装の為には莫大な資金が必要ですが、不動産の流動化や証券化などで賄うやり方もあります。クラウドファンディングを取り入れる手法も最近ではよく聞きます。経営の刷新も不可欠ですし人材の不足も課題です。同時に主銀行からの協力も必要です。最近よくファンドを入れて再生する百貨店が多くありますが、実際に再生MDを組んだりリーシングを行う人材がファンドにはおらず、結局百貨店を売り飛ばしてしまうケースが増えています。銀行から小売りサービス業を全く知らないばかりか理解する気もない社長が送り込まれ、残った資産を食いつぶしていくケースも多々見かけます。再生ファンドも小売の置かれた状況とその根本理由を把握せず、結局残された資産を食いつぶすか持ち逃げして終わりというのが最近のトレンドです。問題は山積みですが社員のやる気こそが百貨店再生の唯一の望みですが、若手は勉強不足で新しいチャレンジ精神も持ち合わせず、かつての地元名門企業に就職したというだけで満足しており、現状の突破口を探そうなどという人材は残念ながらほとんど見受けられません。かつて百貨店に居ただけの人材を雇っても、旧来のやり方しかできず、あまり意味がないようです。できる事と言ったら昔の縁故で都会から一流ブランドを招聘することを期待されますが、百貨店問屋が新規に地方や郊外の百貨店に取引を始めることはまず在り得ないことを認識すべきです。

要するに百貨店再生を旧型モデルの百貨店を目指すやり方は無理という事です。それは百貨店側の希望であって、顧客のニーズでは無いからです。繰り返しますが、今の消費ニーズを再確認し、そのニーズに対応するというシンプルな小売りサービス業の原点に立ち返ると、現状の対策は自然と判るものです。経営層はこの点を自覚して対策を構築すべきなのです。近年の百貨店衰退は時代のせいでも、立地のせいでもありません。消費者の欲しいモノ、望むモノを提供できずネット販売に対して全く対抗策を打ち出すことができず、無策のまま無駄に時間のみ経過したいうのが門燈の理由です。そこには口先だけの「お客様第一主義」ではなく、本当に自店や地域の消費者に対して、何が必要かを真剣に考えてこなかったつけが回ってきただけのことです。

クーデター倶楽部 2025年3月  03.03

クーデター俱楽部 3月度

議題

第3章 現状の課題と対策

項目1 再構築すべき顧客第一主義

「お客様第一主義」とは何なのでしょう。『顧客のニーズや期待を最優先に考え行動すること』で、全ての商品・販売方法・展示方法・各種サービス全部がお客様を意識して行われていることを示します。しかし嘗ては「お客様は神様です」とばかりセールをしたり、ポイントを加重に付与したり、マニュアル通りのバカ丁寧な言葉で接客したり、売らんが為に何でもする事がお客様の為になるという認識でした。それは来店促進策であったり、客単価アップ策、購入点数増、などの販促策でしかありませんでした。そこには本当の意味でのお客様に対してのサービスはありませんでした。何でも売れれば勝ちだったのです。このようなお客様第一主義は現在では全く通用しなくなりました。誰にでも対応できる品揃えやサービスの時代は終わったことを認識しなければいけません。

それは何故でしょう?

大衆が分裂し分衆になり、更に個に解れ、個は多層化してニーズの多様化が一挙に進んだ結果です。嘗てのような大流行はファッションでも娯楽でも影を潜め、消費者は一人一人が望むモノが他人と大きく異なり、更には「モノ」を所有することの喜びから「コト」を体感・体験することへニーズは移っていったのです。これにはIT進化が大きく関わっています。欲しいものはいつでもどこでも定価でもセール価格でも買え、「ライブ」は人気でもCÐは売れずネット配信で聞き、LVやCHANNELは好きでも高すぎて一部の人しか買えず、別に買わなくてもデートの時だけリースすれば良いという感覚が広まっています。実際リースやサブスクで好きな「モノ」はいくらでも手に入れることが(たとえ一時的でも)できるようになると消費者の「モノ」離れは増々進んでしまいました。ITの進化により消費のモノに対する価値観が劇的に変化してしまったのです。

贅沢感、優越感、お得感、時間的節約、など消費者が望むものはで一人一人まるで違うニーズが溢れています。この多様化したニーズに対応しきれなくなった結果、百貨店は「安くて品質が良い」「低価格こそ消費者ニーズに対応できる」とばかりこぞってユニクロやニトリ、果てはドンキホーテ迄誘致して価格競争に自ら参入し、結果どの百貨店も自社の固定顧客を失っていきました。この点は大塚家具の価格政策ミスによる失敗とよく似ています。更に経費を削減する為にひたすら消化仕入れを増やし、もはや自社バイヤーが買い付け自社販売員が販売する売場は全体0.1%すらありません。何処の百貨店へ行っても同じブランドが同じように展開され、入口の看板を外したら何処の百貨店か判らない始末です。そして場所貸し化し、何処ででも買える商品ばかり並んだ百貨店に最早消費者を引き付ける魅力は全く無くなってしまったのです。

お客様のニーズや期待に逆行するが如くの無策の結果です。それ故お客様のニーズに対応する前に重要な事は、自社に取り固定客ともいえる核になるお客様は誰かという事が一番知るべき課題です。そのお客様は自社に一体何を求めているのか、自社の何に価値を見出しているのか、という事を再度確認・認定することが不可欠です。

そのため、自社のお客様を十分知り尽くし、そのニーズに対応できるMD構築や販売方法を時代のニーズに合わせ、単に「モノ販売」のみならず「体験や体感販売=コト販売」を逸早く展開することが必要だったのですが、そのニーズを感知する感度が全く失われてしまったのです。一番重要な事は、大きく変化した消費者は「今何を望んでいるのか」という事を徹底的に把握することですし、「百貨店に何を望んでいるのか」、更には「自社にを何を望んでいるのか」を知り、細分化され多様化し、且つ多層化した消費者のニーズを把握する事が不可欠となります。従来の顧客データのように定量情報のみではなく、定性情報を拡大して収集且つ分析をすべき時代になったのです。それも膨大なデータを収集分析し、AIを使って消費者のライフスタイルを把握することが今後の消費者対応の一番の肝になるのです。しかし残念ながらこのような動きに対応しようと改革を進めている百貨店は皆無です。

IT活用というとネット販売を増やそうとカタログの電子版を必死で造ったり、コトよりというと、そのニーズに対応すべく従来の旅行会社のありきたりのプランを売ろうとしたり、百貨店の対応は視点が100年遅れています。ITの劇的進化により、従来の「MD」や「売り方」では目新しいモノもコトも発掘できていないのです。消費者が求めているものはそんなものではないからです。百貨店は「誰にでも」ではなく「自社のお客様」を絞り、この方たちが望む「モノ」や「コト」を他社に無いことを前提に構築しなければなりません。ネット販売でも売っておらず、当然他の百貨店でも販売していない、自社にわざわざ来店していただけなければ手に入らない貴重な「モノ」や「コト」が必要なのです。従来通りの定量マーケティングで顧客増を一定の枠に括るというやり方では現在の消費者ニーズは全く掴むことができません。定性マーケティンでもより深耕化され、当事者のライフスタイルが浮かび上がる内容の調査でなければ意味を成しません。

もっと言えば外商が行うような「個」のお客様だけのオリジナルなサービスさえ開発すべきなのです。スーパーや低価格商品しか買わないお客様向けに商品を揃えても全く意味がありません。むしろ自社の固定客を失うだけだと先程述べましたが、自社の顧客が望むモノやコトが揃えられなければ、やはり固定客は離れていってしまいます。要するに消費者の求める、それも自社のコアの固定客のニーズを最優先して把握し、品揃えやイベントなどを強化すべきなのです。百貨店は「誰にでも」から「自社の提供するレベルのお客様」に的を絞って経営されるべきなのです。こう言うと駅ビルや駅隣接型百貨店は「あらゆる年齢層・所得層・ヤングからミセス・学生から社会人迄あらゆる消費者がターゲットだから無理」という答えが返ってきます。これらの百貨店担当者は店の前を通る消費者は全て自社の顧客だと勘違いしているのです。店の前を通っている消費者の9割以上は店に来ない只の通行人なのです。年に1回、九州物産展や北海道物産展で弁当だけ買う消費者は固定客でもなければ駅型百貨店の顧客でも無いのです。まずこの自覚が全く足りません。通りすがりに何となく入店してウインドーショッピングだけしていく消費者相手にMDを全部揃えようとしたら、店舗面積はいくらあっても足らないでしょう。百貨店はスーパーや専門店ビル、駅ビルでは無いのです。品揃えを量と価格で押し切る業態であってはならないのです。

百貨店の掲げる顧客第一主義とは、自社固定客及び同等の価値観を持つお客様に対し、他では買えない商品やコトを徹底して品揃えし、完璧な製品知識と商品知識を持ち、且つ顧客ニーズに沿った説明が完璧にでき、各売り場では販売員ではなく完璧なコンセルジュとして接客することです。それに自社の顧客自身が経験・体感できる「コト」を創造することも大変重要です。「旅行」がお望みなら、普段は入れない行けない場所に入れたり行けたり、普通では絶対会えない人、例えば映画スターや有名人と会食できるとか、パリコレを自社店内で行いオーダーができるとか、考えればいくらでも百貨店ならではのアイデアはあるはずです。環境も大事です。工事現場にあるトイレのような狭い試着室やベビーカーで入れないトイレなどは論外で、優雅な空間と時間を過ごせるよう、効率を追求する従来の詰込み型売場は廃し、多数のお客様を無差別に来店いただくより、目的をもって来店される固定客相手にターゲットを絞らざるを得ないでしょう。固定客が欲しいモノやコトが必ずある、これが新時代の顧客第一主義となるでしょう。

そうすると今主流のインバウンド客はどうするのか、という問いがすぐ聞こえてきそうです。確かに百貨店に占める彼らの売上高は決して少なくはありません。しかし、目先の売上を取るか長い顧客である固定客を取るか、じっくり考える必要が有ります。インバウンド客が望むモノはほとんどがラグジュアリーブランド品の雑貨か宝飾・時計であります。しかも何年も通してブランド価値を誇る不動のブランドはエルメスとシャネル、加えてLV位だけです。LV傘下のブランドは一過性の人気のモノが多く、バッグやシューズが主力です。グッチなどは中国人向けデザインの商品を数多く作り、あまりにも中国人向けと中国人から背を向けられ、売り上げが激減しています。ケリンググループもリシュモングループも売れ続けているブランドはそうそうはありません。しかもラグジュアリーグループは百貨店の上位顧客や外商顧客の名簿を全部取り込んでしまったので百貨店は用済みなのです。規模が小さい内は百貨店で育ててもらい、大きくなったらさっさと出てしまい、好立地に自社ビルを建て、ビルが寝あがったら売却するという,最早不動産業に近い存在になりつつあります。売れても数%の利益率しか取れず、4年に一度の改装は全額百貨店持ちで、販売員迄百貨店から送り込んでいる状況では、この先何時までこのビジネスモデルが続くかわかりません。

高級百貨店の代名詞である米国NYのバーグドルフ・グッドマンはどのブランドもケース一台やコーナー展開で、自社固定客が望む商品をバイヤーが選別して展開しております。靴売り場は全ラグジュアリーが一つの売り場で展開されており、全て自社バイヤーによる買取品であります。故に売れない商品は季節中でも素早く値下げされ、売り残しが無い販売体制がとられています。日本みたいに年2回のバーゲンでは売り切ることが不可能です。お客様が望めば「プライベートショッパー」というスーパーコンシェルジュが存在し、お客様のありとあらゆるニーズに答えてくれます。

このように見てくると百貨店は高級化路線しか生き残れないと思われがちですが、これらの路線が可能なのは大都市部にある百貨店のみです。地方や郊外型百貨店には通用しません。この件は次回に続きます。

クーデター倶楽部 2025年2月  02.15

クーデター俱楽部 2月度

議題

第2章    百貨店は誰の為に、何の為に存在するのか

当然ながら「お客様第1主義で、消費者のライフスタイルを豊かにし、非日常を感じられるスペースであること」と説明してきました。しかし時代毎に消費者の望むMDやサービス、買い方は大きく変化し、特にITの進化により消費者のライフスタイルは劇的変化を遂げていますし、今後もたゆみない変化を続けることでしょう。その為に絶えず消費者のニーズを捉え続ける必要があります。

それは単に「モノ」を売るだけの企業から形を変え、「コト」まで提案し「常に人々が集える・足を運びたくなる」必然性があり且つ地域一番の集客性がある企業を目指すということなのです。これがライフスタイル百貨店です。ライフスタイル百貨店は現在在るサービス業のあらゆる形態・種類を包含し、消費者のニーズに対応しうるもので、百貨店が唯一生き残る手段です。更に重要な要素は此処に来ないと味わえない、体験できない、買えないといった要素をキチンと揃えられているという事です。「コト」を体験できる施設とは現在ではなかなか出会う事が出来ません。一時期テナントとしてエステサロンなどの導入が流行った時期がありましたが、色々な問題から定着しませんでした。故に消費者が常に集いたくなる施設は何かという問いを常に考え、常に変化させていかなくてはならないのです。

現在は子育てを支援する形で郊外のGMS等では、子供が体験できるIT施設(リトルプラネット・マイジム等)やママ友がゆったりベビーカーと一緒に食事がとれるレストラン(100本のスプーン・おもちゃ等)が導入され、従来のフードコートでは味わえない・体験できない「コト」寄りのテナントが大幅に進出し始めています。百貨店では新規顧客が取れないとよく言いますが、新規顧客のニーズを把握していないだけなのです。パンが流行れば正面玄関に導入すれば良い等と、安易なMDでは決して新規顧客は定着せず、一過性の消費者が少々集まるだけでそこでそのパンを食べれたりお茶を飲めたりするスペースが無ければ、「モノ」を売るテナントの誘致でしかないので、いずれ廃れ、また違うテナントを誘致すればよいというショッピングセンター的発想でしかありません。消費ニーズが「寛ぎ」や「ゆっくり」な時間と空間を求めているからです。

ライフスタイル型百貨店では「モノ」の販売と「コト」の体験が同一場所で行える事が最重要な点です。その為には小型テナントを集積するのではなく、ある程度効率を落としても余裕のあるテナントやショップが不可欠になるのです。現在のように安易な消費仕入先で埋め尽くし、結果他店と同質化してしまうより、自社のオリジナル性が担保され消費者のニーズに対応できるのです。

しかし何処にも無い「コト」や「モノ」を提供することは言うに易しで実際は大変難しい問題です。それこそどんな売場創りが、フロアー創りが必要か共有できるコンセプトが大事になります。既存の「コト」と「モノ」をミックスした売場はある程度開発可能性は大きいですが、「モノ」自体の開発は心機一転してバイヤーに本領発揮してもらわねばなりません。其の基本はPB商材開発にたどり着きます。従来のPBはメーカーの売れ筋を大量買取を条件に自社タグネームを付けることでそれっぽくしていました。結果、多量の売れ残しを発生させ、各社在庫倒れとなりPBは廃れました。目的として他社との差別化を謳ってはいましたが、実際は低価格大量販売による売り上げの拡大が目的でした。

しかし今回のPBはお客様の為のPBです。現代では価格最優先ではありません。それはスーパーに任せ百貨店は「本物」をキーワードに定番からトレンドまでを製作する必要が有ります。バイヤーは本物を提供する為に再教育される必要があります。消化仕入れになれたバイヤーは実質何の役にも立たないからです。食品からファッション、おもちゃや家具まで全部ではなくともその中心にはPB商材が必要になってくるのです。それは自社のネームを冠する為、最高の「モノ」でなければなりません。

以上の結果、「モノ」と「コト」とそのMIXが、PB商品を加える事により消費者ニーズに強く響く事になるのです。

更にお客様第一主義を貫くためには上記のように新業態売場やフロアーが不可欠ですが、その消費ニーズを常に捉えるには「現在のお客様ニーズの把握と分析」が不可欠になります。かつて百貨店にはマーケティング部というのがどの企業にも在りましたが、現在はたぶん皆無でしょう。所謂市場調査では消費者のライフスタイルやその傾向まではデータが取れ、目先のMD対策はできても中長期の業態としてMD・サービス・施設などの新しく時代合った企業への変革提案などは無理で、役員クラスがその情報を何にどう活用すべきかを理解していなければ、ただの数字でしかありません。

百貨店は顧客情報を山ほど持っていましたし、現在でも数十万から数百万までの顧客データは待っています。カード顧客です。しかしそのデータは「モノ」を買った記録でしかありません。将来の購買予測やライフスタイル分析までは全く行われていません。このデータを何の目的に使うか、その為に他のデータとどう掛け合わせて欲しいデータを得るかなどの基本的目的が無かったのです。それ故これからのマーケット分析はITを活用し「何のデータを・どうやって・何のために」収集分析するかが不可決になります。そして消費者ニーズに対応する為、わざわざ時間と費用を掛けても来店したくなる施設開発が求められるのです。

上記を踏まえ、百貨店の存在意義は「他業態では実現できない消費者の潜在ニーズを把握し、そのライフスタイルを満足させる時間と空間を提案且つ提供する。MDはオリジナル或いは他社とコラボした他所では手に入らない商材を中心に、消費者の生活ご褒美品を提供する」。これにより「わざわざ来店する」「一ランク上のご褒美品」「此処でしか買えない・体験&体感できない」業態へと進化でき、激化するサービス業の中で生き残る事ができるのです。

クーデター俱楽部 2025年1月  01.27

クーデター俱楽部 1月度

議題

第1章 百貨店衰退の本質的原因

嘗て小売りは「お客様第1主義」を謳い、消費者の欲しいものを揃える為、海外の一流ブランドや今迄見たこともない商材を発掘・提供したり、普段では手に入らないものまで常備展開することにより、消費者の夢と憧れを提供してきました。サービス面でも素晴らしく快適な空間を提供し、対面接客でお客様の満足度を高め、「安心と信用」を提供していたのです。各時代毎に消費者が夢を感じる「モノ」と特別感を与える「サービス」を確実に提供してきたからこそ、消費者の支持を圧倒的を得られ小売りの頂点として君臨できたのです。

ところが現在では効率化とリスクヘッジを最優先化させ、いつの間にか「お客様第1主義」を忘れてしまったのです。百貨店は何の為に存在しているのかという原点を、「お客様の為にある」と明確に言えず、株主の為に利益を稼ぎ出すことのみ唯一の政策の原点になってしまっているのです。我々は小売サービス業であり決して貨物タンカーや大型賃貸ビルを建てる土木建設業はなく、目の前に立ち、千円、一万円と商品を購入してくれる方々が私たちのお客様なのです。

更にIT技術の劇的向上で消費者のニーズやライフスタイルは大幅に変化しました。何時でも、何処でも、欲しいモノやコトの情報が手に入れられ、従来のMDや販売手法、サービスでは消費者のニーズを喚起できなくなってしまったのです。消費者は欲しい時に欲しいものを買うという消費の原点に立ち返り、今必要でないものには全く興味を示さず、安いから取り合えず買っておくという購入モデルは全く姿を消してしまったのです。

百貨店では「モノ」よりから「コト」寄りとよく言いますが、それは「モノ」を売るのでは無く「コト」を売るのだと言われます。しかし所詮「売る」という認識から脱却できていません。百貨店が言う「コト」とは何を指すのでしょう?「旅行」「イベントチケット」位しか思い浮かびません。しかし消費者が望む「コト」とはそんなものではありません。もっとライフスタイルの中で、日々の生活の中で、家族や友達と、自分のライフスタイルに合った空間や時間を体感することなのです。

百貨店再生の第1歩はお客様の為に百貨店はどう役立つ事が出来るか」を定義し直し、全面的なMD改革、仕入れ方式の改善、売り方や売場展開方法、サービスの改革と新規開発、をITのあらゆる技術を駆逐し活用し、かつ今までにない活用方法まで生み出し消費者に提供・満足して頂く事なのです。

しかし残念ながらこの事を理解している百貨店は在りません。相変わらずブランドがどうのこうのといった思考しかないのです。

且つて百貨店は消費を文化と捉え、消費ニーズを牽引してきました。その為に積極的に文化や芸術、更には海外の有名品や日本では未だ知られていない優れた商品やデザイナーを紹介してきました。これらは全て消費者に対する小売業の使命と考え行ってきたのです。そこには未だ情報があまりない時代にいち早く企業の責任として消費者に情報を提供してきたのです。百貨店は利益度外視で、仏教関連の仏像展や美術関連の有名画家展や器展、はたまた駅弁大会や北海道物産展など、普段では見る事が出来ない、手に入らない、コトやモノを提供していたのですが、残念ながら今では売り上げが見込める物産展のみが存続しています。全てが売上中心主義に陥ってしまった事が原因です。

これらの文化催しや商品催しは集客に役立っていたのですが、企業として売り上げが見込めないものは「悪」とみなされ、ただ「モノ」を並べていれば売れる、立地が良いので客は黙っていても来る、といった過去の栄光に浸っているだけでは消費者に支持されるはずがありません。故に百貨店は今こそ、消費者ニーズをどう把握し、どうしたらそのニーズに対応できるのか早急に検討すべきなのです。更には顕在化していない、しかし確実にあるニーズをも把握・予測し、上層部から現場まで一丸となり理解・認識していくべき時代になったと思います。

クーデター倶楽部 2025年 再生元年

初めに

日本の小売業が大きな岐路に立たされて10数年経ちます。ITの急速な発展とそれに伴う消費ニーズやライフスタイルの劇的変化を理解できず、無策の内にズルズルと時間のみが過ぎた事が主な原因です。その間大都市部中心に膨大なインバウンド客が雪崩込み、ラグジュアリーブランドをはじめ、薬にお菓子といった土産品まで所謂爆買い現象が発生し、ひとまず都市部の大型店はコロナ前近くまで業績を戻しています。しかし目先の売上にのみ一喜一憂し、ITが齎す更なる影響の拡大を小売業としてどう導入し活用するか、その為に小売業態自体を根本的に変革させていくという課題をすっかり忘れてしまったのです。今のままのインバウンド頼みの経営ではその恩恵を受けない地方の大型小売店舗のみならず、今の業態では大型小売業はほぼ全滅するしか道は残されていません。人口の減少に相まって地方の百貨店や総合スーパーは閉店ラッシュで、業態としての大型小売業の衰退はすでに始まっています。

大型小売業とは、広義のサービス業(サービス・接客・商材)と言えます。特に百貨店は世界の一流品や国内の上質な商品を幅広く揃え、高級オーダー品から食品まで品質の良さを商品知識豊富な販売員から非日常な空間で購入でき、消費者に夢と商品に対する信用を提供してきました。塩一つ買うのも近所のスーパーで買うのと優越感が違い、ギフトならその包装紙が齎す贅沢感は他では得難いものでした。総合スーパーはその膨大な品揃えを低価格で提供することにより、所謂ワンストップショッピングを従来の価格より安価に且つ安易に購入できるMDで生活密着型として成長してきました。地方ではなかなか買えない商材が安価で大都市と変わらず簡単に手に入るようになり、地域住民の生活を間違いなく向上させてきました。

しかし今日、消費者はどちらの業態にも背を向け始めています。

百貨店に対して消費者は「買い物」をするのに豪華な環境・設備、丁重且つ的確なアドヴァイスを含んだ接客により、とても優雅で煌びやかな時を過ごすことができたのですが、現在では効率化一辺倒の政策が長く続き、消費者ニーズの変化を「モノを売る」という観点でしか見ていません。効率化とリスクヘッジの為に消化仕入れを拡大し続け、販売員すら自社社員ではなく、商品知識のないアルバイトに毛が生えたレベルの販売員しかおらず、見せ方、売り方まで消費者ニーズに対応出来うるものではありません。遅まきながらのネット販売は先行する企業から既に業界スピードでは100年程後れを取り、IT技術をもってして何ができるのか全く理解も研究も遅れてしまいました。MD的には他社や他店との同質化が顕著となり、何処へ行っても何処で買っても同質化してしまい、消費者の望む商材、売り方、見せ方に全く対応できていないのです。このような状況ではネット販売に対抗しうるはずがなきのです。

総合大型小売業であるスーパーは「他業態より圧倒的に安い」を謳い文句に、世界中から国内まで朝早くから夜遅くまで生活用品全般を低価格で提供することにより、消費者のニーズに応えてきました。特に食品は直ぐにでも食べられる調理済み品から、冷凍・冷蔵製品に関しても、圧倒的品数を誇り大家族でも1人でも利便性では日常生活には欠かせない業態で始まりました。しかし最近ではオリジナル商材で価格を更に下げた専門業態スーパーや大型専門店にMDで負け、利便性ではコンビニ業態に完全に包囲されてしまったのです。単なる価格競争では立ち行かず、消費者の求める利便性ではコンビニに勝てないのです。何でも有るは何も無いと同義語となってしまったのです。

どちらも業態も、消費者ニーズがIT革命によりその生活の中の価値観や生活スタイル全般を変えてしまった事に全く気付かなかった結果なのです。

今日の消費者は小売業に何を求めているのでしょう。

今年は大型小売業の、時代に即し、消費者ニーズに合った業態開発について研究を進めていきます。

本年度は「百貨店の再生」を図るべく、現在消滅の際に在る百貨店業態を根本的に変革させ、次世代にも残る消費者に支持される業態開発を提案いたします。

第1章 百貨店衰退の本質的原因

第2章 百貨店は何の為に存在するのか

第3章 現状の課題と対策

項目1 再構築すべき顧客第一主義

徹底した消費者ニーズの獲得&分析を行い、それを基にMD・サービスの新規構築を行う。

項目2 組織のと再構築&活性策と人材育成

マーケティング戦略部・経営戦略部・IT戦略部・営業戦略部・人事戦略部・宣伝戦略部などを再編及び新設し、時代に                        合った具体的目的を付与し、数字で図り結果を評価する。従来の総合職的発想を捨て、専門職の新規開発や大幅な中途                        採、外国人起用の道を開く事。現場販売員の役員登用。昇給の為の子会社での現場作業経験3年を導入。要するに人員                          数ではなく社員の能力開発を早急に行い、能力評価型組織にすること。

項目3 IT技術の応用策開発

徹底した機械化による省人手化と、対面接客時の活用策、来店促進策、新規顧客データ獲得策と新規分析

項目4 消費者ニーズ対策のMD

消費者の望むMDとは、従来型仕入方法からの脱却・新規売り場開発=MDmix型売場・此処でしか買えないもの、                           ネット販売との対抗・PB復活・買取政策拡大「モノ」ではなく「コト」販売の強化/ショーの開催・制作現場公開・新                          規文化催&商品催

項目5 コラボの推進による新業態開発

ラグジュアリーとのコラボ開発(商品・ショーの導入)やライフスタイル型売場開発(カフェ+カジュアルレストラン+                本屋+作業場など)異業種mix

項目6 新たな集客策

新たな価値観で自分のライフスタイルを持つ消費者をどう集客するか。従来の媒体ではなくどう「コト」を形にするか。                  消費者に取り興味があるものをどう集客に結び付けるか。

項目7 社員がどう幸せに生き生きと仕事ができるか

サービス業の根本要素である社員の為の対策。

これらの課題と対策を各項目毎に検証していきます。

何でも有るは何も無いと同じ

恐竜化するGMS

百貨店と同様にGMSの苦戦が伝えられてきます。先月イトーヨーカ堂が北海道・東北・信越から撤退を発表しました。全123店舗のうち17店舗が第1弾で26年までに33店舗を閉店させるとのことです。更には首都圏からの撤退も始まるようです。

1か所で何でも揃うGMSは正に百貨店の廉価版として、主として郊外や地方で圧倒的な売り上げ規模を誇ってきました。しかしGMSが出店した後はぺんぺん草も生えないと言われたくらい巨大化を続けたGMSは、同業他社や地元商店街を圧倒的規模で圧し潰し、地域の顧客を独り占めにしてきました。その無敵だったGMSも今日、規模からいえば取るに足らないコンビニや、専門店に売上を取られ今や不況業種にならんとしています。最後にはその巨大な胃袋を満足させるだけの餌が無くなり破滅した恐竜絶滅の危機と同じ状況下にあるのです。

その最大の原因は消費者ニーズの変化です。

今まで収益を支えてきた衣料品はユニクロやZARA等大型専門大店に食われてから久しいですが、具体的な対策は取られてきませんでした。ライバルのイオンは衣料品在庫整理を15年から始め、23年上期に10年ぶりに黒字化しましたが、まだまだ予断を許しません。ヨーカ堂はやっと先日衣料品の製造を外部委託=㈱アダストリアにすることを発表しましたが、企画・製造・配送まで外部で販売のみ自社ということですが、在庫を買い取るとなると今迄とどれくらい経費節減になるか興味を惹かれます。

GMSの先駆けとなったダイエーが倒産した最大の理由は、完全な計画経済=前年踏襲主義でした。全く売れないPB商品でも前年100%~103%を続けたそうです。会社の全体予算が103%ならそれを下回る計画をバイヤーや統括する部長たちは下方修正できなかったそうです。結果膨大な在庫を抱え、資金繰りが悪化し倒産しました。これは売れない理由を商品に求め、消費ニーズ対応マーケティングを怠ったからにすぎません。消費者のニーズに対応しなかったからです。

圧倒的集客を誇った食品も、肉の品揃えが良くしかも安い「ロピア」に、中食は圧倒的な品揃えの「福島屋」に、輸入品の瓶・缶物は「成城石井」に、高級品は「明治屋」に、徹底した安さ狙いは「OK」というように専門スーパーに消費者は目的買いの場所を変えてしまったのです。専門的な品揃えを行う業種業態に流れています。消費者は何でも一か所で揃う便利さではなく、自分のライフスタイルに合った商品に拘る消費スタイルに変わってしまったのです。自然食品に拘る、価格に拘る、肉に野菜に魚に拘る、時間を惜しみ中食が豊富な店に拘る、など消費者一人一人が自分のライフスタイルに忠実にこだわった結果、自分の納得できる消費スタイルに拘るのです。

つまり消費者は「何でも一か所で揃う」利便性から、「自分の望む商品がキチンと揃う」ことを望むようにそのニーズを変えてきたのです。かつて百貨店から電化製品がヤマダ電機やビッグカメラに、おもちゃはトイザらスや総合家電に、生活雑貨はMUJIやハンズに取られたように、今度はGMSが同様に専門大店にそのシェアを奪われるようになってきたのです。いくら大型店でも、自分が欲しい商品の品揃えがごく一部では消費者にとって魅力は薄いのです。特に目的買いが主役の今日の消費ニーズでは漫然と「何かないかなあ」とショッピングをする消費者は少なくなってしまい、目的をもって比較購買できることが必要になっています。特にネットで欲しいものを探し、店舗で実物を見ることが主流の今日では、「何でも揃っている」は「何もない」のと同義語なのです。

構造的な遅れ

また、GMSはレジ要員や品出し要員など人件費が嵩む構造であることと、複数の階にまたがる広い売り場を抱えて、水光熱費も重く、高コスト体質になっているのです。近年、ユニクロなどは無人レジを強化させ、ZARAは品出し要員しか店舗におらず、客がレジに来て初めて近所にいる品出し要員がレジも兼ねるといった具合です。スーパーも無人レジ導入が少しはありますが、商品自体に値札を張りにくいという商品特性から、あるいは値下げの為値札を張り替えるといった作業の為、なかなか自動化レジが進みません。一部の店舗や起業では「パワープライシング」※1導入実験が始まっていますが、もっともっとIT技術を導入すべきであります。人件費削減や値札張替えなどの人的作業を削減しなければ高コスト対してはいつまでたっても改善できないでしょう。

高コスト体質改善しなければ生き残れないことは明白ですが、スーパー業界では今また規模による拡大戦略で生き残りを図ろうとする再編が始まっています。イオン主導ですが、ドラッグストアーチェーンの合併や、中小スーパーの統合で生き残りを図ると岡田会長は話しています。地方は人口減少が特に進み、同業間の競争が激化しています。その為利益幅の大きいPB商品を開発・販売しなければならないという理論ですが、かつて百貨店も「差別化」と「利益率改善」を目標にPB戦略を取っていた時代がありました。どの百貨店も数十億から数百億の在庫を抱え、PB戦略は破綻しました。

中小のスーパーは効率の悪いアイテム(主に衣料)を切り捨て食品特化やドラッグストアーに業態変更や提携して生き残りを図っています。それ故、スーパー業界はイオン主導での生き残りを賭けた再編の嵐に突入しています。低コスト高収益のPB商品開発や電子商取引ECなどデジタル投資などの開発費は1社では負担が大きいからです。セルフレジや電子棚札などの投入も未だ十分とは言えず、コンビニやドラッグストアと共存するには競争力を早く身につけねば生き残りはほぼ不可能と言えるでしょう。その為に、単純労働作業はAI化やITの活用が不可欠であります。

これを思うと規模拡大戦略より、専門特化型スーパーをより突き詰めて開発した方が良いような気がします。同時に中央バイイング方式による物流経費の無駄(秋田のねぎを買い付け一度東京へ運び、それからまた秋田に送る、といった無駄)や売れ残り廃棄する食材を減らす方策を研究した方が、時代に合っているような気がします。2024年問題がすぐそこまで来ているときに、旧来のやり方の改良版では生き残ることは難しいでしょう。

共稼ぎ家庭が約7割の日本では、食事をする時間や育児をする時間が十分とれている状況ではありません。それ故、商品で言えば調理済み食品(中食)への要望は年々増加し、ウーバーイーツ等の利用の急速な拡大を見ても今後のスーパーの在り方の一つに中食専門スーパーが在ってもおかしくないでしょう。現に冷凍食品専門店の「ピカール」は急速に店舗数やコーナー展開を増やし続けています。

消費者ニーズに対応するには「漫然としたお買い得」ではなく、「欲しいものがきちんと揃えられている」ことのほうが重要で、価格の安さが最優先というのは極一部の消費ニーズであって、もはやマスには成り得ず、新時代の消費者ニーズに対応できません。今日の消費者は欲しいものは価格が最優先ではなく、自分の欲しいものが欲しい時に在れば買うのです。しかもニーズは多様化し、大量生産品の大量消費はごく一部のメーカーのごく一部の商品のみなのです。従来のような「欠品は悪」ではなく「売り残しこそ悪」という発想に転換すべきで、確実に売り切れる量の生産に切り替えるべきです。

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