「BrandLand Japan」について

  本日経済産業省が推進する「地域に眠る魅力的な資源の海外市場に併せた磨き上げや、海外への魅力発信を通じて地方活性化を図るローカルクールジャパン政策」=「BrandLand Japan」の「OPEN DIALOG」を聴いてきました。この企画の特徴はメーカーが勝手に商品を造って海外へ進出をするというのではなく、「海外消費者の感性やニーズ等に詳しいプロディューサー」と称する人たちを活用し、現地に合わせたモノづくりと販売戦略を構築するというものです。各事業概要を説明するにあたってのモデレーターの方々は、日本空港ビルディングの大西副社長をはじめ、クールジャパン戦略担当の内閣参与・浜野氏、CIBONEやDEAN&DELUCAなどライフスタイルショップ提案の横川氏、Soup Stock Tokyoの遠山氏など一流メンバーが揃い的を得た質問やアドヴァイスを行い大変ためになった一方、各メーカーを指導するプロディーサーと称する方々はちょっと問題で、これが日本のクールジャパンの海外進出レベルかと思うと唖然としました。何故ならマーケティングの基礎が理解できていないばかりでなく、「日本製品」を海外に売り込むための海外消費者のニーズ把握が全くできていないからです。海外を十羽一絡げに論じていること自体が無知そのもので、欧州と米国、更には東南アジアと全く市場が違い、消費者ニーズが違うことを認識していません。各プロディーサーはスポンサーであるメーカーのご機嫌取りのために、出来上がった商品を取り合えず知り合いに売り込むというブローカー的な発言が多く、販促もブロガーやインフルエンサーを使う等と当たり前の手法が賛美され言葉を失いました。もっと時代の小売りとモノ造りを勉強しなおさないと海外進出どころか国内で生き残ることも難しいでしょう。

 

西友が再び・・・

ウオルマートが傘下の西友を手放す事に決めたそうです。2008年に完全子会社化してから10年、世界第1位の売り上げ規模を誇るウオルマートも西友の拡大化に見切りをつけたと言うことでしょうか。西友は335店舗、売上約7,000億円従業員2万人(日経新聞7.14付け)と言われ駅前などの好立地に自社所有物件を数多く持つため資産価値も高いとされ、業界ベスト4位に位置する優良企業と言われてきました。しかし、デジタル時代の対応に追われる流通大手や商社は約買収に消極的です。リアル小売り業に投資するよりデジタル化に向けて体制を立て直す事が急務なことは世界的に小売業の緊急課題であるからです。大量生産・大量販売の「EDLP毎日が安売り」はユニクロやザラをはじめ今でも小売りの有効な戦略ですが、その戦略を支えるのは大量の顧客データであり販売データであり、取引データなのです。このデータ群を如何に大量に収集・分析するかが売り上げの鍵を握るのです。その為大量のデートを垂れ流してきた小売業はデータ取得と活用化にやっと目覚め始めたと言えるでしょう。近年スーパー業界は再編・統合の波が一段落しイオンとセブン&アイHDの2強体制になっています。これまで「数の論理」で店舗数を多数持ち地域を面で抑え大量仕入れにより低コストで仕入れた商材を売ることが主流でした。しかし、ここ1~2年売上高より利益額重視にシフトが切られ始めています。なぜなら中長期に人口が減るわが国では売り上げの拡大がこれからは望みにくく、それより同じ売り上げでも効率よく利益を生んだほうが賢い選択と言われるようになってきたせいです。ウオルマートも売上拡大路線からデジタル化による効率主義を取り入れるべく舵を切ったとみるべきでしょう。