百貨店復権への道 第2回

急激に進化するネット・AI社会に全く対応できていない百貨店、何故こんなに遅れてしまったのでしょう。

ネット販売にいち早く対応した百貨店もありましたが(高島屋:日本初の自社モールでの化粧品販売及びオーダーシャツ販売)大多数の百貨店はネットを敵対視するだけでネットの本質を見ようとしませんでした。なんだかんだと自社に都合の良いように否定し、前向きに取り組もうとしなかったのは経営層の老害そのものと言えるでしょう。(参考:「お客様閉店です」繊研新聞社刊)

自社売場を排し、消化仕入に舵を切って楽な経営をしていた事も大きな要因になりました。ネットを自社で運営するためには基本的に在庫管理が徹底されねばなりませんが配送や返品対応機能など事業スキームの組み立てができなかったのです。取引先の機能を利用するにも百貨店側にそれを行える機能組織自体を廃止して所持していなかった事が理由です。通販を行っていた百貨店はネットへ転換が可能であったのですが、結局カタラグ通販をそのままネット展開しただけでは消費者の求めるスピードにはついて行けなかったのです。

今でも百貨店はネット販売にこだわり、ネット販売売上で100億とか200億とか叫んでいますがインフラ整備投資もせず、ネット専用の為に採用した社員も居らず、ただただ掲載点数を増やせば売上は向上するという、カタログ通販そのまま発想では永久に売上を伸ばすことは難しいでしょう。これからのネットは、如何に百貨店の強みをネット上に展開できるかという点に掛かってきますが、百貨店のネットに於ける強みとは何でしょう。それは楽天やZOZOTOWNと違って取引先メーカーと強力な長年にわたる信頼関係があるということに尽きます。

具体的にどんな取り組みがあるか、次回第3回で検討しましょう。

百貨店復権への道 第1回

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百貨店不振が叫ばれて久しいですが、未だその具体的対策が打てていません。

不振原因に、株価の低迷、販売チャンネルの多様化、消費者のモノ離れなど多々言われていますが、根本的な原因は、ネットを初めとする「技術革新による社会構造の劇的変化」とそれに伴う「社会生活の急劇な変化」にあると言えます。

これはネットやAIの急速な開発・展開により消費者の生活自体が大きく変わりつつあるという事です。従来の社会生活がネットなどの提供する「利便性」により根本から加速度的に変化し続け、最後には政治形態、国家という枠組みさえ変える規模になっているのです。消費者は知らず知らずのうちにその恩恵を生活の中に取り込み、今では無くてはならないものになっています。これは何も都会のお洒落な生活だけでなく、地方都市や過疎地帯の生活困難地域にとっても便利以上の恩恵が受けられる革命的な出来事なのです。

ネットも最初は「24時間・何処からでも・どんなものでも買える」というレベルでしたがAIの進化は今では車の自動運転、現金無しの社会、即日無人デリバリー、シェアーによる所有の不必要化、勤務時間・場所の自由化、などを可能化にし、あれよあれよという間に消費者の社会生活を変え続けているのです。

この変化に百貨店は「全く」と言ってよいほど対応できていません。百貨店はネット対策としてネット上に商品を載せたり自社ホームページで商品販売を行ったりしていますが、どれも「カタログ掲載の代わりにネットに載せた」レベルの展開でとても時代に対応しているとは言えず、現代のスピード感から判断すると2世紀くらい遅れた対応でしかありません。

何故こんなに遅れてしまったのでしょう。第2回はその原因を分析します。

2020年 百貨店復権に向けて

新年あけましておめでとうございます。

クーデター倶楽部では本年、百貨店の再生・復権に向けて現状の課題を明らかにし、その具体的対策を皆様と検討していきたいと思います。更に百貨店と街の関わり合いの中で、地方都市の再生にも言及していきたいと思います。