百貨店復権への道 第3回
百貨店がネット販売の波に乗り遅れまいと必死で足掻いています。伊勢丹は店頭の全商品をネットで買えるようシステムを構築中とのことですが、既にメーカーにより何処のプラットフォームででも販売されているものを今更百貨店のホームページで販売してもわざわざ百貨店のネットに買いに来る人は少ないでしょう。何故ならネットの利点は展開の速さと価格の多様性(安さ)にあるからです。店頭商品をネットで買えるというだけでは今更の感が否めません。
リアル店舗がネットに対して優位性は無いのでしょうか、あるとしたらそれは何なんでしょうか?
プラットフォーム企業と百貨店の最大の差は「メーカー」との取組の差が挙げられます。現在では消化仕入中心でプラットフォーム企業と何ら変わる処はありませんが、現在百貨店はネットに取られた売上利益をカヴァーするためにメーカーとの取引率を上げ、ネットに取られた売上利益をカヴァーしようとしています。集客努力もせず一方的に取引条件だけを変えメーカーが本来取るべき利益を横取りしています。これでは百貨店に商品を廻すよりネットで販売した方が利益を確保し易くなってしまい、百貨店店頭には色・サイズが欠けた残品がストック場代わりに置かれているのが現状ですが、結果さらに店頭売上が下がるという悪循環に陥っているということすら認識できていません。
百貨店がネットに参戦するということは、自社ホーム頁に自社オリジナル商品を掲載すると言う事に他なりません。百貨店にはバイヤーが存在し、百貨店でしか買えない物を創ることができます。取引先と協力してオリジナル商品を造ることができるのです。百貨店の店頭とネットでしか買えないモノならば消費者は百貨店で買わざるを得ないのです。また、まだ日本で知られていない、或いは未だ未輸入品などを他に先駆けて発掘し、ネットで紹介することも有用な使い方だと思います。百貨店の組織力が無ければできない事をするべきなのです。このように百貨店が独自色を出したMDを構築しない限り、圧倒的品揃え量と価格帯を持つ他のプラットフォーム企業や、メーカーのホーム頁に勝つことはできないのです。しかしオリジナル商品=PBというと「安いが売残り、在庫の山」というイメージがあると思います。かつての百貨店PBで成功したものは皆無と言ってよいのですから。しかし、他店との差別化商品といった位置づけから、『百貨店の提案する「秀逸商品」で数を抑えて販売するもの=高額品』というポジショニングに変更できれば富裕層にとり興味を引く商品になること間違いありません。彼等はネットを見て店頭に買いに来るのです。