コロナ禍からの復興2021№18

コロナ禍後の社会はデジタル化、とりわけDXが重要と言われていますが具体的に企業は何をするのでしょう?

「DX=デジタルトランスメーション」とは「企業を取り巻く市場環境のデジタル化に対応するため、企業が行うあらゆる経済活動やそれを構成するビジネスモデル、並びに組織・文化・制度といった企業そのものを変革していく一連の取り組みである」と言われています。

これにより企業はデジタル技術を積極的に導入しよりスピーディに、効率的に仕事を進めようとしていますが、目先のデジタル化では決して上手くいきません。今迄も機械化による効率化と称してさんざん行ってきたレベルだからです。このDXには忘れられがちですが根本理念があります。それは「デジタル技術が全ての人々の生活を、あらゆる方向でより良い方向に変化させる」ことを目的にすることです。

これは決して企業が利益を拡大させるための施策では無く、全ての人々がより良い生活を送れるためのものなので、機械化や効率化による人員削減策では無いことを肝に銘ずるべきです。ともすると経営層は利益最優先の考え方をしますが、目の前のお客様や自社で働く社員が楽しく喜んでもらう事が全ての発想の根本に在るべきで、決して株主ん為に働く等という間違った思想は資本主義的悪の最たるものであることを認識すべきです。※1

※1  2019年8月米経済団体ビジネス・ラウンドテーブルで団体会長のJPモルガンのCEOが株主最優先ではなく、顧客、従業員、取引先、地域社会、株主といった全ての利害関係者の利益に配慮し、長期的に企業価値向上に取り組むと声明を出したこと。当該団体は1997年には「企業は株主のために存在する」という企業統治原則を発表している。

このDXの根本思想を日本の経営者は理解しているとは思えません。何をどうしてよいのやら右往左往状態です。今迄利益追求こそが株主に対する義務だとばかり米国を盲信してきた経営者達は、自社の社員の幸福だとか社会貢献などは適当にお茶を濁していれば良い問題だったからです。

そんな中で日本商工会議所会頭は政府が労働最低賃金を28円引き上げを決めたことに対し「勝手に決めるな!」と激怒した会見を行いました。少し前は日立の社長が「リモートは効率が低下するので全員出社すべし」とテレワークを全面廃止するなど、時代を全く理解していない経営者が数多くいます。というよりほとんどの上場企業の役員は時代が大きく変化し、令和維新と言えるくらいの変革期に在るという事を理解してはいないのが事実ではないでしょうか?

コロナ禍で芽生えたリモートは世界中で国境を越えて仕事を発注する動きが加速しています。一つは自国の労働者の賃金を低いままに抑えるためではなく、働き手が渡航中止や帰国を余儀なくされても事業を継続できるようにするためです。もう一つは優秀な人材を確保するため世界に会社を開放しているのです。そのため、優秀でかつ国内より安い人件費で人材を確保することが可能になっています。

対して仕事もしない、できない社員を高賃金で組合の言うなりに雇うより、高給でも即戦力になる人材を世界中から求める、という仕事の進め方が技術の進歩で可能になったのです。にもかかわらず、いったん就職したら組合の保護下に既得権とばかり、「遅れず、休まず、働かず」という役人に代表されるサラリーマン化が身体中に染みた職員を抱えていることのメリットはもはや無いという事を経営層は肝に銘ずることです。

組合や官僚は生涯雇用制度の権益の下、春闘などという時代遅れの賃上げ闘争では無く、社員のスキルアップのための社会人大学への積極的派遣や、社内教育機会を充実させ企業としての競争力を人的能力に求めていく時代になったことを理解すべきです。もはや年齢差も国境も言葉の壁すら無いのです。

もはや技術の進化は国境すら超越し、ビジネスを新の意味で国際化させているのです。それに気付けない経営者や組合はもはや存在意義はありません。これからは利益至上主義の悪しき資本主義ではなく、地球環境に優しく人々に心地よい社会を創設するためにAIを初めとする新技術を有効に活用し、より便利により分かり易い社会を目指すべきでしょう。目先の既得権益を守るだけの時代は終わったのです。

コロナ禍からの復興2021№17

コロナ禍後に消費者はどう変わるのでしょう。

SDGsやDXという文字が新聞を開けば躍っています。SDGsやDXを行わない企業には株主は投資せず、金融機関も資金提供をしないと言っています。地球の環境問題や、脱炭素に貢献しない企業には社会は背を向けるとばかり、既存企業をはじめ新興企業はこの言葉を金科玉条に資金を集めています。

消費者も「何か地球や自分達の環境に貢献したい」と多少価格が高くても自然素材が材料の商品を購入したり、製造過程で二酸化炭素を排出しない方法で造られた商材を選んでいます。所謂「市民」化で欧州では意識の高い独逸や仏蘭西の市民階層=中産階級は早くからこの行動を取っていました。自分達の世界は自分達で守るという意識です。

日本の消費者は2極化で貧困層が増加していると言われますが、教育水準や生活水準は他国のどれよりも高いものがあり、欧米諸国に負けない社会意識の高さがあります。今迄の主価値観であった「皆と一緒」が良いとされた時代は終わり、自己表現や自分の求める価値を追求するライフスタイル型生活が若い世代を中心に徐々に伸長しつつあります。

結果、コロナ禍により消費者は今迄以上に自分のライフスタイルについて明確な意思を持つでしょう。テレワークや週一出勤、時短勤務体系、などを今迄は絵空事で会社も組合も消費者も真剣に考えてこなかった事柄が現実に起こり、実際デジタル化技術が圧倒的に進歩しているにもかかわらず、我が国では古い頭の官僚の前年主義と、意味の無い春闘だけで1年過ごす労働貴族の組合幹部、メール一つ打てない上場企業の役員と国会議員達の前にデジタルどころか、効率化とは人員削減と同義語でしか捉えられていない現状に消費者そっぽを向くでしょう。

一流国と信じて疑わなかった日本がデジタルでは完全に世界に、いやアジアからでも後れを取っている現実をまざまざ見せつけられた消費者は、それでもなおコロナ禍が過ぎれば社会は元に戻ると信じているこれら百害あって一利なしの旧社会の上級構成員が牛耳る実態を目のあたりにし、「企業や国は信用ならず、自分のことは自分で守るしか無い」と少ない給料を貯蓄に回してきたことは決して無駄ではなかったと確信するに至っています。

マイ№制度は個人情報の漏洩だからと抵抗する一部外国籍の訳の分からない人権擁護派と称する輩や、何もしないで組合員の会費で飲み食いしている形骸化した各種組合幹部たち、テレワークでは作業効率が下がるとして在宅勤務を拝して全員出社に切り替えた一部上場企業の超名門企業社長、など新しいデジタル社会には不要な連中が蔓延る社会はとてもとても国際社会で生き残ることはできません。

消費者達は自己のライフスタイルを確立し、一度しか無い人生をどうやって過ごすか、を全ての根幹に据え、自己の考えと相容れぬものは毅然として切り捨てていくことでしょう。断捨離から始まった無用なモノを持たない生活は、自分に理解の無い会社まで切り捨てようとしているのです。

もはや収入の多寡が生活の中心では無くなりつつあります。確かにお金は大事で1円でも多く貰いたいのは事実ですが、そのために2時間も満員電車に揺られ、無駄な残業を強いられ、休日まで接待に駆り出されるような会社に全く未練は無いのです。それより家族と一緒の時間を大切にしたり、自分の趣味の時間を取ったり、夫婦の会話を楽しみにしたり、自分の人生を自分で切り開くことに生きがいを感じていくのです。

良い学校に入り、良い企業に就職し、順々に出世していき、運が良ければ役職に就ける。そのためには家庭も自分も時間も生活も全て犠牲にする今迄の生活に消費者が戻りたいと思うはずがありません。そんな生活モデルは誰も望まないのです。

しかし、老害とも言える高齢者の経営層はこの事実を認めようとはしません。利害関係が強い組合幹部も外国の影響下にある所謂特権階級もこの事実を認め、積極的に社会構造を変えようとはしないのです。だいたい、日本の企業で一体どれくらいが本当にSDGsを理解し、DXを実行しようとしているでしょう?大多数の企業TOPは言葉遊びでお茶を濁そうとしているだけです。

かつてネットが出始めたころ、その意味も意義も可能性も理解できなかった老害たちは、寄ってたかって導入を妨害したものです。自分達が知らないものは怖いのです。今回も同じことです。

コロナ禍からの復興2021№16

コロナ禍が収まればまた元の生活が戻ってくるのでしょうか?

コロナ禍が終息すればまた元の生活が戻ってくるという経済評論家や経営者は数多くいます。人々は今迄以上に触れ合いを求め街に出るためより活性化するという人さえいます。しかしそれは本当でしょうか?

確かに経済は復活し消費も堅調に戻るでしょう。でもその中身が違う事に気付かねばなりません。コロナ禍による経済の世界的停滞は確かにその通りですが、我が国の経済はコロナ禍前から低下し始めていたことを忘れてはなりません。デフレ経済が定着し、モノの価格は低く抑えられていたどころか年々下がっていたかもしれません。実際、2011年度から消費者物価指数はほとんどの品目で前年を切り続けていました。

衣料分野でもUNIQLOによる価格破壊やZARAやH&Mによるファストファッションが急成長を果たし、旧大手は全面的に売り上げを落とし続けていました。ホテル業界もアパホテルや東横インなどのビジネスホテル系が出張族以外にも一般旅行客を囲い込み最安値は¥2,980まで出現したほどです。

消費者は「地球に優しい」「断捨離」「環境保護に協力」などでゴミ掃除のボランティアや余計なモノを持たない生活が主流になりつつあり、「モノ寄りからコト寄り」へ消費が大きくシフトし始めていた矢先にコロナ禍が始まったのです。銀座で豪遊するより家族でキャンプに行き、家族の時間を大切にする、貯金を叩いて全身ブランド品に身を包むより、無名のブランドの商品を上手にコーディネートする、など他人と同一で或ることに安心するのではなく、自分のライフスタイルをきちんと持ちそれを楽しむことが素敵な時代と認識しだしたのです。

消費者はコロナ禍後は我慢していた消費欲が一挙に爆発するでしょうが、あくまで一過性で直ぐに自分のライフスタイルを取り戻すでしょう。そうなった時に小売り各社の対策は万全なのでしょうか?コロナ禍前では「安くなければ売れない」とばかりに低価格競争のみが生き残る唯一の戦略とバカの一つ覚えに価格を下げ続けた結果、利益率は低下し、在庫は膨らみ売り上げのみを予算化していたほとんどの企業が赤字に転落し復活を果たせずにいたことを思い出すべきでしょう。

コロナ禍の下、来るべく時代に対応すべくAI活用策や顧客データ活用策、新しい販売方法の開発に全く新しいMDの構築、新規販売戦略・宣伝戦略・SNS活用戦略などを研究開発したでしょうか?売上予算の他に新規顧客獲得予算、来店頻度向上、購買点数増加、購買単価向上などの策を検討かつ実用化させたでしょうか

口を開けばネットとリアルの融合と100年前の念仏を唱えるだけの経営層はもはやコロナ禍後の新時代には対応できません。総退陣して30歳、40歳代の若手を起用すべきです。メール一つ十分使いこなせない役員はもはや退任してもらい、若い技能と情報、それに知識を持った世代が次の時代を切り開くべきなのです。

そのためには組織の在り方、会議の在り方、個人目標を明確にした人事制度、情報共有の仕組み、販売員の技量&収入大幅増加による生産性の圧倒的向上、新PB戦略構築による利益額の大幅向上、リアルとネットの棲み分け戦略=来店しないと買えない仕組みの構築などが不可欠なのです。

しかし残念なことに来るべき時代に対応すべく必死で顧客ニーズに対応を考えている企業はほとんど無いと言えるでしょう。特に現在の一部上場企業で経営層が60歳代の企業は生き残れないでしょう。生き残れるのは自社の顧客ニーズにどうやったら対応できるか現場から経営層まで一丸となり危機感を持ち、皆でアイデアを出し、残り少ない経営資源をどの分野にどう振り分けるか真剣に検討し、そのために新しい技術やAI機能を積極的に取り入れ自己改革を行った企業だけです。

日本の企業のほとんどはSGDsを理解せず、消費者の志向を理解せず、目先の売上確保に目の色を変えるだけなのです。その原因は社長から新入社員までラリーマン化し、新しい試みを行って失敗するより安全な前年踏襲主義に陥っているから他なりません。

コロナ禍後に確実に訪れるデジタル化社会において、消費者は何を求め、何を指向するかAIを使った確実なマーケティング手法を開発して顧客データの活用を積極的に行うしか無いのです。目先のSNS活用策だとか価格戦略ではもはや手遅れなのです。この事実に経営層は一刻も気付いて貰いたいですし、社員は上に意見具申すべきなのです。

コロナ禍からの復興2021№15

今迄コロナ禍の影響と対策をいろいろと分析してきましたが、肝心の消費者はどう変わるでしょう?

昨今K字回復と言う言葉をよく目にしますが、これは経済が落ち込みから回復する際、業績を伸ばす勢力と落ち込みが拡大する勢力に二極化される要素を表す用語であります。「K」の右上に伸びる線は強い企業を右下に下がる線は弱い企業を表していますが、製造業は右肩上がりで非製造業は右肩下がりが現状です。

しかし長期的にみるとどうでしょう?製造業は増々機械化が進捗し、現場での所謂工員は減り、AIのプロミングや新しいソフトを開発する要員のみが求められるようになります。工員は熟練工のみが求められ、新卒ではなく中途採用で即戦力が求められるようになります。現在は有効求人倍率が製造業では1倍を遥に超えていますが、このまま増加し続ける事は無いでしょう。

一方非製造業、特に運送業を除いては人員余りが続いています。飲食業では人員が足らないといわれますがそれはアルバイトや非正規社員パート社員が足らないということで、正社員が足らないということではありません。配送業ではネット販売の急速な拡大に伴い配送員が足らないのが現状ですが、これすら新しい配送手段、ドローンや配送ロボット、などの新しい技術が開発されることによりとってかわることは間違いありません。

製造業では今迄のメンバーシップ型雇用からジョブ型が進捗すると思われ、逆に非製造業ではメンバーシップ型希望が若者を中心に拡大しています。仕事がこのように変わると人気職種もも大きく変わり、現在の一部上場企業が将来に存続するという事はこのままでは大変難しいことに成るでしょう。なぜなら生涯勤めて総合職になるより、自分のやりたい職務の専門職なり、スキルを高めるために転職を繰り返す欧米型がこれからの社会に合っているからです。

コロナ禍で判明したように遅れているデジタル化社会が進捗すれば間違いなく社会構造が変化し、同時に生活自体が大きく変わっていきます。今迄当たり前であった既成概念は通用しなくなり、仕事の中身もやり方も全く違ものに成るからです。消費者の生活は確実に大きく変化します。コロナ禍後に元のように消費者が単純に戻ってくるというのは誤った幻想以外の何物でもありません。

k字回復した結果の新富裕層は豊富な資産を投資に回し、より資産を増やす事が容易になります。一方K字回復の低収入層は子供の教育費や家賃ローンなどに追われ、一億総中流化の夢は儚く過去りスラム化が始まります。こうなると一部の富裕層と多数の低所得層に別れた消費者対応が必要になります。

しかしどちらの層もコロナ禍を経験したのでいざという時の蓄えを増やす事が基本の生活意識に成ります。コロナ禍まえから少しづつ育まれていた地球にやさしいとか無駄なものは持たないなどの思想をより生活に密着させたライフスタイルです。富裕層も貧困層も自分にあったライフスタイルを楽しむようになるでしょう。

SGDsは確実に消費者に定着し、無駄な消費や環境に悪い消費は完全に否定され、所有することより共有することの便利さと重要性が消費価値の中心になるでしょう。結果、高額品を身に着ける事が「素敵」ではなく社会に自分なりにできることで貢献している人が「素敵」な人に成るのです

結果、消費は大きく変わります。必要以上にモノを持つことは不要でありダサいことであり、必要な時に必要なものをリースして家族や友人たちと地球に優しく、地球の恵みを遊べる人がかっこよい社会に成るのです。自分の趣味や好みを明確に楽しむ生活が大変重要になります。

残業したり休日出勤したり、接待ゴルフで家を空けたりするライフスタイルは大変ダサいものになります。逆に家族との時間を優先し、仕事より家庭人としての生活を主に考える消費者が一般化します。趣味や家族を通して養った人間関係は会社と通じて培った人間関係よりよほど為になり、新しい人間関係の環は消費者の生活を更に豊かなものに変えてくれます。

これから世界と競争していくには先進国で圧倒的に低い生産性を上げねばなりません。往復3時間もかかる通勤時間や残業が当たり前の労働意識、結果主義ではなく前年主義では新しいことは生まれません。給料の安さもわが国特有で生産性の上がらない要因の一つということに気付いている企業はありませんし、組合も企業となれ合いでもはや存在意義はありません。春闘など問題外です。

コロナ禍を経験して消費者はその意識をどんどん変えています。あとは企業がそれに対応できるか否かが重要になってくるのです。