コロナ禍からの復興2021№15

今迄コロナ禍の影響と対策をいろいろと分析してきましたが、肝心の消費者はどう変わるでしょう?

昨今K字回復と言う言葉をよく目にしますが、これは経済が落ち込みから回復する際、業績を伸ばす勢力と落ち込みが拡大する勢力に二極化される要素を表す用語であります。「K」の右上に伸びる線は強い企業を右下に下がる線は弱い企業を表していますが、製造業は右肩上がりで非製造業は右肩下がりが現状です。

しかし長期的にみるとどうでしょう?製造業は増々機械化が進捗し、現場での所謂工員は減り、AIのプロミングや新しいソフトを開発する要員のみが求められるようになります。工員は熟練工のみが求められ、新卒ではなく中途採用で即戦力が求められるようになります。現在は有効求人倍率が製造業では1倍を遥に超えていますが、このまま増加し続ける事は無いでしょう。

一方非製造業、特に運送業を除いては人員余りが続いています。飲食業では人員が足らないといわれますがそれはアルバイトや非正規社員パート社員が足らないということで、正社員が足らないということではありません。配送業ではネット販売の急速な拡大に伴い配送員が足らないのが現状ですが、これすら新しい配送手段、ドローンや配送ロボット、などの新しい技術が開発されることによりとってかわることは間違いありません。

製造業では今迄のメンバーシップ型雇用からジョブ型が進捗すると思われ、逆に非製造業ではメンバーシップ型希望が若者を中心に拡大しています。仕事がこのように変わると人気職種もも大きく変わり、現在の一部上場企業が将来に存続するという事はこのままでは大変難しいことに成るでしょう。なぜなら生涯勤めて総合職になるより、自分のやりたい職務の専門職なり、スキルを高めるために転職を繰り返す欧米型がこれからの社会に合っているからです。

コロナ禍で判明したように遅れているデジタル化社会が進捗すれば間違いなく社会構造が変化し、同時に生活自体が大きく変わっていきます。今迄当たり前であった既成概念は通用しなくなり、仕事の中身もやり方も全く違ものに成るからです。消費者の生活は確実に大きく変化します。コロナ禍後に元のように消費者が単純に戻ってくるというのは誤った幻想以外の何物でもありません。

k字回復した結果の新富裕層は豊富な資産を投資に回し、より資産を増やす事が容易になります。一方K字回復の低収入層は子供の教育費や家賃ローンなどに追われ、一億総中流化の夢は儚く過去りスラム化が始まります。こうなると一部の富裕層と多数の低所得層に別れた消費者対応が必要になります。

しかしどちらの層もコロナ禍を経験したのでいざという時の蓄えを増やす事が基本の生活意識に成ります。コロナ禍まえから少しづつ育まれていた地球にやさしいとか無駄なものは持たないなどの思想をより生活に密着させたライフスタイルです。富裕層も貧困層も自分にあったライフスタイルを楽しむようになるでしょう。

SGDsは確実に消費者に定着し、無駄な消費や環境に悪い消費は完全に否定され、所有することより共有することの便利さと重要性が消費価値の中心になるでしょう。結果、高額品を身に着ける事が「素敵」ではなく社会に自分なりにできることで貢献している人が「素敵」な人に成るのです

結果、消費は大きく変わります。必要以上にモノを持つことは不要でありダサいことであり、必要な時に必要なものをリースして家族や友人たちと地球に優しく、地球の恵みを遊べる人がかっこよい社会に成るのです。自分の趣味や好みを明確に楽しむ生活が大変重要になります。

残業したり休日出勤したり、接待ゴルフで家を空けたりするライフスタイルは大変ダサいものになります。逆に家族との時間を優先し、仕事より家庭人としての生活を主に考える消費者が一般化します。趣味や家族を通して養った人間関係は会社と通じて培った人間関係よりよほど為になり、新しい人間関係の環は消費者の生活を更に豊かなものに変えてくれます。

これから世界と競争していくには先進国で圧倒的に低い生産性を上げねばなりません。往復3時間もかかる通勤時間や残業が当たり前の労働意識、結果主義ではなく前年主義では新しいことは生まれません。給料の安さもわが国特有で生産性の上がらない要因の一つということに気付いている企業はありませんし、組合も企業となれ合いでもはや存在意義はありません。春闘など問題外です。

コロナ禍を経験して消費者はその意識をどんどん変えています。あとは企業がそれに対応できるか否かが重要になってくるのです。

 

 

 

© 2015 Coup d'etat CLUB.