コロナ禍からの復興2021№16
コロナ禍が収まればまた元の生活が戻ってくるのでしょうか?
コロナ禍が終息すればまた元の生活が戻ってくるという経済評論家や経営者は数多くいます。人々は今迄以上に触れ合いを求め街に出るためより活性化するという人さえいます。しかしそれは本当でしょうか?
確かに経済は復活し消費も堅調に戻るでしょう。でもその中身が違う事に気付かねばなりません。コロナ禍による経済の世界的停滞は確かにその通りですが、我が国の経済はコロナ禍前から低下し始めていたことを忘れてはなりません。デフレ経済が定着し、モノの価格は低く抑えられていたどころか年々下がっていたかもしれません。実際、2011年度から消費者物価指数はほとんどの品目で前年を切り続けていました。
衣料分野でもUNIQLOによる価格破壊やZARAやH&Mによるファストファッションが急成長を果たし、旧大手は全面的に売り上げを落とし続けていました。ホテル業界もアパホテルや東横インなどのビジネスホテル系が出張族以外にも一般旅行客を囲い込み最安値は¥2,980まで出現したほどです。
消費者は「地球に優しい」「断捨離」「環境保護に協力」などでゴミ掃除のボランティアや余計なモノを持たない生活が主流になりつつあり、「モノ寄りからコト寄り」へ消費が大きくシフトし始めていた矢先にコロナ禍が始まったのです。銀座で豪遊するより家族でキャンプに行き、家族の時間を大切にする、貯金を叩いて全身ブランド品に身を包むより、無名のブランドの商品を上手にコーディネートする、など他人と同一で或ることに安心するのではなく、自分のライフスタイルをきちんと持ちそれを楽しむことが素敵な時代と認識しだしたのです。
消費者はコロナ禍後は我慢していた消費欲が一挙に爆発するでしょうが、あくまで一過性で直ぐに自分のライフスタイルを取り戻すでしょう。そうなった時に小売り各社の対策は万全なのでしょうか?コロナ禍前では「安くなければ売れない」とばかりに低価格競争のみが生き残る唯一の戦略とバカの一つ覚えに価格を下げ続けた結果、利益率は低下し、在庫は膨らみ売り上げのみを予算化していたほとんどの企業が赤字に転落し復活を果たせずにいたことを思い出すべきでしょう。
コロナ禍の下、来るべく時代に対応すべくAI活用策や顧客データ活用策、新しい販売方法の開発に全く新しいMDの構築、新規販売戦略・宣伝戦略・SNS活用戦略などを研究開発したでしょうか?売上予算の他に新規顧客獲得予算、来店頻度向上、購買点数増加、購買単価向上などの策を検討かつ実用化させたでしょうか?
口を開けばネットとリアルの融合と100年前の念仏を唱えるだけの経営層はもはやコロナ禍後の新時代には対応できません。総退陣して30歳、40歳代の若手を起用すべきです。メール一つ十分使いこなせない役員はもはや退任してもらい、若い技能と情報、それに知識を持った世代が次の時代を切り開くべきなのです。
そのためには組織の在り方、会議の在り方、個人目標を明確にした人事制度、情報共有の仕組み、販売員の技量&収入大幅増加による生産性の圧倒的向上、新PB戦略構築による利益額の大幅向上、リアルとネットの棲み分け戦略=来店しないと買えない仕組みの構築などが不可欠なのです。
しかし残念なことに来るべき時代に対応すべく必死で顧客ニーズに対応を考えている企業はほとんど無いと言えるでしょう。特に現在の一部上場企業で経営層が60歳代の企業は生き残れないでしょう。生き残れるのは自社の顧客ニーズにどうやったら対応できるか現場から経営層まで一丸となり危機感を持ち、皆でアイデアを出し、残り少ない経営資源をどの分野にどう振り分けるか真剣に検討し、そのために新しい技術やAI機能を積極的に取り入れ自己改革を行った企業だけです。
日本の企業のほとんどはSGDsを理解せず、消費者の志向を理解せず、目先の売上確保に目の色を変えるだけなのです。その原因は社長から新入社員までラリーマン化し、新しい試みを行って失敗するより安全な前年踏襲主義に陥っているから他なりません。
コロナ禍後に確実に訪れるデジタル化社会において、消費者は何を求め、何を指向するかAIを使った確実なマーケティング手法を開発して顧客データの活用を積極的に行うしか無いのです。目先のSNS活用策だとか価格戦略ではもはや手遅れなのです。この事実に経営層は一刻も気付いて貰いたいですし、社員は上に意見具申すべきなのです。