近鉄百貨店

昨今、百貨店に大型インショップ導入の動きが盛んになっています。古くはファッションブランドに始まり東急ハンズ、ユニクロへと続き、ニトリ導入迄になりました。小売が小売業を導入する事はどうゆう意味や意義があるのでしょう。導入する側は導入するブランドによる売上や家賃による収入増加を期待するのと、そのブランドの集客力にも大きな期待が寄せられています。この方式が進むと、百貨店はよりディベロッパーに近づき、最終的にはファッションビル化するでしょう。問題は百貨店が意識して最終形態として業態変換を行っているか否かです。百貨店には数多くの社員がいますが、売場をテナント化してしまうと、余剰人員化してしまい、多くの社員が路頭に迷う事になります。大丸百貨店は「百貨店という業態に拘らない」と明言し、ディベロッパーへ、着々と業態変換を推し進めているように見えます。

しかし、百貨店マンとして完全にディベロッパーとして生まれ変わるにはどうしてもジレンマが残らざるを得ません。小売業とディベロッパーは全くもって別の業種で、百貨店がブランドを消化仕入れで入れるのとは訳が違うのです。入れた後の管理運営ノウハウも無いうえ、どうしても「売上を自分達で管理したい、顧客と直接触れ合いたい」という願望は切り捨てられないからです。

まして、業態変換が完了するまで、数多くの同僚の失職を見ざるをえない事は決して楽な事ではないからです。

そんな中、近鉄百貨店は自ら人気業種のフランチャイズになり、自社に導入を計っていく方針を強化するそうです。こうすれば、人気があり集客力があるテナントを導入でき、雇用確保にもなるという、一石二鳥がみこまれる訳です。

百貨店がその看板を掲げる為には、自ら仕入れ、自ら販売するという不文律が有りましたが、時代の流れと共に、生き残る為には変化せざるをえない事は必然なのでしょう。

百貨店は消費文化の担い手として、単に商品を販売するだけでなく、文化催しや物産展等、消費者を楽しませて来ました。ここへ来て、その余力はありません。生き残りを掛けて、どのように変わっていくか見届けたいと思います。

ガイアの夜明け

1月5日の「ガイアの夜明け」で、『百貨店は消滅か進化か』というテーマの下、熊本の鶴屋百貨店が大きく取り上げられていました。鶴屋社長が「お客様を家族、親戚と思ってどうしたら満足して貰えるか考えています。」と話されていました。開店前にお客様を店内に入れ寒さを凌いで頂く、とか、社員発案のイベントを積極的に行う社員のモチベーションを上げる、コンシェルジュサービスで徹底して顧客を囲い混む等で、百貨店人からみればどこの店でも当たり前に行っている事のように見え、目新しさは感じませんでした。しかし、これが大きな成果を上げているそうです。何処が他社と違うのでしょう?幾つか要因は有るのでしょうが、最大の原因は、社員が「やらされている」感ではなく、現状に危機感を持ち、自分達で何とかしなければという積極的参加意識がとても高いと言うことではないかと思いました。

村上りゅうが最後に、『百貨店業界が生き残るのではなく、どの企業が生き残るか、と言うこと』と締めくくっていましたが、正にそのとうりだと思います。

謹賀新年

2017年は素晴らしい晴天の下始まりました。各百貨店の初売りも福袋を中心に好スタートを切ったようです。

しかし、取り巻く環境は予断を赦しません。単なる経済状況だけの問題ではないからです。百貨店の業務構造が時代に会わなくなっている事からくる『歪み』が、消費者との距離をより一層拡げているからです。結果、対処療法では遺憾ともし難い状況に陥ってしまっています。今年こそ、今までの経験や感に頼った営業ではなく、時代に合った営業手法を研究開発する時代にしてください、時間は余り残されていません。

本年が、小売業に関わる全ての人にとり、良い年になりますよう祈念致します。

2017年 元旦 クーデター倶楽部議長 内野幸夫

伊勢丹の挑戦


伊勢丹PB商品の『靴』が海外進出だそうです。かつては他社との差別化政策で他社に卸すなど論外でした。一時期はほとんどの大手百貨店をはじめ地方百貨店や総合スーパーまでPB商品花盛りでしたが、現在まて残っているのは食品スーパーPB位で、百貨店系はほぼ全滅状況です。

なぜなら百貨店の店舗数で売れる量はたか知れており、拡販をしない限り採算が取れるまでの数量が販売できず、結局数年経つと中止されてしまうからです。多くの百貨店はあらゆるアイテムでPBを作っては撤退を繰返し、最後には諦め撤退していったのです。現在では自主の売場も無く、売るための自社販売員も持たず、モノを作れるバイヤーも居ないためPBを作る事は不可能になってしまいました。そんな中、伊勢丹は地道にデザイン企画から生産管理まで自社で行える体制を整備し、少しづつ経験とノウハウを蓄積し、始めてから10年を経て海外にその販路を求め進出するまでに成長したのです、現在では10万足生産するまでになったのです。『なんだ、たった10万足か』と言う声が聴こえてきそうです。しかし、マスコミも同業他社も実際無責任な評論だけて、10万足の持つ本当の意味を理解していません。特にメーカーや百貨店のマスコミ向け先行バーゲンで7~9割引でしか買わない連中は、モノを作り出す難しさや苦労など全く理解しようともせず、海外ラグジュアリーしか認めようとしないのです。そこで、『伊勢丹はポップアップしかしない』『靴PBは安物』としか評価できないのです。現場では、お客様の声を徹底して集め、従来の常識と違い、幅の小さい2Eや1Eが求められている事や歩きやすいヒール開発を行い、単なるNBとデザイン違いでしかない、見掛けだけのPBとは全く異なるPBを開発しているのです。

百貨店は12月23.24.25日は久しぶりに絶好調で12月予算をクリアしたと思われます。そして、血の滲む思いでPBに再挑戦している伊勢丹の海外進出が本年最後の報告で、少し気が軽くなりました。『百貨店はまだまだやれる』と。

皆様、良いお年を!

杉浦社長、ご苦労様でした。

三陽商会杉浦社長が退任を発表なさいました。バーバリーから転換したマッキントッシュが売上を達成できず、会社が赤字化した事へのケジメをつけられたと、巷では言われています。しかし、昨今の小売り市場の状況を見るにバーバリー無き後、杉浦社長が取られた施策は決して間違ったものではありませんでした。バーバリーに代わる主力ブランドに自社ブランドを立てる策もあったでしようが、残念ながら売上、知名度共に期待できるものが無かったのが事実です。マッキントッシュ以外の海外ブランドを検討しても、そこそこ知名度があり、売上が期待出来るブランドはやはり見当たりません。やはり、実績があり、期待できたのはマッキントッシュしかないのです。杉浦社長はたった一人で全国行脚を行い、バーバリーからマッキントッシュへの転換を各百貨店にお願いし、99㌫の完全移行に成功したのです。杉浦社長でなければ出来えない事でした。

しかし、結果は振るいませんでした。要因はいくつか挙げれます。全ブランドが低迷するほど、戦後ファッションの大きな曲がり角に差し掛かっており、バーバリーとて苦戦を免れない状況下にあり、転換ブランドが大きく羽ばたくムード化では無かった事。宣伝に多額の資金を投入したが、従来の紙媒体主力で、顧客層が使いこなすネットへの宣伝が弱く、マッキントッシュを認知させられなかった事。主力販売先の百貨店が極度の不振に見舞われている事。マッキントッシュが強いメンズ市場が全く売れていない事。等、幾つかの原因が重なった事が真相だと思います。上場会社ですから社長の責任といわれたらそうですが、いつも前向きで明るい杉浦社長の退任は業界にとり、大きな損失だと思います。成績不振で席を追われるなら、もっと早く席を退くべき人は沢山居そうです。

杉浦社長、長い間大変ご苦労様でした!

お客様、閉店です

クーデター倶楽部議長の内野が、現在の百貨店不調の根本原因を解りやすく解説した本を上程しました。単なる経済状況の低調に原因を求めるのではなく、百貨店の体質及び構造にその原因を求めています。戦後70年続いた大量生産、大量販売が、多層化した消費ニーズに対応出来なくなっている、と分析しています。

クーデター倶楽部での講義をより深堀した内容で、多方面から分析を行っています。

是非、御一読下さいませ。

アマゾンの挑戦

アマゾンが試験運用中の、入金不要のコンビニが話題になっています。前回紹介したボタンによる追加発注システムに次いで発表されました。入口でスマホをかざし、個人認証さえすれば、後は商品を選んで持ち帰るだけ。後はスマホ内アプリで課金してくれるだけ。日本のコンビニも負けていません。買い物かごに自動計算端末が付いていて、所定場所に乗せると自動計算の上、自動で包装迄してくれるというものです。

このように、消費者の利便性追究がどんどん進行するなか、百貨店のサービスが問われます!

アマゾンの攻撃

アマゾンが食品や日用品を簡単に注文できる小型端末を販売開始した。冷蔵庫や戸棚に設置し、飲料や洗剤が切れたらボタンを押すだけで注文出来てしまうそうだ。「買う物が決まっている日用品のショッピングが不要」になる可能性を秘め、スーパーやドラッグストアには脅威となりうる。ネット技術の進化は止まる事を知らず、消費者の生活は便利になる一方である。

かって、アドレスを打ち込まなければホーム頁へ辿り着けなかった時代に、ボタンを押すだけでホーム頁に辿り着ける夢を見たが、現在ではそれ以上の速さで進んでいる。消費者のニーズを汲み取るのは既成概念に凝り固まったプロの小売業ではなく、単純に「これがあったら便利だろう」というより消費者の目線で考えている素人達の方が現実を認識している。

大手のメーカーは百貨店や総合GMSに見切りを付け、新しい商圏を開拓しだしているようだ。

販売員の教育

11月24日付け日経新聞夕刊のコ「あすへの話題」

非常に考えさせられる文章です。私が百貨店に入社した時の教育では、正にこのような接客を教わりました。当時の顧客は目まぐるしく変化する社会や生活に対しての溢れる情報に追い付いて行けず、その道のプロのアドバイスや情報に頼っていました。時代は進み、顧客は当時と比較にならない規模の情報に曝されており、やはりプロのアドバイスを求めています。当時と異なるのは、顧客がある程度自分の好みを自覚しており、流行に左右される事なく、ライフスタイルに関する情報を望んでいる点です。しかし、販売員の接客レベルは50年前なのです。多くの百貨店は 複雑化したポイント制度やレジ操作教育ばかりで肝心の接客方法は教えていないのが現実です。

今こそ顧客のニーズにきちっと対応できる販売員育成をするべきです。

大西社長の挑戦

百貨店各社の中間決算が発表されましたが、何処も苦戦を強いられており、冬物商戦の苦戦も響いて良い話は全く聞こえて来ません。そんな中でも百貨店業界の旗手である三越伊勢丹へのマスコミの論調が厳しくなっています。

マスコミの論調は、「爆買い頼みで策が無さすぎで、そのツケが回って来ている」という単純なものです。これは全く表面しか見ていない3流記事でしかありません。経済記者が良く使う経営改善策のリストラや店舗縮小、営業施策のリニューアルのどれか以外は百貨店の根本を理解していない事の表れです。小論でも度々取り上げましたが、販売員売上歩合制導入や自主MD商品開発の積極的推進、海外進出へ向けた着実な布石、国内新顧客層掘り起こしへの挑戦など、他社が全く手をこまねいている事を果敢に挑戦しています。これらは直ぐに目を出すものではなく、将来への種蒔きです。今やらないと遅きに失するものばかりです。これ等を評価せず、目先ばかり対応する事しか評価出来ない我が国の流通マスコミは3流です。

頑張れ、大西社長。

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