孤軍奮闘

三越伊勢丹が日通、JTBと訪日顧客取り込みのための新会社を設立するそうです。苦戦する百貨店業界において、唯一社、集客からMD再編、海外へ再出店など果敢にチャレンジしています。全部が上手く行くとは限りませんが、小売の形体、ルールに新時代に合った形を必死で模索しています。イセタンミラーに始まったこの一連のチャレンジは形だけを猿真似する他百貨店の追随を許しません。

同日の日経新聞に「BAROQUE  JAPAN」の新規上場に伴う株式募集が、眩しく眼に飛び込んで来ました。他のアパレルを尻目に、国内外で絶好調な数少ない勝ち組であります。この会社の凄さは会議ばかりで一向に物事が進まない大企業病の他社と違い、一旦方向性を上層部が認めたら、後は全て現場の自主性で運営されていくことです。最新ブランドの「AEVES」もデザイナーの堀海斗氏の伸び伸びと創られたデザインがとても時代の先を進んで、とても素敵です。

凋落する旧勢力と台頭する新勢力が、業種業態を超え、新たな小売の創造に向かって混沌とした時代を迎えた今、時代の流れから目が離せません。

AEVES2016 コレクション 堀 海斗氏

アルマゲドンの始まり

セブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう・西武が運営する関西地区の店舗をH2Oリテイリングに譲渡することが発表されました。両社は相互に57億円程度の株を持ち合い、提携に踏み切るとの旨。これを期にそごう・西武は大規模な規模縮小を計り、業

態変化も厭わず、生き残りを模索するとのことである。

百貨店が同業他店に店舗を譲渡するという前代未聞の策を行う意義は何処にあるのだろう?セブン&アイ・ホールディングスとH2Oとの提携は何処まで効果が期待できうるのか?今百貨店に望まれる事は目先の呉越同舟は勿論、縮小均衡策を取るのではなく、「何故モノが売れないのか」真剣に検討し、消費者ニーズをしっかり把握し直し、その上で対策を取るべきを、先に「取り合えず・・・・・」ばかりで、事の本質を理解していないことが現在の危機的状況を招いたと大いに反省すべきである。相互のポイントカードが使えることが顧客の利便性を大幅に引き上げるとは考えにくいし、そごうの看板が阪急に変わっただけで売上が上がれば苦労はしない。

現実味が出てきた百貨店最後の切り札

百貨店の不振が止まりません。ここへきて、上層部もやっと不振理由が経済だけではないと、理解し始めた様です。しかしその根本的対策となると未々充分に練られたものがあるかというと、未だ舵先が決まった百貨店はありません。
一部の経済紙では無責任に「百貨店の大閉鎖時代」が来ると言っています。このまま無為に時間が過ぎればそうならざるをえません。他業態と競争力が無い地方店や郊外店では売上確保は勿論、赤字の垂れ流しを止めることは難しい状況下にあり、衣料中心からありません。MDを変更するのも消費者の眼鏡に叶うか否かは定かでありません。
百貨店はこの従来と全く異なる不況を乗り切るには、大胆な戦略転換が不可欠です。そして社会全体が「百貨店はもうダメだ」という今こそそのタイミングなのです。いずれ持ちこたえられなくなる赤字不採算店を一挙に閉店させ、大都市部に展開している大型店舗をのみを存続させるのです。「積極的閉店策」による赤字部門の積極的な削除です。今なら建物を売却することも可能だし、社員を割増早期退職させたり、配置転換も出来るでしょう。組合も納得するでしょう。行政も何も言えないでしょう。
こうして戦線縮小を計り、「数の論理」から「質の論理」へ転換し生き残りを計るべきであります。これが出来るのはまだまだ多少でも体力があり、早期退職者に充分な退職金が払える今がチャンスなのです。
そうして仕入体制からMd全般、消費者ニーズを再びリードしうる百貨店にならなけば、いけないのです。