GINZA SIX
銀座SIXを見てきました。松坂屋跡に大丸が脱百貨店を掲げてオープンしたテナントビルです。 感想 良い点:これからのMDで重要要素の一つに『広さ』が挙げられますが、どのブティックも従来の百貨店の2倍から3倍の面積を持ち、フルライン展開出来ていること。結果、競合する銀座三越や松屋で買うより、商品を選びやすく買いやすい。 悪い点:MDがラグジュアリーに片寄り、爆買い狙いなので一般消費者がどこまで付いてくるか疑問。日本人顧客をどこまで呼べるかが勝負だが、新規顧客開拓より他社からどれだけ奪い取れるかと言うことになるだろう。また、地下の食品は新業態中心と言うが魅力は全く無い。上層階のレストランも魅力ある老舗は無く、集客には弱い。1階の化粧品も固定客対応型の展開で、衝動買いや新規顧客開拓は難しそう。 東急銀座プラザよりラグジュアリーは格段に揃っており、グレード感も良いが、肝心のMDは新鮮味を感じられず、つまらない。百貨店離れが強まる一方の原因追求をせず、仕入れ形態を変えただけのMDでは、消費者を新規に開拓することは難しいでしょう。
3匹のサムライ
(株)良品計画の金井会長と(株)三越伊勢丹新宿店店長で改革を大西社長と共に推進為さった鷹野さんと3人で会食をしました。最高利益を更新し続けるMUJIと世界最高額を売り上げる新宿伊勢丹の両トップには共通点がありました。それは、どちらも自社の弱点を認識して、それの改善の為、トップ自身が最前線に立ち、自ら旗を振ってきたという点です。 会食に先立ち、金井会長と話した時に『MUJIの衣料は最低だ。UNIQLOの真似して何がMUJIだ!』と話したら、嫌な顔ひとつしないで『そうなんだよ!何処が悪くてそうなってしまうか教えてよ』と、真剣に話されたので正直ビックリしました。後日、本社に呼ばれて再度話をしてくれというので伺ったら、衣料チーム全員が揃っていて、私の痛い話を真剣に聞いてくれました。当然反論も在りましたが、金井会長は『おべっかじゃない貴重な意見だから真剣に検討しよう』と、私が居なくなってから数時間も熱心にブレストしたそうです。飛ぶ鳥を落とす勢いのMUJIの会長なら耳に痛い話しはまず聞こうとしないでしょう。それが率先して謙虚に外部の意見を聞くとは流石です。 伊勢丹新宿店はいつも時節に合ったイベントや百貨店らしいグレード感溢れる催しを開催しています。全館テーマの大掛かりなものから、売り場内でのミニイベントまで、多種多彩な興味深い集客策が考えられ、御客様をたのしませています。いつ行っても何かしら楽しい事や素敵な物があるという、百貨店本来の魅力が一杯詰まっているからこそ、人々は伊勢丹にいくのでしょう。ある時1階の解放区で有田焼を展開してました。通常ですと、ファッション雑貨やラグジュアリーが似合うその場所で何故有田焼なのと聞いたら『ライフスタイルを提案するのでアイテムの枠を越えて展開しなければ御客様の目には入っていても見えて来ないから』と言われ、思わず唸ってしまいました。しかも当初は7階のリビングフロアー展開だったのを、鷹野店長自身が『駄目だ。1階でやれ』と指示したそうです。大抵は波風立てないよう『まぁ、いいか』と妥協してしまいがちですが、鷹野さんは最大効果を限られた資源や資金のなかで最大限挙げるには何が最善か常に考えているのです。 こんなお二人と今後の消費者の行方や小売りのあり方など、今の課題を忌憚の無い話し合いがとても楽しい会食会でした。
盟友の死
(株)ONWARDの石田専務((株)グローバルファッション会長)が亡くなりました。生き馬の目を抜くファッション業界に在って、御客様にどうしたら喜んで貰え、更には他社の利益と働く人達の事を常に考え、少しでも皆が幸せになるように実行為さった業界の『良心』と言われた貴重な人材でした。 柔軟且つ冷静な頭は常に時代の先を見ていました。私がファッション不況を見越して売り場展開の効率化を提案した時、ほとんどメーカーや百貨店関係者が嘲笑った1000坪構想を、真剣且つ早急に検討するべきと理解してくれたのは、石田さんだけでした。この時石田さんが『新しい時代の百貨店との取り組みかたのモデルになるでしょう』と熱く語ってくれた姿が今も忘れられません。 公私に渡りご指導賜った事に深い感謝を述べると同時に、心からのご冥福を祈ります。
韓国事情 第1回
大統領逮捕やGNPの25%を売り上げる大企業の会長は行方不明、実質社長は逮捕という大混乱に止まらず、中国のロッテに対する露骨な嫌がらせや観光客の韓国への差止などで経済的に打撃を受け、更には本来頼るべき日本にさえ喧嘩をふっかけ、にっちもさっちもいかない状況下に陥った韓国に行ってきました。 普段ですと日本人観光客や沢山の中国人で溢れかえっていた南大門や明祠、東大門は関西人の在日韓国人の人達だけが家族連れでパラパラ歩いている程度で、従来の1/20位の観光客数だそうです。「完璧なコピー商品」を争って買っていた中国人は影を潜めてしまい全く見かけません。ブランド品を買っていた日本人はコトよりの食べ歩きやエステに趣味が替わった為、「売上」は激減だそうです。サムスングループの百貨店『新世界』は一般事務向けの本館はまあまあ良いらしく、結構若者で賑わっていました。一方NYバ-グドルフを模した新館は、こちらも中国人は皆無でしたが、元々財閥が娘の道楽でやらせていたので、売上は昔も今も端から無視した一部の金持ち相手なのでがらがらです。格差社会の韓国では米国のように自分の階級に合った店で、身の丈消費をしてきたのと、若い層を中心に徴兵されるまで楽しむという社会意識が強くあり、消費も貪欲だそうです。しかし、一般人は景気の先行き不安や、物価の高騰に対する対策で買い物は押さえており、百貨店も若い顧客に頼っているみたいです。中国もそうでしたが、スターバックスは満員で街中の旧来からの珈琲店は潰れ、珈琲は1杯500円でしたが、タクシーで30分街中を走っても500円なので、貧富の格差、老若の格差、職業の格差を痛烈に感じました。 誰も居ません。日本の百貨店と同じです