3匹のサムライ
(株)良品計画の金井会長と(株)三越伊勢丹新宿店店長で改革を大西社長と共に推進為さった鷹野さんと3人で会食をしました。最高利益を更新し続けるMUJIと世界最高額を売り上げる新宿伊勢丹の両トップには共通点がありました。それは、どちらも自社の弱点を認識して、それの改善の為、トップ自身が最前線に立ち、自ら旗を振ってきたという点です。 会食に先立ち、金井会長と話した時に『MUJIの衣料は最低だ。UNIQLOの真似して何がMUJIだ!』と話したら、嫌な顔ひとつしないで『そうなんだよ!何処が悪くてそうなってしまうか教えてよ』と、真剣に話されたので正直ビックリしました。後日、本社に呼ばれて再度話をしてくれというので伺ったら、衣料チーム全員が揃っていて、私の痛い話を真剣に聞いてくれました。当然反論も在りましたが、金井会長は『おべっかじゃない貴重な意見だから真剣に検討しよう』と、私が居なくなってから数時間も熱心にブレストしたそうです。飛ぶ鳥を落とす勢いのMUJIの会長なら耳に痛い話しはまず聞こうとしないでしょう。それが率先して謙虚に外部の意見を聞くとは流石です。 伊勢丹新宿店はいつも時節に合ったイベントや百貨店らしいグレード感溢れる催しを開催しています。全館テーマの大掛かりなものから、売り場内でのミニイベントまで、多種多彩な興味深い集客策が考えられ、御客様をたのしませています。いつ行っても何かしら楽しい事や素敵な物があるという、百貨店本来の魅力が一杯詰まっているからこそ、人々は伊勢丹にいくのでしょう。ある時1階の解放区で有田焼を展開してました。通常ですと、ファッション雑貨やラグジュアリーが似合うその場所で何故有田焼なのと聞いたら『ライフスタイルを提案するのでアイテムの枠を越えて展開しなければ御客様の目には入っていても見えて来ないから』と言われ、思わず唸ってしまいました。しかも当初は7階のリビングフロアー展開だったのを、鷹野店長自身が『駄目だ。1階でやれ』と指示したそうです。大抵は波風立てないよう『まぁ、いいか』と妥協してしまいがちですが、鷹野さんは最大効果を限られた資源や資金のなかで最大限挙げるには何が最善か常に考えているのです。 こんなお二人と今後の消費者の行方や小売りのあり方など、今の課題を忌憚の無い話し合いがとても楽しい会食会でした。