再生なるか、百貨店№4

HPフランスが主催する展示会「rooms」へ行ってきました。「rooms」のクリエーターの目でふるいが掛けられているとはいえ、どれも個性豊かな若いクリエーター達の熱い思いのこもった商品が沢山展示されていました。展示の方法も路地のような曲がりくねった500メートルもの距離を、いつの間にか歩かされてしまいますが少しも疲れもせず,飽きもしないのです。百貨店のような大分類・中分類・小分類といった括り方ではなく、ある程度同類での括りはあるものの、基本的にはテイストで括られ、自分の趣味に合うゾーンでは熱心に、違うゾーンでは興味本位に、とても楽しく回ってしまうのです。所々に設置されたカフェや休憩所も的を得た配置で、とても考えられています。商品を売り込むクリエーター達も、真剣な眼差しで熱く語ります。百貨店が忘れてしまった「小売りの原点」を見たような気がしました。大手のイベント会社が企画する「本格的」展示会と一線を画し、手作り感満載の、緩い空気の中で、だけれど一生懸命商品を説明する熱気がひしひしと伝わる「rooms」展示会は楽しいのです。その空間も時間も素敵なのです!伊勢丹の大西前社長が「百貨店の従来の分類で展開された売り場はつまらない」と話していた事を思い出しました。今の百貨店は全てが「効率」というキーワードで判断されており、そこには「消費者」という意識は存在していないのです。消費者が「つまらない」と思っても百貨店にとり効率が良いと判断されれば、それが正解とされるのです。結果、どれだけのつまらない「正解」が積みあがっているでしょう。「rooms」展示会を見て、本来は百貨店がやるべき若いクリエーター発掘の役割を強く感じました。次の世代を担うクリエーター発掘の役割です。しかも百貨店には「売り場」があります。若いクリエーターが自分の商品を消費者に見て貰え、その実力を試せる場所があるのです。販売はクリエーター自らが行えばよいのです。かつて新宿高島屋にはこのような「クリエーター発掘ゾーン」がありました。クリエーターは勿論、消費者からも大変支持されたゾーンでした。週替わりで若い才能が展開され、消費者とクリエーターの対話もはずみにんきがありましたが、「効率」が悪いと店長次第で直ぐに閉鎖されてしまいました。百貨店は客商売です。ですから「お客様第一主義」でなければなりません。しかし、お客様第一主義というのはお客様の望むことを実現することは勿論、お客様に常に新しい情報を提供し続けることも不可欠なことなのです。それは決して楽ではなく「効率的」な行為ではありません。でも百貨店は消費文化のリーダーとして時代の先端を常に走り、より良い生活を消費者に提示し続けなければいけないのです。企業ですから利潤を追求するのは当たり前ですが、消費者に利益を還元することなく自社で独占しようとするだけでは時代に合わないということを認識すべきです。

百貨店が再生するためには、真剣にすべてを見直す時期に入っているのです。目先の改善では生き残れないのです。

何処へ行くのか、百貨店№3


日本の百貨店のみならず、米国でも百貨店業態は大苦戦中です。メーシーズは100店舗閉店しニーマンマーカスも65店舗を閉店しています。JCペニーは130店舗を、それでも経営は苦しく今年更なる閉店が噂されています。不振要因は何なのでしょう。日米とも最大の外的要因はネット販売の拡大ですが、内的要因は自己改革の遅れです。自社の顧客に対して全く新規商品を提案することなく、買い物に対する利便性を追求することもせず、新しいサービスも開発せず、顧客のニーズも把握しようとせず、ひたすら前年実績主義で乗り切れると信じて、「何もしなければ嵐は去る」とばかりに時代を読もうとしなかった「つけ」が廻ってきたのです。かつての「定価制度」「ワンストップショッピング機能」「輸入ブランドの紹介」など、今日の消費活動の基礎は全てと言ってよいほど百貨店が創り上げてきたものです。しかし、ここ30年、新機軸の商品もサービスも生み出せてはいないのです。売り場展開も単品集積売場からブランドブティック化した後の顧客のライフスタイル指向に対応しうる売場開発はできていません。ましてはネットに対応できる新規の売場開発など全く手つかずの状況です。機械化したのはレジだけで相変わらず人海戦術の販売手法から脱却できていません。「高級化が百貨店の生き残りの路線」でボリュームからの脱却も叫ばれていますが、現在高級化を推し進めている百貨店はありません。むしろ場所貸しにより生き残ろうとする機運のほうが、マスコミの勉強不足と相まって強いくらいです。

米国の百貨店はカナダの投資会社「ハドソン ベイ」が触手を伸ばしていますが、百貨店としての価値では無く、保有する店舗の資産価値を狙ってのことです。土地と建物の資産価値のみを見越してバラバラにして売るのが基本的ヤリ方ですので、サックスもバーグドルフも別の業種へ変更してしまい、「百貨店」が米国から無くなってしまうかもしれません。現に欧州ではほとんどの国で百貨店は消滅しております。

こう思うと伊勢丹の大西社長の失脚は大きな痛手です。百貨店で唯一、「百貨店として生き残ろう」と努力していた大西社長を失ったことは百貨店業界全体の計り知れない損失です。

 

再生なるか、百貨店?№3

脱時間給制度が検討されています。

今、政府や財界は新しい「働き方」の具体策として「脱時間給」制度を提案しています。これは未だ始まったばかりの改革ですが、流通業に置き換えて考えてみると、大変有効な施策のように思えます。ショップで一生懸命働いてバリバリ売り上げを挙げるAさんと、ただ一日中接客もしないで時間を過ごし、やたら残業をしたがるBさんでは当然会社に寄与する価値が違いますが、現行の「時間給」制度では給料は残業をするBさんの方が高くなってしまいます。これでは企業はもちません。日本の古き慣習である「企業に勤めるのであって、職種で務めるのではない」という思想の弊害部分でしょう。海外では販売員で入社すればずっと販売員ですし、バイヤーで入社すれば辞めるまでバイヤーです。その代わり企業にどれだけ貢献したかという「業績主義」なので、売れば売るほど売上歩合金が入る仕組みになっています。日本のいくら売っても給料が変わらないというのとは根本的に仕組みが違うのです。販売員だが役員より給与が高いと言う人は海外では結構いますが、日本ではありえません。また、「販売員で役員」というのも海外では当たり前にいますが日本では皆無です。日本は会社の中のあらゆる部署を経験することにより出世し、判断力を養うことが条件となっているからです。全く考え方が海外とは異なっています。しかし昨今、労働生産性の観点から働き方を見直すと、どうみても「脱時間給」で「成果主義」の要素を取り入れないと人頭生産性や時間生産性を上げることはできません。日本の百貨店は労働組合が強く、「悪平等」的な考えがまかり通っています。やはり頑張った人にはそれ相応なメリットを与えなければ、人はやる気を無くします。かつて伊勢丹の大西社長と販売員の「売上歩合制度導入」を話したことがあります。基本給を今の7割に抑え、代わりに売上歩合制をつけると言うものです。やった人が成果に応じた給与を得られる仕組みです。この導入に課題は何かと大西さんが尋ねたので、「一番の課題は組合の説得、2番目が基本給の設定割合、3番目が実験売り場の設定」と話しました。それから1年後に実際30の実験売り場を設定し、店全体が予算を切る中、18の売場が予算をクリアーし10の売場が前年クリアー、結局前年を取れなかったのは2つの売り場しかなかったと教えてくれました。百貨店の改革とはこのような、従来の常識に捉われないで業態の根本から見直すことではないでしょうか?今後、人で不足が叫ばれている業種の百貨店は人頭生産性向上策として大いに研究すべき課題だと思います。伊勢丹が今後この売り場を維持拡大するのか、それとも組合主導で潰されてしまうのか大変興味があります。

再生なるか、百貨店№2


百貨店からディベロッパーへ

現在百貨店は大丸や高島屋の不動産シフト成功に右へ倣えとばかりに、「売り場の賃貸化」へ急速に舵を切っています。自主で商品を買い取り、自社で販売していこうとした伊勢丹の大西社長がクーデターにより失脚してからというもの、どの百貨店も安易な『場所貸し屋』に成り下がろうとしています。取引先を脅かして値入率を下げさせるのが限界点にまで達した今日、商品も販売員も取引先負担ではこれ以上の商品利益率向上は望めません。その結果、より確実に利益を確定するために不確定要素の多い「販売業」から「テナント業」へシフトする流れが大きなうねりとなり始めているのです。しかし初めからディヴェロッパー業をおこなっている企業と百貨店からの転換では基本的に大きな要素が異なっているのです。それは抱える社員数です。因みに高島屋が運営する㈱東神開発は総員200名足らずで国内12か所海外2か所の業務をこなしています。取り扱い売上高で3,000億円、実売上高でも450億円は優に超える金額を叩き出しています。1店舗で数百名の社員がいる百貨店とは根本的な経費構造が違うのです。ですから単純にディバロッパー業に進出しても、社員数が減るわけではないので経費が削減するわけではありません。利益は簡単には出ないのです。百貨店は十年後を見据えて人員削減に入るでしょうが、それまで持ちこたえるか否かは判りません。所詮、ディベロッパー業への転換とは社員の首切り以外の何物でもありません。また、ディベロッパーに不可欠なフロアー全体および全館のMDを組めるマーチャンダイザーの育成も百貨店では未成熟です。各アイテムごとに分けられた百貨店のバイヤー達はライフスタイルに沿ったMD構築までは学んでいません。細かい小さな部分へ入っていくことは得意ですが、大きな全体の流れを見る訓練は受けてはいないのです。その為、外部のコーディネーターに頼ってみたり、商品を売ったこともない企画会社の言いなりにゾーンを構築してしまうのです。概して自社内で組み立てることは苦手です。唯一自社に優れたマーケティング部門を持っていた伊勢丹のみがマーチャンダイザーを育成できるでしょうが、大西社長なきあとの新体制では疑問符が付きます。

 しかし、一番重要なことは、概して一等地に存立する店舗を場所貸しにして利益を稼ぐことは企業の本分ではありますが、それだけでは今までもあった駅ビルやファッションビルと同じで、文化としての消費をリードしていく存在ではありません。百貨店が独自の業態開発を指向せず、ただのディベロッパー業ではその存在意義が問われます。大丸がこの春開業したギンザ6はもはや百貨店とは言えず、事務所ビルに付随する商業ゾーンとしか言いようがないのです。

 

 

再生なるか、百貨店?№1

百貨店はどうすれば再生できるのでしょうか。

MDの再構築、新しい売場展開策の確立、プロのバイヤー&販売員の育成、どれも早急に行わなければなりません。消費者の百貨店への興味をもう一度喚起するためには避けては通れない絶対条件です。しかしこれらだけでは十分ではありません。何故なら百貨店を脅かす要因である「ネットのサービスに対抗しうる」サービスが不可欠だからです。現在ネットが可能にしている「即日配送」や「商品検索機能」「多彩な決済機能」などは本来百貨店がなすべき機能だと思います。よく、「リアルとバーチャルは違う。リアルしか出来ない事をやればよい」という意見をよく聞きます。しかしそれは間違いです。ネットはリアルの数十倍から数百倍の商品量を持ち、文字通り「無いものは無い」という規模です。しかも遅くても翌日には配達してくれるのです。買った商品も気に入らなければ30日以内なら返品・取り換えも自由で、レシートが無ければ返品できない百貨店とは雲泥の差です。消費者はこの利便性を買っているのです。ですからリアルはネットができることは全て可能にした上で更にリアルでしか出来ない事をやるべきなのです。ネットに対抗するためには、店舗でしか買えない商品が、フルライン、フルサイズ、フルカラー揃っており、試着がきちんとできるというリアル店舗の強みはそのままに、検索機能の代わりにプロの販売員が消費者の好みを取り入れながら、今年の流行を確実に取り入れたコーディネートを提案でき、翌日には微妙な丈やサイズ修正を済ました商品が届けられる、というネットの利便性は全て取り入れたサービスが不可欠です。特にMD的には従来の単品集積ではネットに到底勝てませんし、ブランドショップ集積でも同様です。ネットに対抗しうるのはネットができない『ライフスタイル型MD集積』しかありません。一つのテイストで括られた『衣・食・住』全てを網羅したゾーン展開でしか無理なのです。ネットの検索機能はあくまで単品検索がベースなので消費者の希望する商品は探しますが、提案は出来ないのです。そしてこの「ライフスタイル型MDゾーン」を効果的に活用するためには販売員の大胆な能力開発が必要になってきます。ゾーン全体の商品に詳しいのは当然、どんな素敵なライフスタイルがあるのか説明すると同時に消費者にイメージ付けできなければならないからです。その為には徹底したプロ化教育が必要なのです。現在残念ながら『ライフスタイル型』売り場を成功させている百貨店はありません。それは百貨店が自主でMDを組まず、取引先ブランドショップを単に導入しているに過ぎないので、取引先は当然売れ筋商品を前面に出し、自ブランドのライフスタイル型ゾーンでの立位置や役割を理解していないため、ゾーン全体が同質化した商品で溢れてしまうのです。また、ライフスタイル全般を語れる販売員もいません。(百貨店自体の販売員がそもそもいません) サービス機能も未だネットに100年遅れている状態です。在庫管理に至っては全くできていないというレベルです。フェラーリと自転車くらいの差があるでしょう。

しかし、百貨店の消費者ニーズに対応できていない課題は見えてきました。次には「リアルしかできない」ことをどれだけ真剣かつ早急に構築するかです。それは『提案型』ゾーンであること、販売員がプロで新しく消費者個別に合った相談ができること、環境自体が楽しめ時間と空間を楽しめること、買い物という行動自体に新しい発見があること、そしてネットの持つサービス機能も持つことです。その為にはありとあらゆる百貨店機能の見直しが求められます。これから新店やリニューアルを予定している百貨店は、ブランドのAが良いとかBが良いとかいうレベルのMDではなく、もっと深いところに根差したMDを検討すべきです。

何処へ行くのか、百貨店 ! №2

百貨店不調の原因の一つである消費者ニーズ変化が続いています。

拙著「お客様、閉店です」でも述べましたが消費者ニーズの多様化・多層化が止まりません。一つの流行に右に習えとばかりに消費者が一斉に同じ方向を向くという事は、現在の消費者にはありません。正に成熟社会の到来であります。十人十色と言うように、大衆が分裂して分衆に、更には個に成っているのです!ファッション衣料が苦戦しているのは消費者がファッション衣料に拘ることを、流行に乗ることに価値を見出さなくなっている証左でありますが、その他にも消費ニーズが従来の価値観とは大きく異なる事象がいくつも見受けられます。その一つに、下町の活性化が挙げられます。インバウンドが原因で東京では浅草や谷根千などが、大阪では難波周辺が活性化されているとよく言われますが、それとは別の理由で下町が今とても熱いのです。クリエーターやアーティストが創作活動と販売機会の場所として、家賃が安く、比較的広い店舗や倉庫・工場跡などが人気となったことが始まりでした。自己表現に拘り、それを自己の存在意義の礎に据えたクリエーター達は手作りでヒューマンタッチ溢れる作品を自由な環境で生み出したいと陸続として下間違いを目指しています。未だに原宿や青山・恵比寿がお洒落な場所だと固執するクリエーターも多いですが、所謂クリエーターではなく商売人が多いです。その動きに従来の組織に馴染めない若い世代が共感し、素人感満載の手作りのショップで、従来の商業ペースト違った空間と時間を楽しんでいるのです。白川清澄に始まり、浅草寿町・蔵前・入谷・亀戸・東陽町などは今やトレンドのメッカです。昔からの老舗と最新鋭の店舗が緩く共存しているのです。こういったエリアの喫茶店は注文しなくて座っていても文句も言われず、地元のおばちゃんがバックからお菓子を取り出し、若い世代のお客に分け与え、平気で店内で食べています。また老舗の甘味屋では地元の婦人会と最先端ファッションに身を包んだクリエーターが一緒にあんみつを食べているのです。この「緩さ」が時代のキーワードなのです。丸の内や青山などで感じる「組織」や「規則」などといった従来の堅苦しさや気取った感覚は消費者には受け入れにくくなっているのです。その青山で一番集客を誇っているのがLVショップでもアップルストアーでもなく、土日に開催される流石創造集団が主催する「ファーマーズマーケット」なのです。このマーケットは全くの手作り感満載の素人によるイベントが今や1日2万人もの集客を誇るようになっています。出展者は農家の生産者自身やオーガニック信奉者が自ら農家から直接仕入れて販売をするもので販売しているものはまさに「手作り」商品そのものです。此処にはオーガニックを求めてくる人や、新鮮な野菜を期待するレストランシェフなど多種多様の人々が集います。共通しているのは「何かないかな」とマーケットの空間とぶらぶら冷かして歩いて時間を楽しんでいることです。明らかに目的を持って行動しているのではなく、緩く流れる時間軸に心地好い発見や体験ができる愉しい空間に身を置く事により、自分自身をリフレッシュしているのです。

今、私達の周りでは今まで経験したことのない全く新しい価値観が芽生えており、それが急速な拡大をしているのです。あれよあれよという間にネットが広まったのよりもっと速く価値観の変化は進んでいるのです。是非、既存の価値観に縛られる事なく、広い視野で物事を見てください。

何処へ行くのか、百貨店!

百貨店の不調が止まりません。予算どころか前年すら達成できない月が1年以上も続いています。そのため巷からは「ネット時代に対応が無策」「爆買い頼み」「殿様商売で価格が高い」「欲しいもの、買いたいものが無い」など袋叩き状態です。無責任な経済評論家からは「百貨店から不動産賃貸業化へ」と業態変換を求める声の大合唱です。「GINZA   シックス」を立ち上げた大丸松坂屋や二子玉川開発の「東神開発」を主軸に店舗展開をおこなっている高島屋は不動産業の先駆者として営業利益率の良さを度々取り上げられ、最近ではこの動きに追随して丸井や他の百貨店も賃貸業化へとまっしぐらに進んでいます。こうなると何処見ても、何方を向いてももう「百貨店は存続しえない」というのは共通認識であるかのようで、不動産賃貸業しか生き残る道が無いかのような報道が続いています。   

でも本当にそうなのでしょうか?

確かに、従来のままの百貨店MDや展開方法では今の消費者ニーズに到底対応できるものではありません。あまりにもマーケティングを軽んじ、消費者ニーズを読み違え、いや、読みさえせず、自己満足の極みの商売に胡坐をかいていては消費者が満足するはずもありません。だからと言って安易に商売替えをおこなって良いのでしょうか?百貨店問屋やメーカーにおんぶに抱っこした結果、どこの百貨店も同質化してしまい更にはネット販売に追い打ちをかけられ、わざわざ百貨店に行く必然性が無いことは事実です。しかし、「ここでしか買えない」「販売員からでしか得られない情報」など百貨店がもう一度強みとして消費者に支持される要素を再構築できたら、活路は見いだせるはずです。都会の百貨店は立地は一等地にありますが、地方では鉄道を中心に発達した町の中心に存立するため、車社会の現在、決して一等地ばかりとは言えません。しかし、現在では「便利だから行く」から「わざわざ行く」消費者ニーズというのもかなりの消費行動の中で大きな割合を占めています。結局、一番の消費の要諦は「わざわざ行っても欲しいものがある」「行くことが愉しい」ということだと思われます。しかし今の百貨店はあまりにも自分たちで汗をかくことを忘れ、目先の「効率」のみを追及して売上高に固執し、小売業で一番大事な「消費者」のことを忘れてしまっています。自社の事情ばかり優先し、売れない理由は「経済情勢が悪いから」だと逃げていては消費者の支持を得ることなどできるはずがありません。だから今の百貨店は「必要の無い」存在になってしまうのです。

現在の消費者ニーズに百貨店はどのように対応すべきなのでしょう。旧来のように年齢別・テイスト別・アイテム別にブランドを括って展開するだけではネットには勝てません。来店して百貨店の空間が「愉しい」と感じられるMDや展開手法を開発することが不可欠になります。所謂「ライフスタイル型」展開がその一つの答えになるでしょう。百貨店は旧来の大分類・中分類といった分類区分展開を止め、テイスト別に衣食住を総合展開することが求められます。服がずらっと並んでいるだけの展開から、自分好みのテイストの服があり、雑貨があり、家具があり、そして喫茶やレストランがあり、その他旅行やスポーツ・趣味雑貨が一堂に展開されていれば自然に回遊し、「何かないかな」というショッピングに時間を使い、空間を楽しんで頂け、結果、購買に繋がると思います。高度成長期の消費者と違い、成熟期の消費者は「ものを買うのではなく、ものを買うプロセスを買う」ということを認識しなければなりません。しかも展開されている商品が「ここでしか買えない」ものであったり、飲食も「ここでしか味わえない」ものであれば間違いなく消費者は自然に来店いただけるはずであります。そのためには百貨店はメーカーとのコラボによるオリジナル商品や自主仕入れ商品を展開する必要があります。基本的にネットで買えるものを展開しても意味が無いからです。百貨店再生はこれからです。安易に不動産業へ転換してしまえば、二度と百貨店業へは戻れないのです。ただ利益さえ出れば良いという考えでは百貨店は守れません。消費文化の担い手として、百貨店を守るという矜持を捨てては存在意義はもはや無いと言わざるを得ないでしょう。

韓国事情 第1回

大統領逮捕やGNPの25%を売り上げる大企業の会長は行方不明、実質社長は逮捕という大混乱に止まらず、中国のロッテに対する露骨な嫌がらせや観光客の韓国への差止などで経済的に打撃を受け、更には本来頼るべき日本にさえ喧嘩をふっかけ、にっちもさっちもいかない状況下に陥った韓国に行ってきました。 普段ですと日本人観光客や沢山の中国人で溢れかえっていた南大門や明祠、東大門は関西人の在日韓国人の人達だけが家族連れでパラパラ歩いている程度で、従来の1/20位の観光客数だそうです。「完璧なコピー商品」を争って買っていた中国人は影を潜めてしまい全く見かけません。ブランド品を買っていた日本人はコトよりの食べ歩きやエステに趣味が替わった為、「売上」は激減だそうです。サムスングループの百貨店『新世界』は一般事務向けの本館はまあまあ良いらしく、結構若者で賑わっていました。一方NYバ-グドルフを模した新館は、こちらも中国人は皆無でしたが、元々財閥が娘の道楽でやらせていたので、売上は昔も今も端から無視した一部の金持ち相手なのでがらがらです。格差社会の韓国では米国のように自分の階級に合った店で、身の丈消費をしてきたのと、若い層を中心に徴兵されるまで楽しむという社会意識が強くあり、消費も貪欲だそうです。しかし、一般人は景気の先行き不安や、物価の高騰に対する対策で買い物は押さえており、百貨店も若い顧客に頼っているみたいです。中国もそうでしたが、スターバックスは満員で街中の旧来からの珈琲店は潰れ、珈琲は1杯500円でしたが、タクシーで30分街中を走っても500円なので、貧富の格差、老若の格差、職業の格差を痛烈に感じました。 誰も居ません。日本の百貨店と同じです

ユニクロの実験

​ユニクロが全く新しい概念のモノ造りにチャレンジします。『有明プロジェクト』、只のSPAから大きく脱却し、「情報製造小売業」化を目指すというものです。そのポイントは ・生産から販売までの時間をデジタル技術で大幅に短縮する。 ・消費者との接点をスマホ中心に刷新し、同社との双方向のコミュニケーションを確立し、時々刻々変化していく個々の消費者ニーズを捕捉して深堀し的確に応えていく ・この結果消費者がほしい商品を非常に短期間で生産し届ける仕組みをつくる
ということだそうです。 これが実現すると、リードタイムが圧倒的に短縮され、デジタルによる消費者とのダイレクトな接点も構築されて、販売機会ロスも過剰在庫も作らずに、個々の消費者に最適なファッション提案をし続ける事が可能になります。現状ファッションは1年前から企画されるので、どうしても実際のトレンドとズレが生じ、結果、販売ロスや在庫となり収益を圧迫してしまいます。 このロスは従来では『仕方がない』ものとして見過ごされてきましたが、これが多少でも減ればそっくり利益に上乗せ出来るのです。 モノ造りでも百貨店はユニクロの後塵を拝するどころか100年程遅れてしまいました。

時代はこう進む・・・・・

流石創造集団が仕掛けるファーマーズマーケットが進化を続けています。従来の商業施設には無い緩い手作り感が良いのでしょう。今日は地方の中小酒蔵が「良い酒を作りたい」という共通意識の下集まった『SAKE FREE』というチームを率いている和歌山の平和酒造と、群馬県でたった一人で商業ベースに乗らず、「自分が食べたい野菜」を作り続けている奥田さんが野菜料理と日本酒のコラボをしました。どちらも大手の商業企業と組まず、自分達の目が届く範囲で顧客と話しをしながら、楽しみながら自分で販売する事を基本にしています。そして顧客要望を即座に取り入れてモノ作りに活かしているのです。商業主義に則った、ましてや大量生産大量販売の商品ではとても太刀打ち出来ないやり方ですが、少しずつ顧客の支持を拡げているのです。今から8年前の第一回はたった3人の顧客しか来なかったイベントが年間150万人もの集客を果たしているのです。ファーマーズを真似たイベントは各地に在りますが、作り手と買い手が商売を越えて繋がっているイベントは他にありません。集客に悩む大手百貨店は一度見に来ては如何でしょうか。時代は確実に此方に向いているようです。