「総合」時代の終わり

セブン&アイが総合スーパーの40店舗を閉店すると発表しました。衣料を中心に不振が続き、効率悪化店舗を一挙に閉店するようです。これは、「何でも揃う」事を謳い文句にした「総合」の敗北以外の何物でもありません。消費者は己の感性による「ライフスタイル志向」を強めており、「誰でも」や「何でも」と言った万人向けの商品には背を向けているのです.価格やテイストだけではなく、自分の主義に合う商品を選択するのです。売り手が拘った品揃えで、拘った空間で、売り手の心が、ライフスタイルが分かり、共感出来て初めて購入するのです。小売業はこの店をしっかり把握、理解すべきで、この点を理解出来ない店が多すぎます。特に大手企業は全く理解していません!至急改善すべきです。特に経営層は理解出来なければ辞めるべきです.

 

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新しい時代の幕開けになるか?

高島屋がオンワード樫山HDが、店舗とECを融合させるオムニチャンネルの共同プロジェクト開始するとのニュースがありました。オンワードのEC在庫をタブレットで調べ、➀店頭とEC在庫から商品紹介②EC在庫活用で欠品防止③コーディネート紹介④宅配のメリットを訴求していくそうです。海外や国内の大手チェーン衣料店や専門店では既に行われており、売逃し防止やストック場へ販売員が在庫探しに往復してかかる時間軽減に大きな効果を発揮しているシステムです。日本では小売り各社がバラバラに独自のジャンコード設定を行っているためにメーカー在庫との連動が難しく単品管理による在庫管理が完全に行われている企業は大変少ないです。その為、うるさく言う店や売れる店にはメーカーも在庫管理をしっかり行い、売れ筋商品を優先的に回しますが、そうでない店はメーカーのストック場代わりに使われているというのが実態です。それ故、小売大型店が独自でEC展開を試みても中途半端な展開で、中途半端な結果に終わる事が多く、現場ではECは(Electronic Commerce)ではなく(いいかげんで、困っちゃう)と言われているのも事実です。今回はオンワードの仕組みに高島屋が乗っかった格好ですが、百貨店店頭にはオンワードからの派遣社員しかおらず、この仕組みをどう強化発展させていくかオンワードにおんぶにだっこでは意味がなく、少なくとも進捗を研究するには百貨店社員を売場に常駐させ、顧客の反応をオンワードから聞くのではなく、自ら想定目標値を決め、それに対しての数字だけの結果内容把握ではなく実態把握を行うべきでしょう。それとのこの実験で得たデータを品揃えにどう反映させ、どう店舗独自色を打ち出し、固定客に更なる購買点数増をコーディネート力強化によって図れるかという観点を徹底して研究しなければEC(ええ調子)には行かないでしょう。

 

期待される最後のプロフェッショナル

我が盟友、(株)BOLSの二村社長がONWARDワールドファッション(株)の社長に就任されました。海外ラグジュアリー業界に於いて、この人を知らない人は居ないというぐらい日本より海外で有名な方であります。新人の発掘から育成、ファッションビジネスの本質を捉えた見事な環境政策、社会還元を会社の設立基本に据えるなどの先見性と、日本の企業では稀有な存在の人物であります。決して傲らず、謙虚で
、でもどんな情報も見逃さないファッション感度は、抜群のセンスの良さを誇る奥様のいつも素敵な笑顔と相まって、日本最強のファッショニスタと言えるでしょう。
戦後70年続いたファッションビジネス業界も世界的に制度疲労をお越し始めている現在、大手企業はもちろん新興企業ですら「yes」マンばかりで、このままでは再浮上は有り得ないでしょう!二村社長には組織のしがらみがない分、物事の是非がよく見えると思います。改革を邪魔する守旧派及び利権一派も居るでしょうが、止まらず、常に前進あるのみです。心より応援しております。ファイト

動き出したネット販売の神髄

三井物産が中国ポータルサイト第3位の網易(ネットイース)と提携しました。これは前回投稿した「アリババの挑戦」に書いたように、いよいよ日本の大手商社が日本商品を直接中国にネットを通して販売するビジネスモデルの第1段階に本腰を入れ始めたという事です。日本の小売各社は「これからはネットが重要」と口先では必ず呪文のように唱えますが、その重要性の根本を理解している企業は残念ながらほんの一握りでは無いでしょうか?まして具体的な国際取引を検討している小売業者を私は知りません。今回の仕組みは物産が日本商品を調達し網易に売るというものですが、網易が上海の経済特区に設置した保税倉庫に商品を配送し、そこを商品在庫基地としてストック機能として活用し、網易が運営する海外商品専門サイト「ネットイースと・コアラ」に網易が展開し、中国国内に販売・配送するという仕組みです。かつて楽天が中国販売を試みましたが上手く機能しなかった仕組みと似ていますが、➀関税特区で無税②保税機能として現地在庫可能③提携先の海外商材専門サイト商材の信頼性大、などが前回と異なる点であります。中国人による日本国内での爆外理由の一つに「商品に対する信用性」がありますが、➀物産が商品調達する事②在庫を中国本土に持ち、配送日数が従来の約1か月から2~3日に短縮できること③関税障害が無く、内外価格差が少ない事により、中国国内での需要に対して日本製品の最大供給者になる可能性が出てきました。

更に第2段階では、日本のサイトから直接商品を購入できるようにし、日本国内から直接3~4日で配送できる物流網の構築が予定されます。第3段階では決済機能も、クレジットカードの他に銀聯カード、現金(元)、更には代引きなどの日本国内と同じ決済機能を導入し、国境を越えた国内同等の商品往来を可能とさせるようです。この段階では、日本国内の爆買いは息を潜め、当たり前のように高級商材から日用品まで膨大な量の商品が両国間で行き来をするようになります。今回の提携をより強化推進する為に、三井物産は網易への資本参加を視野においているとの事です。

現時点で中国への商品はMD以前で、「取りあえず日本製品なら何でも」感が圧倒的ですが、中国消費者の急成長ぶりを見れば(日本の10年分を1年で達成してきた)、すぐにもどの様な商品をどの様に展開するかというMD展開が不可欠になるはずです。そうなると商社が相変わらずの大量仕入れ大量販売を指向するなら、MDの本家本元である百貨店にも大いなる勝機が見いだせるはずです。現在日本の百貨店は未だ十分な単品管理すら行えていない状態で、売上も最大規模で40億~50億足らずであることを鑑みればすが、本気でネット販売に取り組まなければ手遅れになる可能性が大きいです。ヨドバシカメラはネット売上1000億を達成し、5年以内に8000億円を目指すための物流システムを完成させたように、投資額も人員も大幅に強化された体制を早急に組み、ディスカウンター業態の総合小売り化完成の前に、独自の得意領域を占有しなければ生き残れないでしょう。ネット販売はファションだけなどという時代では最早無いのです。

 

アリババの挑戦

6月に日本のバッグブランド「サマンサ・タバサ」が中国アリババが運営する「天猫国際」へ出店代行する「チャイナエクスプレス」に参加しました。このサービスは中国本土に拠点や倉庫(在庫商品)を持たない企業も迅速に中国国内の「天猫」モールに出店できる為、国境を跨いで商品の国際展開を容易にするものです。今迄も米国のe-bayやamazonのように世界中を相手に商品を販売する国際企業はありましたが、中国は関税の仕組みや国内物流の信頼性に問題があり、また中国政府の外貨持ち出し規制など外国には解りにくい国内事情を抱えているため、なかなか日本企業が中国のe-mallに出店する事が難しい現実がありました。そして今回「サマンサ・・・」の参加により、日本企業の進出を促そうと満を持してのモーレツな売り込みの結果であります。今日本は中国人の爆買いに小売業者はウハウハですが、ごく近い将来、日本商品を日本のe-mallから直接中国本土の消費者が買い物をすることになるのです。中国人が自国の商品や販売員の信用問題から日本で本物を購入するという事実は広く知られていますが、中国本土に居ながら日本の現在爆買いの恩恵を受けれていないe-mallの商品を直接来日せず買う事ができれば小売業の勢力地図は大きく変化する事でしょう。決済機能も例の銀聨カードのネット決済が中国政府の認可を取ったことは意外と知られていません。中国政府は外国、特に日本に外貨が落ちる事を歓迎してはいないので、間違いなく国内需要喚起を図るためにも爆買いを抑える方向へ向かわせるため、e-mall関連の規制を外しているのです。今後はこの国際物流推進を政府が後押しし、中国国内経済活性化に向かわせるのです。日本の小売は爆買いに頼ってばかりいないで、早急に消費者ニーズ把握とその対応策を実施すべきでしょう。

ドイツのブランド力

池上彰の「未来世紀ジパング」で、独逸の「ブランド力」の話がありました。車のBMWアウディ、メルセデスの3社の高級車売上台数は180万台、160万台、160万台に対して我がトヨタは59万台と桁違いであります。ブランド力の差は何でしょうか?池上は「発想の差」をまず挙げていました。「独逸は高くても良いものは理解されれば売れる」という信念があり、日本は「良くて安いものが売れる」という考え方の差が一番根底にあるという説明でした。更にその裏付けに「マイスター制度」を挙げました。国家があらゆる職種に権威付けをしていて、その認証が無いものはモノが造れなかったり、売ることができなかったりする法的規制があるのです。よく言われる例えですが、日本の場合まず電卓を叩きコストから計算するが、独逸はまず壊れない事を第一義にモノの良さを追求するというものですが、正に戦後70年間、日本はこの例えに在るような考え方が全ての基本発想でした。その結果、日本の製造業は「コスト競争」のみが全ての目的かしてしまい、「良いものは高くても売れる」という発想は育ちませんでした。そして日本は世界でも有数の「ブランド好き」国民にも係らず、日本製のブランド化を怠ってきたのです。作る方も買う方も日本人は「良くて、安い」が合言葉になったのです。他方世界では「良いものは高い」という認識の下、ブランド化が当たり前のように押し進められ、消費者は当然のように価値と価格のバランスを十分理解したうえで消費を行ってきたのです。そのせいで「日本製品は安いけれど品質が良い」と世界的に認知されたことは自慢できる事ではありますが、逆に「安くなければ売れない」という自縛に陥ってしまった事も事実です。3.11以降特にデフレ状況下に経済が置かれてからは尚更「価格指向」が強まったことは記憶に新しい事ですが、此処へ来て急速にその意識が「無意識」のうちに変わり始めています。消費者自身もはっきりとは気が付いていないかもしれませんが、明らかに消費者のモノを視て、評価する基準が変わり始めた事は間違いありません。経済状況が好転し始めたからでは無く高機能商品が、そして本物が売れ始めたのです。消費者はやっと「本物」の良認め始めたのです。「本物」とはコストを優先した商品では無く、長く使用に耐え、飽きが来ないデザインを併せ持つ製品のことを言います。

今後変化し始めた消費者の「認識」を詳しく分析していきたいと思います。

ノームコア

7月12日付 日経新聞 コラム春秋
「ノームコア」の話が載っています。消費者が変わりつつあり、個性を求める人々は脱ファッションに向かっていると指摘しています。私がクーデター倶楽部で話している内容そのもののコラムです。流行に踊らされる人より、もっと自分の人生の意味や意義を追及した生活を送りたいと考える人々は確実に増え続け、それはもはや止める事は不可能な段階にまで進んで、今後も益々拡大し続ける間違いありません。
人々は初めは模倣から入っても、次第に自分の世界を志向するものです。
消費者は確実に変わりつつあります。
時代が変わるから消費者が変わるのか、消費者が変わるから時代が変わるのか、現代は両者が絡み合って相互に影響仕合ながら共に変化をしていると思います。

時代が変わる!

大手の戦線縮小が止まりません。

大量出店による面の確保による顧客の囲い込みを推進してきた大手アパレルが大きく舵を切り、戦線縮小が始まりました。ワールドやTSIを筆頭にセレクト大手も出店戦略を大きく見直しに入っています。UAも話題だった高速道路PAの店舗を閉鎖したり、クロスカンパニーが「全社員制度」を廃止したり、各社体制の立て直しを必死で模索しています。一方消費ニーズの多様化に合わせるようにファッション企業が飲食に進出したり、雑貨部門を独立強化したり、各社各様の対策を行っています。

これは百貨店と同様、消費者ニーズの多様化・多層化に従来の「ファッション」だけではもはや対応しきれない事の表れだと思われます。元来、時代を敏感に読み、時代の消費ニーズ対応が上手く、消費者ニーズをリードしてきたセレクト系までが消費者ニーズ把握に課題を残すような事態になったことは、ゆゆしき問題であります。嘗ては百貨店の次はブランドが、ブランドの次は専門大店が、そして専門店がといったように時代を牽引する業種が表れていましたが、現在ではこれといった業態は出現してはいません。敢えて言うならユニクロのみが一人勝ちの感がありますが、ちょっと特殊な領域に思えます。果たして次に時代を牽引する業態は出るのでしょうか?今のところ単なるファッション業態ではなく、複合業態、例えば喫茶や書店、花屋やリビング雑貨等を一緒に展開しているライフスタイル提案型のみが気を吐いていると思います。例えば代官山の蔦屋などは、本屋を中心に雑貨・喫茶・DVDにCD、レストランに眼鏡屋にカメラ屋、ペットショップと完全に空間と時間を楽しむライフスタイル型になっており、常に人で溢れています。効率を追求したせせこましいMD展開では成し得ない贅沢な空間、今後のMD展開は「大きさ」が重要な要素になるような気がしています。集積された商品群が薀蓄を、storyを語るにはそれなりの「ボリューム」が無いと消費者のマインドには訴えられないような気がします。

これから消費者ニーズを各社どの様に捉え、どの様に対応していくのか興味津々です。

オンワードの大転換

昨日、オンワード樫山が大型家電量販のラオックスと全面提携して合弁会社を起し、来日中国人顧客専門のブランドを立ち上げると発表がありました。家電ばかりでなく、「MADE IN JAPAN」製品の衣料を手掛ける事により、ラオックスは他の免税店との差別化を図り、オンワードはラオックスが中国本土で持つネット通販網での販売を期待しているとの事でした。

ここで重要なのは免税店が爆買い中国人向けにニーズの高い「日本製衣料」を独自で開発しようという点と、業界最大手のオンワードが既存ブランドでなく新規ブランドを百貨店以外のディスカウンターと組んで作成するという2点であります。かねてから日本製衣料はニーズが高く、皆が「売れる」と判断している商材でありました。しかし、何処の百貨店も免税店と組んで売ろうという発想は全く持っていませんでした。

盲点でありました。百貨店はまだまだ「座して顧客を待つという発想からぬけていない」のだなとつくづく実感させられました。更にオンワードも中国本土での百貨店内展開は全滅と言って好いほど不調です。それが中国国内での戦略をラオックスという同盟軍を得て、ネット販売という強力な販路を得た訳ですから、今後中国本でで大いに巻き返しが期待できるわけです。

今度の提携は、1+1が3の代表例でしょう。時代に向かっていく意思を持った企業同士が手を携えるのは、同種で傷を舐め合う提携とは根本的に全く異なるものです。百貨店の方は良く目を空けて時代を視てください。これから景気が良くなっても、売上が単純に伸びるとは思わないでください。消費者ニーズは多様化し、消費者マインドは多層化してます。ただ座して「いらっしゃい」と叫んでいても消費者は来ません。時代に合った商材を、時代に合った組み合わせで、時代に合った売り方で行わなければモノは売れません。それも単品では無く、商品のコーディネートによるトレンド表現やスタイル提案ができなければ売れません。特定ターゲットに的を絞りそのターゲットのニーズを徹底して分析し、先回りして提案することのみが、小売りがメーカーが生き残る道です

クリント展示会

カットものとカシミアでは他では真似のできない独特の味わいがあるブランドです。ミセス市場の数少ない貴重なブランドです。

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今秋はカシミア100%のカジュアルニットが一押しです!