ドイツのブランド力

池上彰の「未来世紀ジパング」で、独逸の「ブランド力」の話がありました。車のBMWアウディ、メルセデスの3社の高級車売上台数は180万台、160万台、160万台に対して我がトヨタは59万台と桁違いであります。ブランド力の差は何でしょうか?池上は「発想の差」をまず挙げていました。「独逸は高くても良いものは理解されれば売れる」という信念があり、日本は「良くて安いものが売れる」という考え方の差が一番根底にあるという説明でした。更にその裏付けに「マイスター制度」を挙げました。国家があらゆる職種に権威付けをしていて、その認証が無いものはモノが造れなかったり、売ることができなかったりする法的規制があるのです。よく言われる例えですが、日本の場合まず電卓を叩きコストから計算するが、独逸はまず壊れない事を第一義にモノの良さを追求するというものですが、正に戦後70年間、日本はこの例えに在るような考え方が全ての基本発想でした。その結果、日本の製造業は「コスト競争」のみが全ての目的かしてしまい、「良いものは高くても売れる」という発想は育ちませんでした。そして日本は世界でも有数の「ブランド好き」国民にも係らず、日本製のブランド化を怠ってきたのです。作る方も買う方も日本人は「良くて、安い」が合言葉になったのです。他方世界では「良いものは高い」という認識の下、ブランド化が当たり前のように押し進められ、消費者は当然のように価値と価格のバランスを十分理解したうえで消費を行ってきたのです。そのせいで「日本製品は安いけれど品質が良い」と世界的に認知されたことは自慢できる事ではありますが、逆に「安くなければ売れない」という自縛に陥ってしまった事も事実です。3.11以降特にデフレ状況下に経済が置かれてからは尚更「価格指向」が強まったことは記憶に新しい事ですが、此処へ来て急速にその意識が「無意識」のうちに変わり始めています。消費者自身もはっきりとは気が付いていないかもしれませんが、明らかに消費者のモノを視て、評価する基準が変わり始めた事は間違いありません。経済状況が好転し始めたからでは無く高機能商品が、そして本物が売れ始めたのです。消費者はやっと「本物」の良認め始めたのです。「本物」とはコストを優先した商品では無く、長く使用に耐え、飽きが来ないデザインを併せ持つ製品のことを言います。

今後変化し始めた消費者の「認識」を詳しく分析していきたいと思います。

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