動き出したネット販売の神髄

三井物産が中国ポータルサイト第3位の網易(ネットイース)と提携しました。これは前回投稿した「アリババの挑戦」に書いたように、いよいよ日本の大手商社が日本商品を直接中国にネットを通して販売するビジネスモデルの第1段階に本腰を入れ始めたという事です。日本の小売各社は「これからはネットが重要」と口先では必ず呪文のように唱えますが、その重要性の根本を理解している企業は残念ながらほんの一握りでは無いでしょうか?まして具体的な国際取引を検討している小売業者を私は知りません。今回の仕組みは物産が日本商品を調達し網易に売るというものですが、網易が上海の経済特区に設置した保税倉庫に商品を配送し、そこを商品在庫基地としてストック機能として活用し、網易が運営する海外商品専門サイト「ネットイースと・コアラ」に網易が展開し、中国国内に販売・配送するという仕組みです。かつて楽天が中国販売を試みましたが上手く機能しなかった仕組みと似ていますが、➀関税特区で無税②保税機能として現地在庫可能③提携先の海外商材専門サイト商材の信頼性大、などが前回と異なる点であります。中国人による日本国内での爆外理由の一つに「商品に対する信用性」がありますが、➀物産が商品調達する事②在庫を中国本土に持ち、配送日数が従来の約1か月から2~3日に短縮できること③関税障害が無く、内外価格差が少ない事により、中国国内での需要に対して日本製品の最大供給者になる可能性が出てきました。

更に第2段階では、日本のサイトから直接商品を購入できるようにし、日本国内から直接3~4日で配送できる物流網の構築が予定されます。第3段階では決済機能も、クレジットカードの他に銀聯カード、現金(元)、更には代引きなどの日本国内と同じ決済機能を導入し、国境を越えた国内同等の商品往来を可能とさせるようです。この段階では、日本国内の爆買いは息を潜め、当たり前のように高級商材から日用品まで膨大な量の商品が両国間で行き来をするようになります。今回の提携をより強化推進する為に、三井物産は網易への資本参加を視野においているとの事です。

現時点で中国への商品はMD以前で、「取りあえず日本製品なら何でも」感が圧倒的ですが、中国消費者の急成長ぶりを見れば(日本の10年分を1年で達成してきた)、すぐにもどの様な商品をどの様に展開するかというMD展開が不可欠になるはずです。そうなると商社が相変わらずの大量仕入れ大量販売を指向するなら、MDの本家本元である百貨店にも大いなる勝機が見いだせるはずです。現在日本の百貨店は未だ十分な単品管理すら行えていない状態で、売上も最大規模で40億~50億足らずであることを鑑みればすが、本気でネット販売に取り組まなければ手遅れになる可能性が大きいです。ヨドバシカメラはネット売上1000億を達成し、5年以内に8000億円を目指すための物流システムを完成させたように、投資額も人員も大幅に強化された体制を早急に組み、ディスカウンター業態の総合小売り化完成の前に、独自の得意領域を占有しなければ生き残れないでしょう。ネット販売はファションだけなどという時代では最早無いのです。

 

© 2015 Coup d'etat CLUB.