オンワードの大転換
昨日、オンワード樫山が大型家電量販のラオックスと全面提携して合弁会社を起し、来日中国人顧客専門のブランドを立ち上げると発表がありました。家電ばかりでなく、「MADE IN JAPAN」製品の衣料を手掛ける事により、ラオックスは他の免税店との差別化を図り、オンワードはラオックスが中国本土で持つネット通販網での販売を期待しているとの事でした。
ここで重要なのは免税店が爆買い中国人向けにニーズの高い「日本製衣料」を独自で開発しようという点と、業界最大手のオンワードが既存ブランドでなく新規ブランドを百貨店以外のディスカウンターと組んで作成するという2点であります。かねてから日本製衣料はニーズが高く、皆が「売れる」と判断している商材でありました。しかし、何処の百貨店も免税店と組んで売ろうという発想は全く持っていませんでした。
盲点でありました。百貨店はまだまだ「座して顧客を待つという発想からぬけていない」のだなとつくづく実感させられました。更にオンワードも中国本土での百貨店内展開は全滅と言って好いほど不調です。それが中国国内での戦略をラオックスという同盟軍を得て、ネット販売という強力な販路を得た訳ですから、今後中国本でで大いに巻き返しが期待できるわけです。
今度の提携は、1+1が3の代表例でしょう。時代に向かっていく意思を持った企業同士が手を携えるのは、同種で傷を舐め合う提携とは根本的に全く異なるものです。百貨店の方は良く目を空けて時代を視てください。これから景気が良くなっても、売上が単純に伸びるとは思わないでください。消費者ニーズは多様化し、消費者マインドは多層化してます。ただ座して「いらっしゃい」と叫んでいても消費者は来ません。時代に合った商材を、時代に合った組み合わせで、時代に合った売り方で行わなければモノは売れません。それも単品では無く、商品のコーディネートによるトレンド表現やスタイル提案ができなければ売れません。特定ターゲットに的を絞りそのターゲットのニーズを徹底して分析し、先回りして提案することのみが、小売りがメーカーが生き残る道です