新しい百貨店とは? 新業態の百貨店 №1

百貨店の苦戦が止りません。消費者ニーズの多層化、ネットの急拡大に伴う社会構造の劇的変化に付いていけないからです。百貨店は常に社会変化を見逃さず機敏にその業態を変化させ、新しい品揃え、展開方法、販売手段を開発し消費者ニーズをリードしてきました。しかし技術革新による新しい販売手段は従来の予想をはるかに超えたスピードと規模で拡大し、百貨店が手を拱いているうちに売上金額も顧客数も抜かれてしまい、差は広がる一方です。このままではインバウンドで息をついている一部の大都市百貨店以外は全て無くなる日も遠くは無いでしょう。

この状況を変えるには百貨店が再び新業態を開発しなければなりません。単なる物販機能のみの業態から時代に合った業態へ進化しなければ生き残ることはできません。では新業態化とは如何なるものなのでしょうか?単なる場所貸し化でも低価格帯メーカーの導入でもありません。その要件として①地域密着型で地域コミュニケーションの中核化機能を持つこと②24時間機能を持ち24時間展開すること③コト寄りの起点として新しい生活提案を行うことの④新しい商売を生み出すことの4点です。次にこれらの要件を1つずつ検討しましょう。

「BrandLand Japan」について

  本日経済産業省が推進する「地域に眠る魅力的な資源の海外市場に併せた磨き上げや、海外への魅力発信を通じて地方活性化を図るローカルクールジャパン政策」=「BrandLand Japan」の「OPEN DIALOG」を聴いてきました。この企画の特徴はメーカーが勝手に商品を造って海外へ進出をするというのではなく、「海外消費者の感性やニーズ等に詳しいプロディューサー」と称する人たちを活用し、現地に合わせたモノづくりと販売戦略を構築するというものです。各事業概要を説明するにあたってのモデレーターの方々は、日本空港ビルディングの大西副社長をはじめ、クールジャパン戦略担当の内閣参与・浜野氏、CIBONEやDEAN&DELUCAなどライフスタイルショップ提案の横川氏、Soup Stock Tokyoの遠山氏など一流メンバーが揃い的を得た質問やアドヴァイスを行い大変ためになった一方、各メーカーを指導するプロディーサーと称する方々はちょっと問題で、これが日本のクールジャパンの海外進出レベルかと思うと唖然としました。何故ならマーケティングの基礎が理解できていないばかりでなく、「日本製品」を海外に売り込むための海外消費者のニーズ把握が全くできていないからです。海外を十羽一絡げに論じていること自体が無知そのもので、欧州と米国、更には東南アジアと全く市場が違い、消費者ニーズが違うことを認識していません。各プロディーサーはスポンサーであるメーカーのご機嫌取りのために、出来上がった商品を取り合えず知り合いに売り込むというブローカー的な発言が多く、販促もブロガーやインフルエンサーを使う等と当たり前の手法が賛美され言葉を失いました。もっと時代の小売りとモノ造りを勉強しなおさないと海外進出どころか国内で生き残ることも難しいでしょう。

 

西友が再び・・・

ウオルマートが傘下の西友を手放す事に決めたそうです。2008年に完全子会社化してから10年、世界第1位の売り上げ規模を誇るウオルマートも西友の拡大化に見切りをつけたと言うことでしょうか。西友は335店舗、売上約7,000億円従業員2万人(日経新聞7.14付け)と言われ駅前などの好立地に自社所有物件を数多く持つため資産価値も高いとされ、業界ベスト4位に位置する優良企業と言われてきました。しかし、デジタル時代の対応に追われる流通大手や商社は約買収に消極的です。リアル小売り業に投資するよりデジタル化に向けて体制を立て直す事が急務なことは世界的に小売業の緊急課題であるからです。大量生産・大量販売の「EDLP毎日が安売り」はユニクロやザラをはじめ今でも小売りの有効な戦略ですが、その戦略を支えるのは大量の顧客データであり販売データであり、取引データなのです。このデータ群を如何に大量に収集・分析するかが売り上げの鍵を握るのです。その為大量のデートを垂れ流してきた小売業はデータ取得と活用化にやっと目覚め始めたと言えるでしょう。近年スーパー業界は再編・統合の波が一段落しイオンとセブン&アイHDの2強体制になっています。これまで「数の論理」で店舗数を多数持ち地域を面で抑え大量仕入れにより低コストで仕入れた商材を売ることが主流でした。しかし、ここ1~2年売上高より利益額重視にシフトが切られ始めています。なぜなら中長期に人口が減るわが国では売り上げの拡大がこれからは望みにくく、それより同じ売り上げでも効率よく利益を生んだほうが賢い選択と言われるようになってきたせいです。ウオルマートも売上拡大路線からデジタル化による効率主義を取り入れるべく舵を切ったとみるべきでしょう。

 

消費者ニーズの変化 が社会を変える №3「 リサイクル」

   プラスティック製品は我々の生活に無くてはならないですが、中でも 2016年度に消費されたペットボトルは概算4,800億本にも上ります。しかしリサイクル回収率は半分以下しかなく、回収されたうちのわずか7%しかペットボトルとして再利用されておらずそのほとんどがゴミとして捨てられているのが現状です。しかも年間500万tから1,300万tものプラスティックゴミとして海に流失し、魚や海鳥などの海の生態系を脅かしています。今まで各国のペットボトルはゴミとして約6割が中国に輸出されていました。中国ではそのゴミを「資源」として再利用してきましたが、ゴミ集積場所の周辺を中心に深刻な環境汚染を引き起こしてきました。洗浄の為に使う洗剤や汚水による川や土壌の汚染です。そこで中国は1月に廃ペットボトルを全面輸入禁止にしたのです。結果、世界的に廃ペットボトル処理が追い付かずリサイクルに危険信号が灯り始めています。これに輪をかけ昨日EUが使い捨てプラスティック製品禁止を打ち出しました。ストローや綿棒、フォーク&ナイフなど多岐にわたり簡便に使われてきた「使い捨て製品」を禁止したのです。

   これまでも消費者は「無駄な消費削減」「環境保護」でスーパーのレジ袋持参やペットボトルの代わりに水筒持参などを積極的に行い消費意識を変化させてきました。「地球に優しい」「無駄なものを造らない・持たない・使わない」という意識は今後更に深化することは間違いありません。政府はこうした流れを加速させ、新しい産業を生み出す工夫をするべきです。海に流れ出したプラスティック製品を回収する装置の開発にそれを再利用するための再原料化システム、そして再利用された環境にに優しい製品達など、一連のリサイクルを完成できれば世界に先駆けて環境立国となり国際的に発言力が高まります。そうなれば再び「made in japan」製品が世界を席巻できるのではないでしょうか。プラスティックから造られた丈夫でしなやかな布を使った衣料や靴・雑貨など。若きベンチャー企業は実際もう取り組みを始めています。「採算が合わない」「責任所在が不明」などと従来の大手企業や行政はやる気がありませんが、実は次世代の大きなビジネスシードの種が転がっていることは間違いがないのです。ネット創成期と同じで、自分になじみがない物には頭から否定する大人や組織の弊害がまだまだこの国では大きいのです。残念です。

消費者ニーズの変化 が社会を変える №2 「余暇時間の拡大」

「働き方改革」「休日増加」により余暇時間は確実に増えています。大型連休や有給休暇取得も増える一方、旧来の悪弊であったサービス残業は影を潜め始め、若い世代を筆頭に会社に忠誠を尽くす滅私奉公の思想は死語になりつつあります。ネット拡大に伴い「働き方」も代わり始め、在宅勤務や成果主義型勤務なども今後は益々増えるでしょう。こうした消費者の自由になる時間は増加する一方にかかわらず、その時間を「どう使うか」という提案は残念ながら今の小売り業からは出てきません。「モノ寄りからコト寄り」と口では言いますがライフスタイルをどう提案するかという観点からの「余暇時間の有効活用提案」は皆無に近いと言わざるを得ず、相変わらず「モノ売り」の視点から一歩も出ていないのです。現在「コト」寄りというと、旅行かスポーツが主力です。しかし現在の百貨店では街を散策するための「自転車の貸し出し」もジョギングを楽しむための「レンタルロッカーやシャワー」も用意していません。百貨店主催のサイクリングやマラソン大会もありません。旅行すら大手旅行業者が販売するパックを取り次いでいるだけです。かつては「友の会」や「文化教室」などを主催し女性を中心に集客を図っていましたが、りニューアルされないまま「花嫁修業」の視点からの「お教室」に若い世代は独身・既婚を問わず満足せず集客にはなりえていないのが現状です。今こそ大手小売業者はファミリー向けや若い世代、団塊世代向けと幅広い世代を目的別ターゲット別に括り、明確な「切り口」に基づいた「コト」を提案すべきです。その結果、「モノ」が売れるのですから。流石創造集団が主催する「青山ファーマーズマーケット」は今や毎週土日に3万人もの人を集めていますし、生産者を招き「ワイン」造りの苦労話を聞きながら飲み比べをする会などは毎回数百人もの人を集めて楽しくワインの勉強をしています。このように趣味や教養としての知識を経験・体験しながら得ることができる催しに人々は集まるのです。また、無印が流石創造集団と組んで、千葉県大多喜村での里山体験ツアーなども活況を呈しています。これは家族向けに1年かけて田んぼの草むしりから田植えに収穫までを消費者に自ら行ってもらい、夜は廃校になった小学校の校庭でグランピングを体験させたり、村の醤油屋さんで醤油造りをさせたり田舎生活を満喫して貰うイベントです。これにより田んぼでの衣服や道具を無印が販売し、村は集客が図れ休耕田が生き返る等、三者とも潤う仕組みです。このような仕掛けがなぜ百貨店でできないのでしょう。答えは明確です。「事故があったらどうする」「責任は誰がとる」「前例が無い」、結果「やめよう」なのです。

消費者ニーズの変化 が社会を変える №1 「 クリーンエネルギー」

  消費者ニーズの多層化は単にモノの買い方や買いたいモノの変化だけでなく、社会そのものを変えつつあります。クリーンエネルギーは太陽光発電を筆頭に石油や石炭による大気汚染防止の切り札として期待されています。我国では民間発電買い取り価格の問題や用地買収の高コスト化などで未だ大きな前進はしていませんが、世界的にはクリーンエネルギー化の流れは止まりません。米国カリフォルニア州では新築家屋に太陽光発電設備付帯を義務付ける法律が成立し「自前エネルギー」化へ大きな一歩を踏み出しました。自国で大量の石油を算出するにも拘らず次世代を見据え政策を推進しているのです。欧州では太陽光発電に留まらず化石燃料車を全面廃止する決定がなされており、世界的規模で車は電気自動車化へ大きく舵が切られ、自動車メーカーはその開発に血道を上げています。我々の身の回りに当たり前に存在した「モノ」が大きく変貌しつつあるのです。これらは消費者が「便利より環境」を優先する意志の表れであり「消費より保護」へニーズが大きく変化した結果でもあります。

  百貨店は「クリーンエネルギー政策」を商売のネタと考えたことはありましたが、消費者のライフスタイルの柱の一つとして捉えたことは一度もありません。消費者は自分の生活信条に共感してくれる、あるいは主導してくれる人や企業を支持する時代です。百貨店は消費者をリードする役目があるはずですが迎合ばかりしています。ユニクロを初めとする低価格商品が流行れば我慢することなく低価格路線へ邁進しスーパーと競合し、インバウンドが叫ばれ始めると一斉に右に倣えをし、高級品から生活用品に売れ筋が変わると平気でドラッグストアーを導入したりします。このような態度はかつては「時代を見るに機敏」と言われましたが今では全く逆です。百貨店はもっと社会の公器として自信を持つべきです。これからの時代は「消費のみ」から「再生」がキーワードの一つになることは誰もが認めるところです。

 こうした流れの中で、百貨店をはじめ各商業施設は未だに膨大な無駄を浪費しています。一つは夏冬かかわらず使用する「冷房」があります。一般の方はご存じないですが百貨店は膨大な照明から発せられる熱を冷却するためにクーラーは年中フル稼働しているのが現状です。消費時代の象徴であった百貨店はここでも時代を見ていません。館内で使用するエネルギーを少しでも削減するために屋上のフル緑地化や建物壁面の熱反射塗料散布や太陽光パネル化を実施して自社使用電力の一部を獲得するなり、夏場には日本古来の打ち水や涼しく感じる音響効果の多用、冬場には外気導入による冷却化や中元歳暮を中心に膨大な量に上る配送業務も電気自動車に限定し行なったり、自家用商品の完全無包装化などを実践すべきなどして他企業の模範となるべき時代なのです。しかし残念ながら百貨店は未だに「経費削減」の観点からしか考えないのです。競争社会で一人先に利益が見込めない投資に踏み込むのは株主様が許さない環境下ではありますので、百貨店協会が率先して指導することが必要では無いでしょうか?ただただ政治献金していればよい時代ではないのですから。

 

 

既成概念撤廃と事実認識の重要性

  「中国は全ての面で遅れている」「日本のモノ造りは世界一の水準である」と皆さんはまだ思っていませんか?これらは少し前まで世界の常識でした。日本車は世界トップレベルの安全性と高コストパフォーマンスを誇り、SONYは世界のブランドでした。しかし現在の事実は違います。東南アジアで見かけた「Panasonic」の看板は「Samsung」に取って代られ、「SONY 」は「LG」に「SHARP」は「鴻海」になったしまいました。日産はルノー傘下ですし、TOYOTAは電気自動車で出遅れました。中国は遅れていた技術開発を世界の一流企業の下請けになることで、近年はM&Aで先進企業ごと取得し更に発展させ、ITの力を最大限活用して社会変革と経済拡大を圧倒的なスピードで推し進めています。小売りで言うとネットのアリババが1日で2兆円を売ったことは記憶に新しいことですし、日本で進化したコンビニは中国ではさらなる進化を果たし無人化が進み、現金ではなくスマホでの決済が日常的になっています。日本では新興勢力や新技術が出てくるとまず否定から入ります、「ああだからダメ・こうだから良くない」と。しかし中国は違います。貪欲に、どんなものでも「金」になりそうなものには飛びつき、自分のものにしようとするのです。消費者も正直で何に価値があるか素直に認めるのです。ラグジュアリーブランドの「偽物」があれだけ生産され消費されるのはそのブランド価値を知っているからで、実際の価値と価格を比較ているからだとも言えます。

 その中国では 時代の流れが速いとよく耳にします。「日本の10年は上海の1年」というセリフは中国のスピードの速さを表現する常套句として使われていましたが、最近は「日本の変化するスピードが遅すぎる」と認識すべき言葉であると筆者は感じています。この原因は日本のガラパゴス化と経済の流れが残念なことですが中国を軸に回り、そのスピードに日本企業がついて行けない事が最大の原因だと思います。これだけネットの発達により世界が狭くなり世界が相手でなければ生き残れない時代になったにもかかわらず、よく言えば「独自性の維持」ですが結局は時代に乗り遅れただけのことです。小売り業も当然この流れに乗れてはおりません。1000年前の雨ごいと同じでひたすら中国の団体様ご一行の来店をひたすら祈るだけです。世界を相手に生き残りを図るか、日本市場だけで静かに滅ぶのか、今日本の全ての業種が、企業がその存在意義を試されているのです。日本企業は消費者が何を望んでおり、そのライフスタイルを豊かにする為にIT技術の開発と利用を積極的に推し進める必要があり、時間はもはや残されていないのです。

 

ゴールデンウイーク

今年のGWは天候も味方して数多くの人出が各地で見られましたが、百貨店も大都市を中心に久々に活気が戻り売上も良かったようですが、各社が仕込んだ「GW用セール品・お買い得品」よりは一般常備品のほうが好調の模様です。春のベースアップや昇給の影響という声は聞こえてきません。それよりは春・初夏に欲しい商品をこのGWに買い揃えたということなのでしょう。今の消費者の「欲しいモノ」は「欲しい時」に「買う」という消費行動は完全に定着しているようです。そこには単なる価格優先でも流行優先でもなく、自己の価値やライフスタイルに合っているか否かが基本要件になっています。この流れに遅れないためにも百貨店を初め小売業は、消費者の生活をより豊かにする為にどんな情報をどのように発信するべきか、持てうる全ての資材を投入して研究すべきです。そして自社の立ち位置を明確に発信し続けることが求められます。

東京ミッドタウン日比谷

 新たな商業施設が日比谷にオープンしました。三井不動産が手掛けるミッドタウン・日比谷です。先に開業したGINZASIXより商業面積的にはやや小さいですが、MD的にも導線的にも大変良くできており、楽しめる施設になっています。屋上(商業階)や途中階に設けられた庭園からの景色が目の前の日比谷公園や皇居を借景としてとても開放感があり、とても気持ちが良く、何処にでもあるありふれた専門店も当然入居はしていますが、街場の人気店や有名店の新業態など此処彼処に見所が沢山あります。特に3Fの「日比谷セントラルマーケット」はファッションあり理容室あり居酒屋ありスタンドコーヒーに文房具あり、と雑多な市場の感じが良くできており、且つ、それぞれを構成する店舗のレベルが高くとても面白い空間になっています。また4FはTOHOシネマが入居していたり、1FにはトヨタLEXUSが展開するライフスタイル雑貨屋やカフェがあったり、B1には「日比谷フードホール」といってNYセントラルステーション駅の地下みたいなテイストの8店舗からなるカジュアルレストランからBBQショップにコロッケ屋さんが、各店舗以外でも中央のオープンテーブルで好きに食べられたり、全館を「ライフスタイル」「緩い空気」が貫いていて、正に時代の空気を表しています。各階飲食も京都の瓢亭を筆頭に定食屋一角まであらゆるターゲット層の店が揃っていますが、どの店も格式ばらず、入り易くとても良い雰囲気です。お客さんも、若いカップルから熟年女性のグループ、3世代揃った家族連れまで、みんな楽しそうに館内を回遊しています。昨今のインバウンドを目的とした商業施設では無く、日本人相手の環境やMDはとても心地よく今後の百貨店の再開発の指標になる素晴らしい商業施設だと思います。残念なのは上下の導線がEVとESだけなので混雑すると身動きできなくなる点で、施設的に階段の設置は今後の課題かもしれません。それでも全体評価は95点です。

 

 

百貨店新業態への進化3

次にモノを買うだけの場所から時間と空間を消費する為の場所に進化するためには、他では得られない「ここでしか得られないサービス」がとても重要になります。

 百貨店に於けるサービスは色々ありますが、中でも一番強力なものは「接客サービス」でした。しかし現在ではきちんとした接客サービスを受けることは殆ど不可能な状態です。何故なら百貨店の自社社員が大幅に削減され、売場は消化仕入先が派遣した先方の社員かアルバイトになってしまっており、まともな製品知識、商品知識、コーディネート知識、オケージョン知識など百貨店が教育自体を放棄してしまったため、各ブランドや取引先が勝手に教育を行い、自社商品以外は全く「われ関せず」と百貨店としての統一された接客サービスは望むべくも無いのが現状なのです。かえって各専門店の販売員の方が百貨店のそれより商品が好きという場合が多いので、接客レベルは全然上です。

 しかし、百貨店再生の為には「接客サービス」の飛躍的向上は不可欠です。店内で接客する人間はある程度の期間接客教育を受け、一定のレベルに到達しなければ接客サービスができない位の厳しさが必要で、百貨店協会や専門店協会、チェーンストア―協会等の公的機関が協力して販売員のレベルを公的に設定するなどの対策が必要でしょう。百貨店では最上位レベルの販売員しか売場に立てないようにするなどして全体的な販売員レベルの底上げが求められます。販売員に関しては拙著(※お客様、閉店です:繊研新聞社編)で述べましたが、基本給+売上歩合制度や役員登用制度などを導入してその地位を向上させる必要があります。そうでないと販売員自身のやる気や自尊心が助長されないからです。

クーデター倶楽部HPへ続く・・・・・・・

 

 

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