既成概念撤廃と事実認識の重要性

  「中国は全ての面で遅れている」「日本のモノ造りは世界一の水準である」と皆さんはまだ思っていませんか?これらは少し前まで世界の常識でした。日本車は世界トップレベルの安全性と高コストパフォーマンスを誇り、SONYは世界のブランドでした。しかし現在の事実は違います。東南アジアで見かけた「Panasonic」の看板は「Samsung」に取って代られ、「SONY 」は「LG」に「SHARP」は「鴻海」になったしまいました。日産はルノー傘下ですし、TOYOTAは電気自動車で出遅れました。中国は遅れていた技術開発を世界の一流企業の下請けになることで、近年はM&Aで先進企業ごと取得し更に発展させ、ITの力を最大限活用して社会変革と経済拡大を圧倒的なスピードで推し進めています。小売りで言うとネットのアリババが1日で2兆円を売ったことは記憶に新しいことですし、日本で進化したコンビニは中国ではさらなる進化を果たし無人化が進み、現金ではなくスマホでの決済が日常的になっています。日本では新興勢力や新技術が出てくるとまず否定から入ります、「ああだからダメ・こうだから良くない」と。しかし中国は違います。貪欲に、どんなものでも「金」になりそうなものには飛びつき、自分のものにしようとするのです。消費者も正直で何に価値があるか素直に認めるのです。ラグジュアリーブランドの「偽物」があれだけ生産され消費されるのはそのブランド価値を知っているからで、実際の価値と価格を比較ているからだとも言えます。

 その中国では 時代の流れが速いとよく耳にします。「日本の10年は上海の1年」というセリフは中国のスピードの速さを表現する常套句として使われていましたが、最近は「日本の変化するスピードが遅すぎる」と認識すべき言葉であると筆者は感じています。この原因は日本のガラパゴス化と経済の流れが残念なことですが中国を軸に回り、そのスピードに日本企業がついて行けない事が最大の原因だと思います。これだけネットの発達により世界が狭くなり世界が相手でなければ生き残れない時代になったにもかかわらず、よく言えば「独自性の維持」ですが結局は時代に乗り遅れただけのことです。小売り業も当然この流れに乗れてはおりません。1000年前の雨ごいと同じでひたすら中国の団体様ご一行の来店をひたすら祈るだけです。世界を相手に生き残りを図るか、日本市場だけで静かに滅ぶのか、今日本の全ての業種が、企業がその存在意義を試されているのです。日本企業は消費者が何を望んでおり、そのライフスタイルを豊かにする為にIT技術の開発と利用を積極的に推し進める必要があり、時間はもはや残されていないのです。

 

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