消費者ニーズの変化 が社会を変える №1 「 クリーンエネルギー」

  消費者ニーズの多層化は単にモノの買い方や買いたいモノの変化だけでなく、社会そのものを変えつつあります。クリーンエネルギーは太陽光発電を筆頭に石油や石炭による大気汚染防止の切り札として期待されています。我国では民間発電買い取り価格の問題や用地買収の高コスト化などで未だ大きな前進はしていませんが、世界的にはクリーンエネルギー化の流れは止まりません。米国カリフォルニア州では新築家屋に太陽光発電設備付帯を義務付ける法律が成立し「自前エネルギー」化へ大きな一歩を踏み出しました。自国で大量の石油を算出するにも拘らず次世代を見据え政策を推進しているのです。欧州では太陽光発電に留まらず化石燃料車を全面廃止する決定がなされており、世界的規模で車は電気自動車化へ大きく舵が切られ、自動車メーカーはその開発に血道を上げています。我々の身の回りに当たり前に存在した「モノ」が大きく変貌しつつあるのです。これらは消費者が「便利より環境」を優先する意志の表れであり「消費より保護」へニーズが大きく変化した結果でもあります。

  百貨店は「クリーンエネルギー政策」を商売のネタと考えたことはありましたが、消費者のライフスタイルの柱の一つとして捉えたことは一度もありません。消費者は自分の生活信条に共感してくれる、あるいは主導してくれる人や企業を支持する時代です。百貨店は消費者をリードする役目があるはずですが迎合ばかりしています。ユニクロを初めとする低価格商品が流行れば我慢することなく低価格路線へ邁進しスーパーと競合し、インバウンドが叫ばれ始めると一斉に右に倣えをし、高級品から生活用品に売れ筋が変わると平気でドラッグストアーを導入したりします。このような態度はかつては「時代を見るに機敏」と言われましたが今では全く逆です。百貨店はもっと社会の公器として自信を持つべきです。これからの時代は「消費のみ」から「再生」がキーワードの一つになることは誰もが認めるところです。

 こうした流れの中で、百貨店をはじめ各商業施設は未だに膨大な無駄を浪費しています。一つは夏冬かかわらず使用する「冷房」があります。一般の方はご存じないですが百貨店は膨大な照明から発せられる熱を冷却するためにクーラーは年中フル稼働しているのが現状です。消費時代の象徴であった百貨店はここでも時代を見ていません。館内で使用するエネルギーを少しでも削減するために屋上のフル緑地化や建物壁面の熱反射塗料散布や太陽光パネル化を実施して自社使用電力の一部を獲得するなり、夏場には日本古来の打ち水や涼しく感じる音響効果の多用、冬場には外気導入による冷却化や中元歳暮を中心に膨大な量に上る配送業務も電気自動車に限定し行なったり、自家用商品の完全無包装化などを実践すべきなどして他企業の模範となるべき時代なのです。しかし残念ながら百貨店は未だに「経費削減」の観点からしか考えないのです。競争社会で一人先に利益が見込めない投資に踏み込むのは株主様が許さない環境下ではありますので、百貨店協会が率先して指導することが必要では無いでしょうか?ただただ政治献金していればよい時代ではないのですから。

 

 

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