コロナ禍後の世界 №5

コロナ禍が終焉すれば、世界は元どうりと考える人は10数%、ある程度しか戻らないが40数%、戻らないが40数%で大多数の人が元の世界には戻れないと考えています。(2022.01.26日経新聞)

大多数の人はこの2年間のコロナ禍生活で既成の価値観や常識、生活の基本が根底から変わりました。ある人は家族との生活を、ある人は人生を、ある人は仕事自体の将来性を考えたことでしょう。

結局どの人も今まで当たり前と考えていた生活自体を見つめ直す結果となったことは間違いありません。

今まで、より便利に、より安価に、より快適に、と進化してきた文明はいつの間にか地球環境を汚し、自然を破壊し、人生の価値基準を金儲けだけにしてしまいました。

結果、物質的には豊かな社会に為りましたが、そのために本来不必要な犠牲を多大に払っている事にコロナ禍は気付かせてくれる大きな機会となりました。

他人事であった二酸化炭素排出問題や海洋汚染問題が身近な生活に直結していることを、コロナ禍で時間に余裕ができた人々は否が応でも考え始め、世界が一丸となり脱炭素化へと大きく舵を切り、今までの産業基盤を大きく変更せざるを得ない状況に為り始めています。

利便性を求めるあまり、地球規模での環境汚染を引き起こしている事にようやく目を向ける結果となったのです。

同時にIT技術の急激な進化も社会基盤の抜本的変化を促しています。新しい技術は産業構造のみならず、単なる技術の枠を超えて生活自体の変化を推し進めています。単純に便利というのではなく、機能を利用する事により時間的、空間的に無限の広がりを与えてくれるという点では、利用しない手はありません。

今まで通販利用が主体だったネット活用策は「リモート」の普及で生活をさらに一変させました。通勤しないで仕事をするなんて誰も思いもよらなかったと思います。

一部の企業で行っていたTV会議レベルではない一般会議や業務推進が、画面を通して普通に行われることは、どれだけ効率良く、また、ストレスなく、働けるか考えるだけでワクワクします。

一方で効率のみを追求した産業構造では、危機管理という認識が無いことも判明した結果、流通における危険性という課題が大きく持ち上がっています。

企業は利益最優先で、全ての日用品を始めとするほとんどの産業が、人件費が安い(と思い込んでいる)中国に生産基地を移すか仕入れをしていたため、バブル崩壊時のトイレットペーパーが街から一斉に消えた状況を再現してしまったからです。

日本人は喉元過ぎれば何とやらで、生活に不可欠な基本商品が自国で生産されていないということに全く危機感がありませんでした。

何かあれば輸入が止まるという事にバブル崩壊で嫌というほど経験しているにもかかわらず、特に医療・衛生商品は生活に密着しているにもかかわらず、全く危機感を持っていませんでした。これが衣料なら影響はありませんが、エネルギーだったらどうなるでしょう?

それどころかウィルス対策の薬の開発ができないという現状に愕然としたものです。ウィルス薬開発は非常に資金が掛かるので、目先の利益しか見ない我が国の経営体質がそれを許してはいなかったのです。

誰もが医療分野は間違いなく一流国家と自負していたのに、保健所が未だFAXだとか、製薬会社が自社開発機能を放棄し、儲けの大きい特許の切れたジェネリック薬販売に血道をあげているとは知らなかったでは済まないのです。

噂からトイレットペーパーや消毒液、マスクにおむつまであっという間に流通から消えてしまい、必要なものが買えないという苦痛を人々は実感し、危機対策が政府任せではいけないことにも気が付きました。一流と思っていた経済が実は二流以下だったこともばれてしまいました。

特に経団連は今回の危機に対して何ら構成企業に対して明確な方針の打ち出し一つせず、ただおろおろしていただけでした。さらには日立の社長などは「リモートは効率が悪いから全員元の通勤体制に戻す」とまで言ったほど、先どころか時代が全く読めていない状況でした。国がリードする体制になく、企業も同じということはかなりショックな事です。

現在コロナの抗原検査キットが品薄で手に入らない状況が続いています(2022.01.27現在)。政府が買い取り保証を行いやっと企業も重い腰を上げ増産体制に向かっていますが、休日を返上しての24時間体制を採った企業は皆無であります。

急に人員体制が取れないとか、マスクの時と同じで生産ラインを増やしても、いずれ落ち着いたら過剰生産化してしまうのでライン増設はしないというのが企業の本音であります。企業は常に冷静に利益の事しか考えないものです。

一般の人もコロナに罹ったらしいという疑いなくして検査しても制度が悪く、陰性になった人が実は陽性という事実が30%もあるという情報を知らず、やみくもに検査して安心してるのが現状です。結果、本当に必要な病院や検査場に検査キットが不足するという事態すら招いているのです。

コロナ初期に、小池都知事や二階幹事長がコロナ禍の元凶の中国にマスクや防護服を配って、悦に入っていましたが、すぐに国内でマスクが不足し大問題に為りました。当の中国では日本向けのマスク工場を接収して潤沢に在庫があるといのに・・・・。選挙向けのアピールをしたパフォーマンスの責任は結局庶民が割を食ったのです。

今回のコロナ禍に関してはマスコミの責任も大きいものがあります。人流抑制ばかりを取り上げ、規制に背くものは悪とのキャンペーン一辺倒でした。飲食業をはじめとする人流が途絶えることで生活が成り立たない事業者が出始めると、今度は一転、画一的な政策ではいけないと手の平を返します。検査することが最重要で、検査数を増やせ増やせと煽り、検査数が増えた結果感染者数が増加した結果病床が逼迫すると今度は一般病棟での治療ができないと煽ります。基本は重傷者を最優先すべきなのに、画一的視点でしかものを見ないのがマスコミです。

問題はコロナ専門対応病院の医療が逼迫しているのは、単にベッド数ではなく、医師や看護師の不足が根本問題なのです。しかし、一般の病院に居る医師たちは全くコロナ医療に関係しておらず、何ら協力体制に組み込まれてはいないのです。医師会は補助金だけ取り、なんらこの2年間医療総動員体制を組もうとはしてこなかったのです。

このように、政治以外の民間諸団体は政治と違ってきちんと対応してくれるものだと私たち一般人はなんとなく思っていましたが、既得権益を守ることが目的の時代遅れの団体では時代に対応できないことが次第に一般人にも気付くように為ってきています。

こんな日本がコロナ禍が終焉すれば元に戻ると考えている人は、既得権益側の人か、よっぽどの〇〇でしょう。

今回のコロナ禍が終焉した時、私たちは政治や経済が二流あるいは三流で、機能不全に陥っている事を忘れてはいけません。どうも私たちは喉元過ぎればなんとやらで忘れてしまう傾向が強いですが、今回ばかりはしっかり今後の日本の方向性をきちんと見守らなくては本当の3流国になる日は遠くありません。

コロナ禍後の世界 №4

最近、面白い記事を読みました。

「IT化が進捗すると工場のロボット化が進み、人々は職を失うという従来の説は間違っているのではないか」

というものです。実際、IT化を進捗させロボット化を推進してきた企業の業績が上がり、結果業容拡大のため人員を増加させたという調査結果があるそうです。

コロナ下でも利益を増やした企業は軒並み人員増だったそうです(2022.01.26日経新聞)。思わず耳を疑う説でしたが、読み進めるうちに「そうかも」と思い始めました。

私たちは工場での生産ロボット化と一般事務の効率化を、ともすると同じ基準で論じてきました。

日本の大手企業は勿論のこと、中小企業でも効率化のための技術開発=ロボット化はかなりのレベルで進んでいるのです。大量生産の手段としてのロボット化から、人手よりもより正確でロスの無い生産体制としてロボット化は世界水準より上だといえるでしょう。

その他にも現在手仕事で作業されている業種も沢山ありますが、機械化=ロボット化を導入すれば効率化が間違いなく図れるものは数多くあるはずです。

スーパーやコンビニなどのレジは間違いなく機械化されるでしょうし、薬品検査などの手作業も効率良くなるはずです。衣料の縫製もいずれ全自動化は可能でしょう。

しかし、手作業で仕事を進めている企業の多くは零細・中小企業でロボット化の設備投資にはなかなか難しいものがあるのも事実です。

農家などでは農耕器具のロボット化やロボット管理の全天候型ハウスがもっと普及すれば生産性は飛躍的に伸びることは間違いありませんが、初期投資が大きく、後継者問題や生産量と価格のバランスなど様々な問題があり、なかなか進捗しないのです。

町工場では機械を導入しても、その機会をメンテする人材不足や機会を動かす労働力不足が通年化しており、やはり新型機械の導入がためらわれているのが現実です。

しかし、ロボット導入化で他社では真似のできない製品や、精度が安定して高い商品を生み出せる企業では業績はどんな時でも右肩上がりなのです。

このように導入までは数々の問題が存在し、簡単にロボット化というのは一部の大企業でしか無理と思われています。しかし、現在曲がりなりにも機械化=ロボット化が進んでいる業種は、①足らない労働力を補う②効率化による生産性向上を目的に確実に改革を進めているのです。故に、ロボット化で効率良く生産性が向上すれば、企業の利益は確実に増え、結果企業は業容拡大に走るというのは十分理解できます。

その為に政府がロボット導入支援基金などを創設し、積極的にロボット化を国策として推進すれば、日本の製造業は世界を相手にまだ十分対抗できる製品力と価格を持つことができると思われます。

そうしてみると日本の企業で一番生産性が低く、ロボット導入化が遅れているのは後方部門や営業部門として、人が中心に活動する部署だと気付きます。

我が国のどの企業も働かない40~50代を多く抱え、働き世代の30代の足を引っ張っています。

高度成長期のように、企業が必ず毎年拡大していく時期ならば必ず昇級でき、仕事もどんどん上級に自然となっていきましたが、安定成長期に入った現在では、自分で新しい仕事を積極的に見つけ、自ら学習して新しい技術やノウハウを培っていくという人材以外は取り残され、企業のお荷物になるのは必然といえるでしょう。

彼らは革新的なことをやって失敗することを極端に恐れ、今まで通りに業務を進めることがベストと考える結果、新しいチャレンジはことごとくこの中間管理職レベルで潰され、従来通りの、効率化より慣れた手仕事を好むのです。

この状況下では会社と組合が一体となり、くだらない労使協定などを結んで安穏としている余裕などあるはずがありません。

IT時代の意味と意義、可能性と新しい使い方やビジネス化の種が山ほど埋もれているにもかかわらず、始めから拒否反応を起こし、若い世代にどんどん仕事を奪われ、企業内で居場所がなくなっているのです。

今こそ、PCを使いこなすための教育や、ITの基礎理論や新技術教育を行い、無駄な人員を有効活用させる為の行動を起こすべき時なのです。

どんな企業でも無駄に遊ばせておく余裕はないのです。特にIT業界は新しいソフトや技術が日進日歩で進むので、基礎から応用まで専門知識が求められます。再教育を拒んだり、成績が悪い人材はそれなりの部署に降下させるのもしょうがないことです。とても高級を払い続けることはできないからです。

故に、企業から所謂中間管理職を除き、手作業を機械化すれば今までの人員の1/3以下で業務は支障なく遂行るのではないでしょうか。また、減点制度ではなく加点主義で企業を運営したら、生産性は間違いなく上がるのではないでしょうか。

企業はよく「減点主義でなく加点主義」だといいますがPDCAを見ても加点主義で運営されてる企業は殆どないのが日本の現状ではないでしょうか。それは、やはり中間管理職がきちんと部下の仕事を見ておらず、自身の職務を全うしてないからに他ありません。

上から指示が出ると企業は人員削減を行いますが、あくまで数字合わせで人員を削るのではなく移動させるだけで、会社全体でみると人員削減はできていないのです。それどころか却って人員削減された部署は契約社員や派遣社員などを入れ、結果増員になっているケースは数多く見受けられる実情です。

リモートワークが増えると困るのはまさにこの中間管理職層です。リモートに反対するのは決まってこの層で「管理ができない」という言い訳を言います

「目の前に座っているだけで仕事をしていると安心し、目の前に居ないとさぼっているに違いない」と考えるのでしょう。その為、仕事の仕方も従来のやり方ではなく成果型でないと管理などできるはずが無いのです。

今までのように昼間はパソコンで遊んでいて、終業間際になると「さあ、残業だあ」と張り切る自分の姿を投影しているからに他なりません。明確に仕事を与えられないのは上司の責任範囲なのです。

IT化はいろいろな問題を私たちに投げかけてきます。今までのやり方、考え方といったものは当然、仕事自体の組み上げ方、終了期限の設定、評価項目の設定など従来にない項目を検討・設定していかねばなりません。今までのようなやってもやらなくても変わらないような仕事内容や進め方は、無くさなければなりません。これは日本型経営を根底から考え直す良い機会だと捉えるべきです。

コロナ禍後の世界 №3

このコロナ禍がもたらした大きな災いの一つに人流の阻害があります。

グローバル化した現代において「人の流れが止まる」という想像だにできなかった事態は、各方面に多大な損害を与えました。このことは今まで経験したことのない自由な往来のできないという不自由さのみならず、経済ダメージは、観光客であるインバウンド顧客激減による損失と同時に、仕事で、特に労働力として来日する人々さえ来日できなくなっているという隠れた大きな問題を孕んでいるのです。

コロナ禍による人流制限により観光業のみならず、農業や建設業、製造業に商業全般に至るまで大きな影響を受けてしまいました。営業時間を縮小せざるを得なかった飲食業は、酒類の提供時間も限定されたので全滅に近い状況でした。物流業は仕事は増えて元来からの人手不足でパンク状態です。観光・旅行業は言わずもがな全滅です。オリンピック景気を当て込み、増産されたホテルは廃業・倒産が後を絶ちません。タクシー業界も同様です。

コロナ禍前からインバウンド客頼みであった小売り・流通業界は完全に息の根を止められ、特に地方では閉店ラッシュが続いており、もはやニュースにすらなりません。

やはりコロナ禍前から海外労働者に頼っていた農家では、「実習生」と称する季節臨時労働力が海外から入国できず農作物の収穫に支障をきたしたり来年の作付ができずにいて、単に今年だけの問題に留まらない大変な状況下にあります。また同じように海外労働者に頼っている工場では、労働力が確保できないために稼働率を大幅に落としたり、注文を断らざるを得ない事態に陥っています。どちらも零細・家族経営の小規模経営が厳しいようです。

臨時労働力である、技能実習生・特定活動者・資格外活動者は2017年で外国人労働力127万人の内、45%強の58万人居ました。2019年では外国人労働力は165万人に増加しているので約75万にと推定される臨時労働力が日本から失われた計算です。

注: 技能実習生 (農業・工業・流通などの分野で日本の技術・技能を実習にて習得を目的とした労働力)  : 特定活動者(看護師・建設労働者などの資格獲得を目的の労働力) :資格外活動者(留学生のアルバイト・1週28時間以内)

我が国では、政府も民間もコロナ禍が終焉すれば以前のようにインバウンド客さえ戻ればこの国は大丈夫とばかり、のほほんとしています。しかし、本当に大丈夫でしょうか?いやそれ以前にコロナ禍前に戻るのでしょうか?

コロナ禍は大打撃を我が国に与えましたが、IT化の絶望的な遅れ既得権益層のいかに多いこと中途半端な労働力確保政策、などが露呈したことは多いなる成果でしょう。人流の抑制で滞った経済はIT化の推進で大きく修正できるどころか、先進国で一番遅れているIT化を一挙に進める良い機会でもあります。それは既得権益層が牛耳っている古いやり方、時代遅れの無駄だらけのやり方を粉砕し、新時代に合った効率的経営をもたらしてくれるはずです。

長時間満員電車に乗る痛勤や、膨大な紙の資料を読むだけの会議、ハンコを貰えず滞る資料、こういった非効率こそ日本企業の生産性の低さの根源ではないでしょうか? メールで送付すれば全て終わってしまう資料、事前にその資料を読み、会議では質問と決定するだけにすればほとんどの会議は1時間以内で終わるでしょう。リモートにすれば1時間もかけて体力を消耗する必要もなく、共稼ぎの方は子供の預け先に悩んだり費用をかける必要もなくなり、家族で過ごす時間が増え、人間らしい生活が送れるはずです。これこそ新しい資本主義の在り方で、株主優先主義の古い考えのトップの居る企業とは一線を画して企業評価も上がるというものです。

また、頑なに拒み続けている移民政策も、難民想定ではなくちゃんとした技量保持者から段階的にでも良いですし、国立の技能訓練支援を行い育てても良いです。来日の為の費用一式や母国での日本語教育、妻帯者帯同者向けの宿泊施設の運営など国」地方時自体がやれば優秀な労働力が大量に安定的に確保できることは、コロナ禍のような非常事態に落ちいても健全に機能するはずです。

今回はコロナ禍という天災?人災?により起こされた人流制限ですが、我が国では先進国で例を見ない少子化が進んみ、また都市への集中化により地方では65歳以上の高齢層が50%以上取り残された限界集落は、20,372か所に上がっており、過疎地域の集落の32%を超えました。このままほっとけば消滅することはほぼ確実という2618か所も存在してます。

圧倒的なスピードで進む少子化や高齢化に対処するには、我が国の事情に合った新・移民政策を打ち出すことと、時代に合ったサービスの開発やITを理解できない40歳から上の世代に対してIT再教育を施し、不足するIT人材の補充として活性化させるなどを行い、地方に在住しても職が得られるような、根本的な社会構造から社会機能、それを動かす人々の価値観などを変える必要が不可欠です。まずは国家は明確な移民政策を提示するべきです。

IT技術を駆使すれば、地方の過疎地域ですら都会と同じサービスを受けられ、仕事も同じくできるはずです。その為には何度も言いましたが、政治の毅然とした方向性の提示と財界による具体策と実施スケジュールの明示が不可欠なのです。単に選挙向けの人気取りで現金をばら撒いているだけでは、政治として失格どころか、論外なのです。

逆に都会より無人の自動運転バスやパソコンによる遠隔診療、毎回病院へ行かなくても貰える処方箋、全国に存在する郵便局を活性化した過疎地域の見守り業務、など制度として地方から活用できることは山ほどあるはずです。

それは新しいビジネスの仕組みだけではなく、新しく危機管理という概念を考慮に入れた社会の仕組みを考えたものでなければなりません。そして人流がなければ商売にならない業種や業態は安全を基準として早急にデジタル化やロボット化など人的作業を代替できるIT技術を取り入れる必要があります。

スーパーマーケットやコンビニなど、サービスより商品価格や利便性を売りにする業種は今でもIT技術導入による人的コストの削減に余念がありませんが、接客サービスを売りにしてきた百貨店は如何したらよいのでしょうか?遅まきながらネット販売へ我先にと雪崩を打つようにシフトすべしと声高に叫び、なりふり構わずホームページ制作に勤しんでいます。しかし、果たしてこの政策は正解なのでしょうか?

そして、コロナ禍が終われば元の世界が戻るのでしょうか?

コロナ禍後の世界 №2

現実的な問題として、脱炭素化推進で増加する電力消費を自然エネルギーだけで賄えるのでしょうか?

地球環境に優しいとして自動車の電気化が一般の人々の大きな関心毎になっています。また、クリーンエネルギーとして太陽光発電や風力発電などに脚光が当たっています。しかし、車より圧倒的多くの二酸化炭素を排出する産業用の安定した電力供給はできるのでしょうか?

現在我が国のエネルギー自給率は11.8%世界34位で先進国35か国中下から2番目です。しかもエネルギーの87.4%を化石燃料に頼っています。この化石燃料の代わりが簡単に見つかるでしょうか?2018年度で再生エネルギーはわずか8.2%しかありません。

これを2030年までに10倍にする事は可能でしょうか?

太陽光発電は国による高額買取補助政策が2014年に廃止され、現在では地方自体による省エネハウスに対して支給されています。しかし、業務用での太陽光発電は自社向けがほとんどで、余剰電気の売電はなかなか進捗していません。

近年では太陽光発電設備設置のために森林伐採や土壌掘削などで土壌流出事故や森林崩壊などの環境にかえって悪影響があると指摘があり、今後大規模の拡大は難しい状況です。

風力発電は、海に囲まれた我が国では大陸と違い一定方向の風が常時吹くのでは無いので、発電効率がさほど良くなく、企業収支でみるとなかなか合わないようです。

地熱発電は国立公園の中が多く、調査するだけでも法的整備が今から行われなくては間に合わない状況です。潮汐力発電は発電量の増大が大きな課題で、まだまだ実用化には遠い状況です。

近年、火力発電所で使用する燃料の石炭にアンモニアを混ぜ窒素酸化物を減らす研究が進んでいます。これが実用化されれば従来の火力発電所を廃棄せずにすみ、大幅な経費増を防ぐことができます。しかしそれでも二酸化炭素の大幅削減にはならないのです。

その他に、水素エネルギーや核融合などが実験されていますが、しかし国が本腰を入れて乗り出したり、実験に膨大な開発研究費を投じたりしない限り、なかなか進捗するとは思えないのが現状です。

水素エネルギーはトヨタ自動車が世界の中で一歩先んじた技術力で頑張っていますが、水素ステーションの設置や能力の向上(蓄電池能力の向上)などまだまだ解決しなければ実用化できない問題が山積しています。しかし国家レベルの事業として行えば、水素電池は他の内燃機関への転用など(船舶用・航空機用など)、無限の可能性を秘めているのです。

これが実現すれば世界の社会構造や政治力学が激変する事は間違いありません。

現在では一番のクリーンエネルギーは原子力発電だと言われています。原発全面廃止を打ち出したドイツはエネルギーを全面的にロシアからの天然ガスに依存することを決めましたが、ロシアのクリミア侵攻やウクライナ侵攻により安全保障上大きな課題となっています。

そして2020年、フランスの原発から買電契約を結ぶと同時に、EUは原子力を基幹エネルギーと認定し、クリーンエネルギーの代表に選んでいます。これがあって初めて火力発電を止めることがスケジュール化できるのです。

原発の稼働を曖昧にしておいては我が国のエネルギー政策は、完全に行き詰まる事は火を見るより明らかです。

にも拘らず東北大震災の惨事からの脱却が政府も企業も国民もできず、感情的な原発廃止論が流布されているのです。現状で脱炭素化を行うにはいい加減な目標数値を弄ぶことではなく、海外との排出権取引に逃げるのでもなく、代替エネルギーの確保と社会基盤改革のスケジュール化を明確に行うことです。

このように目先の言葉に踊らされ、コトの本質を見極める事無く、長期に渡るヴィジョンがないまま事前の準備も不十分なうえ見切り発車をする事は国家百年の計を誤るものです。原発を含め幅広い討論を行い、国として基本政策をまとめることが最大且つ喫緊の課題であることは間違いありません。安易な脱炭素政策はは無謀なことであるという認識を、私たち一人一人が持たなければいけません。

コロナ禍後の世界 №1

コロナ禍終焉の気配がなかなか見えない年明けとなりました。

コロナは想像以上の混乱を世界中に引き起こし、特に我が国ではIT化の遅れによる社会基盤の脆弱性を露呈させる結果となりました。複層する情報の一本化の遅れや繋がらないシステムの互換化の遅れ、コロナ対策を指示する司令塔の不在、行政縦割りの弊害、利益追求のみに硬直した柔軟性に欠ける既成団体や企業組織など、今回我が国のITレベルはコロナ禍に全く対応できなかったのです。

しかし、我が国のIT化が政府を中心にこれ程まで遅れているとは国民の誰一人思っていなかった中で、世界の先進国から完全に遅れていることに初めて気付けたことは良かったことかもしれません。ただ政府をはじめ財界が一丸となってIT化に邁進しなければ、遠からず三流国家に成り下がると判っていながら、コロナ禍が始まり早2年経つにも拘らず、社会を上げてのIT化は進んでいるようには見えないことは大いに心配の種であります。

これはひとえに政治や経済界のリーダー達が、今迄の制度や価値観に縛られ、自由な発想ができないどころか、IT化の真の意味を理解せず、いや、IT化を活用するどころかその可能性すら判らず、ただただ既得権益確保に固執しているからに他なりません。医師会のデジタル診療拒否や、財界の根拠のない在宅勤務非効率化論、一部政治家のマイナンバー制度反対、など各種の利権団体は国民の幸福より自分たちの利益を優先させているのです。

既得権益のカベを乗り越えてコロナ禍で判明した社会基盤の整備遅れを取り戻すことは大変なことです。

行政各機関のばらばらな運営ソフトを統一するだけで調整難航が予想されますし、デジタル機器の使い方から再教育しなければ、現場ではかえって業務が停滞する危険すら発生するでしょう。今後は小学生からデジタル教育を始めなければ、国民全員が「ゲームはするけれど、仕事では使えない人材化」する事態が危惧されます。パソコンを使えない大臣などは論外なのです。

IT化は単に機器をデジタル化すれば良いという話ではなく、働き方や生きがいなど、新しいへ価値観への変化を実現する一大社会変革の大いなる目標を掲げ、その実現のために社会や企業がどう変わるべきかを考え、その改革手段としてのIT技術導入という思想であるべきです。その道筋をきちんと政治が提示し、国策として実行することが求められます。日本の課題である生産性の低さや意思決定の遅さなどは、IT化推進で改善できるからです。満員電車での通勤や残業が当たり前の働き方はおかしいと気付くべきです。

現在、新聞にSDGsやDX講習会の全面広告が載らない日はないくらい、あらゆる企業でSDGsやDXが課題とされていますが、その意味や目的を理解している政治家や経営者は少ないと言えます。「クリーンエネルギー」「脱炭素化」「環境に優しい」「社会貢献」などの謳い文句は耳障りは良いですが、何をどうやって実行するかは真剣に政治・財界が一体となり検討されるべき課題であるのです。しかし、この地球温暖化に端を発する課題は、資本主義社会の新しいネタとして何千兆円もの仕事を生む卵だという側面を持っていることを見逃してはいけません。

新しい地球規模でのインフラ整備、今回特に政府だけでなく民間企業や個人レベルまで巻き込んだインフラの整備には、我々個人の生活に直結した影響があります。生活全般にわたる電子化やIOTの為には全てを新しく揃える必要があります。車は充電施設の拡充、自然エネルギーは新たな送電線網、農業では天候に左右されない屋内農地と管理するコンピューター制御システム導入、光回線の拡充、脱炭素のエースである水素発電インフラ整備、核融合炉の研究、など数限りがありません。これらを導入するには数百兆円規模の投資が必要になります。ですから欧米主導の「脱炭素」の流れに簡単に乗っては危ないのです。

安易な脱炭素化は大変な混乱を社会に引き起こす結果と為りかねません。

海洋汚染の元凶と目されているペットボトルですが、誰もがポイ捨てを止め完全なリサイクルをしなければいけない事は十分理解していますが、遅々としてリサイクルが生産量を上回るまでには進まず、お手上げという状況ですが、もしペットボトルの使用を完全に禁止したら皆さんは唯々諾々と従うでしょうか?一旦手に入れた便利さはそう簡単に手放すことができないのが人の常です。

また、電気自動車の推進ですが、製造工程の変化で余剰する人員の問題など、社会構造変革が必須になる事態に明確なヴィジョンや対策を政府や財界が持ち合わせていないことが最大の問題です。エンジンがモーターに置き換わる事で、トヨタ一社で300万人近い人員整理が必要になり、地域経済は完全に崩壊してしまいます。これらの受け皿や再教育に取る再就職斡旋は国家レベルで行わないと、対処できる問題ではないのです。脱炭素化を否定する人は居ませんが、その難しさを認識し、警鐘を鳴らしている財界人は豊田社長だけのようです。

現在中国が電気自動車では先進国家と言われています。その実態はインフラ整備が地方都市では全く追いついておらず、全く普及していない状況だそうです。先日余剰電気自動車を日本に販売したいという相談を受けましたが、ハンドルは左で走行距離も150キロ、とてもタクシーなど業務用では使える代物ではありませんでした。もともとヒットラーの国民車「フォルクスワーゲン」構想を見習ったものでしたが、ガソリンと違って電機は運べないので、充電設備の構築という基本的概念が欠如していたとしか思えない状態です。

更に、増加する電力消費を自然エネルギーだけで賄えるのでしょうか?

新しい時代の小売り業業№4

これからは、AIの普及&自動化の進展で事務や肉体労働の仕事は機械に代替化されていき、一方、集積された膨大なデータを分析したりシステムを守るセキュリティ要員は不足すると言われています。(世界経済フォーラムの推測では2025年度には8500万人の事務職が失業し、9700万人のデータ関連要員が不足)

我が国はかつて製造立国として世界経済第二位まで上り詰めましたが、もはや製造業の工場自体は海外へ移転され、或いは技術指導してきた国々に安い労働賃金で仕事そのものを奪われ、我が国に残されているものは実は僅かしかありません。製品のハードそのものは技術の日進日歩で直ぐ旧型モデルとなり、製造しても売れず値引きしてさえかつてのようには利益を企業にもたらしてはくれなくなり、結局は企業のお荷物となり海外企業に売却されてしまうことが多くなったのです。

企業はその為人員整理という経費節減策で対応してきましたが限界に近づいていたところ、今度のコロナ禍で消費者のニーズやライフスタイルは完全に変わってしまいました。コロナ禍が終われば元に戻ると言った方もいらっしゃいますが一過性で戻るだけで基本的には生活価値感は大きく変わり、ライフスタイルは千差万別へと分裂していきます。結果従来の製造業に携わる労働力や小売り業は不要となり、大量の失業者が発生するのです。

もはや時間の問題と言われるIT革命により生ずる失業者対策を政府や企業は何か考えているのでしょうか?残念ながら今の政治家や企業の経営層では無理な話でしょう。(前回参照)

2021年度の春の四半期は上場企業の1/4が最高益を獲得しました。それもほとんどがIT機器製造業です。IT機器関連を使用したコロナ関連商材や、他人と非接触の為の自家用車、家庭での閉じこもり消費に関連した商材の製造企業は軒並み黒字を計上しています。その為このまま経済界は何もせずとも経済が復活するとみているようですが、本当でしょうか?

マスク一つ国内生産できず、生活の基本商材のほ とんどを人件費が安いと思い込んでいる中国に工場を移したつけが今まさに回ってきている現実に目をつぶり、未だに中国に新規工場を造ろうとしている大企業は海外生産リスクをどう捉えているのでしょうか?安かろう悪かろうの中国製より、品質の確かな世界的に評価の高い日本製をなぜ造ろうとしないのでしょうか。従来の「中国は人件費が安い」からと思い込んでいるからに他ありません。

それよりIT技術に対応すべく人材育成に費用を掛ける時ではないのでしょうか?

コロナ禍で我が国のデジタル化は致命傷的に遅れていることが判明すると同時にデジタル化を邪魔する規制の多さに驚き、既得権益を守る勢力が如何に多いかも身につまされて知りました。上場する大企業に医師会、各業界の労働組合など既得権益の上にどっぷり漬かり変化にはなんでも反対であります。

政治も同様に国家100年の計を図る人材は居らず、野党に至っては「コロナより桜」と叫んでいたのはつい昨日のことです。どちらも世界の大きな変化を理解するどころか目を向けることさえしません。

世界ではどうでしょう。

アマゾンでは配送部門の70人をコンピュータープログラム関連の社内教育プロジェクトに参加させ、新しい知識とスキルを身に着けさせる取り組みを初め、約9か月の教育ののちに70名をソフト部門に異動させました。給与は旧来と比べ約2倍になるそうです。これは優秀な人材を外部から確保するのがコスト的にも能力的にも難しくなってきたことです。また、機械化推進によりいらなくなる要員を再教育による配置転換で首にする必要をなくすためです。

英国は「生産技能保証」制度を立ち上げました。機械に代替されてしまう食所の方をプログラマーやエンジニアに養成するため労働者の再教育資金として3800億円支出します。受講料は無料で、今から10年、50万人を目標に実施されます。米国は「米国雇用再教育」政策を打ち出し、製造業、環境分野に携わる人材を育成する無料プログラムに11兆円投入します。日本はどうでしょう。政府は勿論、現場で苦戦する企業の経営層に人材の配置転換の為の再教育を施すなどという発想は全く見当たりません。

これからは第5次、6次といった産業革命がすでに叫ばれています。第5次はビッグデータやAIによる最新バイオテクノロジーの融合によるスマートセルインダストリーが始まり、医療・工業・農業・エネルギー産業など様々な分野で活用できると期待されています。また人口問題・食糧問題・資源エネルギー問題・高齢化社会といった現在社会が直面する課題解決策になるうるとして期待されています。

更に第6次は衰退産業である第1次産業が第2次産業である加工、3次産業である流通・など生産者が直接行い、生産者が受け取る利益の向上や産業の活性化が期待されることです。これらは初めは緩やかでもあっという間に達成できる可能性を占めています。第4次産業革命の主役であるIOTやAI技術の進歩は今では予測不能なくら多岐多様に渡り、何にどの様に活用するか無限の可能性を占めているのです。

我々は否が応でもIT化の波に乗らなければなりません。それもサーフィンのように何度も何度も繰り返してやってくる波を乗りこなさなければならないのです。その為には今から準備し、直ぐにでも備えなければもはや間に合わないでしょう。

かつて上海の1年は日本の10年のスピードだ、とよく言われました。それくらい早いのだと。それは大きな間違いだったのです。上海時間こそ世界の標準で日本のスピードは世界の1/10だったという事を今こそ認識し、改革のスピードを官民挙げて邁進しなければ日本は2流国家から間違いなく3流国家、後進国へまっしぐらでしょう。

新しい時代の小売り業№3

サラリーマン化した、変化を嫌う社会   ( 続き)

今回のIT革命がもたらす意味と意義と可能性を理解し、自社に活用しようとした企業は大規模企業になればなるほど少ないような気がします。その最大の原因は日本の経営層に在ります。

IT技術の革命的進歩は単なる作業の効率化だけではなく、まさにSDGsを実現させる為の有力な手段そのものであり、働き方の改革による人々の幸せの追及や、地球環境への負荷削減、価値観の多様化への許容性拡大、など社会の在り方を大きく変える力を持っており、人々は「今まさに社会は変わらなくてはならない」と認識しています。LGBTQに対する意識やモノ寄りからコトよりなど人々の意識はコロナ禍前から少しづつ変わってきていました。しかし、既存企業の経営層は残念ながら変わってきているとは言えないのが現状です。

今迄我が国は経済一流、政治は三流と言われてきました。世界第二の経済大国へ成長し、日本の生産品は世界を席巻していたからです。それに比べ政治は腐敗しきった与党に無能な野党が万年青年のごとく青臭いカビの生えた教条主義とわいろで成り立っていたからです。現在我が国の製品で世界を席巻しているものは漫画とゲームしかありません。それすら中国や新興国のユニコーン企業には直ぐにも抜かれそうです。

日本の成長はひとえに国民の勤勉性や有能な官僚組織に支えられてきたものです。しかし今回のIT革命の進捗スピードはそれらの能力を遥に超えているのです。従来の延長線上の改革レベルでは到底世界の変化スピードに付いてゆけず、新しい技術を開発・運用するにはあまりにも過去の栄光に縋った前年踏襲主義で、所謂サラリーマン化した社会では到底改革スピードは周回遅れ以上の差が世界とできてしまっているのです。

日本の経営層がIT革命の本質を理解していないのは戦後の完全なガラパゴス的進化を是とし、今更革命的変化などに興味を持たず前年踏襲主義が最良とばかりに官僚はもちろん経済界全体を席巻しているからです。国境や時間の概念を根本から変えてしまったITの無限の可能性に気付けば今日のような対応で満足しているはずが在りません。

口先だけのDXではなく、急速に変化したマーケット状況や消費者ニーズ、ITを活用した全く新しい物流体制に生産技術、従来のマス対応ではなく完全な個対応の時代に自社がどうするべきか経営層が勉強すべきなのです。しかし経営層は未知のノウハウや今迄の経験が生かせないことに対しては否定から入ります。新技術をシステム部が提案してもITの何たるかすら理解していない経営層は、会議で「娘に聞いたが君が言っていることは未来はそうなるということで現在では無い」などと平気で言うのです。そして部下の意見を封じることで自身の存在意義が示されたと悦に入るのです。

まず経営層は日本型の年功序列型社会の総合職として経験を積んだだけで、専門分野を持たず、英語も喋れず、ましてや近年経営層で一番重要な要素と言われている「規範的判断力」不足に陥っている人が大部分であります。長年米国経済界が提唱した「企業は株主の為に存在する」という悪しき資本主義の「金儲け」しか見えない=「株主資本主義」の奴隷でしかないのです。

その米国経済界が株主資本主義からの決別を宣言し、「ステークホルダー資本主義」=従業員や地域社会などの利益を尊重した事業運営主義に取り組むと高らかに新時代の消費者のニーズを読んだ声明を日本の財界は全く無視したのでした。結果、世界は大きく環境問題を初めとするSDGsへ大きく舵をきったにも関わらず、我が国の経済界は口先だけのSDGsやDXを、その中身が何かも理解していないにもかかわらず騒いでいるのが現実です。

独逸では経営層の45%が、米国では62%が専門分野での博士号やMBAを取得しており、世界に目を向け日々自社の自社の存在意義と使命を考えています。日本ではたった6%しか専門領域に知識をもった経営層は存在していません。「お客様第一主義」を掲げる企業は多いですがほとんどが嘘です。どうやって顧客満足を得るかなど真剣に健闘している企業を私は知りません。

全ての日本衰退原因は企業の問題意識と情報収集の意識の差に表れているのです。それは企業のトップ達が如何に時代の変化を読めていないかによります。60代、70代が企業を引っ張っていける時代では無いのです。明治維新は20代、30代の若者達が時代を敏感に感じ取り、大局的に国の在り方を考えた結果成しえたものです。今回の技術革新はまさに令和維新と言えるレベルの変革を行わなければ生き残れないのです。その認識が果たしてどれだけの人々が持っているでしょうか。

今日、大手企業は急速に業績を回復し未曽有の利益を生んでいます。経団連としては何にもしなくても良かった、と胸をなで下ろしていることでしょう。しかし、パンデミックによる世界的規模の経済破綻が今後無いとは言えません。パンデミック以外でもIT機器普及による世界的規模でのハッキングテロやサイバーテロが世界経済にダメージを与える可能性は大きいものが在ります。それ以上に第3次世界大戦はサイバー戦争で、ロシアや北朝鮮はすでに実戦状態に入っていると言えます。自社のネット防衛は十分ですか?もはや企業のトップは他人任せにしては自社を守ることはできません。

新しい時代の小売り業№2

二つ目の弱点は、既存の各種行政組織や上場企業が時代の大きな変化を読めず、かつ自分達の既得権を守るために変化を嫌い、業界毎や地域毎に多数の「規制」を敷き新しいことに前向きに取り組まない、社長から新入社員までサラリーマン化していることです。

ITの技術革新は第4次産業革命として社会を根幹から変える力を持っています。独逸が「インダストリー4.0」としてIOT普及を国家プロジェクトとして2011年に発表されたのが始まりでした。この10年で産業界のコンピューター化による効率生産化、品質の安定化や向上、改善も大幅に進化しました。社会は生活の利便性だけでなく生活様式を一変させ、新規に登場する企業と時代に対応できず消えていく企業が明確化しました。

これからは更にビッグデータやAIによる最新バイオテクノロジーの融合により、医療・工業・農業・エネルギー産業など様々な分野で活用できると期待されています。また人口問題・食糧問題・資源エネルギー問題・高齢化社会といった現在社会が直面する課題解決策になるうるとして期待されています。

このテクノロジーの最大の効果は、地球環境を保全し貧しい隣人を恒常的に援助し自立することを促し、人々が皆安全に楽しく暮らせる社会を皆で創っていこうという気運を技術面で協力に後押しすることができるという点です。これからの社会のキーワードである脱炭素化やSGDsはこれらのIT技術無くしては成しえないことなのです。SDGsを企業の旗印に掲げるには今あるITテクノロジーを十分理解して、自社にどの様に活用できるか考えなければなりません。それがまず第一歩なのです。

しかし、技術は進化してもそれを使う人間が変化に付いていけなければ全く意味が在りません。今回のコロナ禍では三密を避ける為にリモートが初めて導入されましたが、一部上場企業の日本を代表する大企業の社長が「リモートは効率を下げる」として廃止し、全社員出社に戻したそうです。そこにはSGDsの意味を全く理解していない経営者の姿が見えてきます。

単にコロナ禍中での生産性維持を従来通りのやり方で維持しようとすることは、戦前の日本の精神論そのものです。満員電車で通勤させ、万が一にも職場にコロナウィルスを持ち込みクラスターが発生した時のリスクを考えなかったのでしょうか?それより災い転じて福となすとばかりリモートを積極的に取り入れ、将来の働き方改革をテストし、本社ビル維持費や通勤費更には業務の新しい評価制度導入や新しい個人予算の組み方の研究などに繋げようとは思わなかったのでしょうか?

医師会は自粛を強制しながらこの2年間、緊急時の医療体制構築を怠ってきました。既存の病院施設に責任の全てを押し付け、「残りのベッド数がどうのこうの」しか言いません。一般診療が崩壊すると脅しておきながら、リモート初診は医師の収入減になるからと頑なに反対しています。薬剤師や歯科医師による接種に対しても、医師の問診が不可欠故見た目ない方針を出し、同時大規模接種を妨害しました。また、看護師免許を持ちながら家庭に埋もれている方々を再度臨時的に再雇用する制度を立ち上げ、人手の足らない病院や大規模接種会場に派遣するなどの対策は考慮しなかったのでしょうか?これも臨時収入より所得税が上回るからと実施されませんでした。

大量の外国人をオリンピックで見込んでいたタクシー業界は、人の代わりに荷物を運ぼうと希望したら運送業界の規制の前に敢無く計画は頓挫しました。結局は運送業界保護の為の各種「規制」の壁が立ちはだかったのです。在宅が増えた結果、宅配業務が大幅に増え、人手が足らず配送が大幅に遅れているにも拘らず、既得権益団体は大きく改革の前に立ちふさがったのです。

また経営者団体である経団連は今回のコロナ禍に企業としてどう政府に協力するのか、あるいは独自の対策をだすのか、そのどちらもしませんでした。リモートするのに端末が無い、或いは安全性に問題がある、などの場合に緊急対策として産業界全体での対応策を提案すらしていないのです。人流を避ける為に各社のリモート率発表や在宅勤務率などを毎週発表することさえしません。中小・零細企業は実際出社しなければ業種は沢山あります。しかし大手は交代出社でも十分企業として回っていった筈です。零細企業にも補助金支給以外に共同で使えるクラウド提供を行うとか、共有ソフトを提供するとか、何かできたはずなのですが、やはり業界TOPがITに対する知識や認識が無ければどうしようもないのです。

またリモートは家庭環境でのPCでは秘密保持上問題があるという意見が多数ありました。今迄その問題が放置されていたのは家庭での業務遂行が想定外だっただけではありません。自社のネットワークの安全対策が不十分だという認識が企業上層部に無かったからです。何処でも、何時でも、誰からでもアクセスでき、自由にデータや情報を取れるメリットと、秘密データや情報を全く外部から取りこめてしまう危険性を真剣に検討してこなかったつけが回ってきたとも言えるでしょう。これも企業のシステム担当がシステム担当役員に説明しても理解されないからだと、かつて言っていたことを思い出します。

新しい時代の小売り業№1

コロナ禍により判明した日本社会の弱点が3つあります。

一つ目はデジタル化の世界的流れから全く取り残されていたこと。二つ目は政治家を初め上場企業のトップが時代の流れを読めず変化を嫌い前年実績主義を重んじるサラリーマン国家に成り下がり果てていたこと。三つ目は世界一の製造業国家というのは幻影であったことの三つです。

一つ目のデジタル化社会への社会構造の変換は順調かつ速やかに行われているものと一般庶民は思っていた筈です。今やどの家庭にもPCは存在し、スマートフォンの普及率は9割を超えているからです。完全なる生活必需品であり、無くてはならない存在だからです。旧来のTVよりNet配信を、地図よりgooglマップを、shopping行くよりAmazonのほうが便利でお買い得、というように生活のいたる所でIT化が入り込んでいるからです。

しかしそこには大きな落とし穴が在りました。それは行政です。

民間はとっくにIT化にどっぷり漬かっていましたが、行政はそうではなかったのです。予算の壁?いやそうではありません。縦割り行政の悪弊が大きく表れた結果です。各省庁のデジタル化推進を横断して調整・進捗させる部署が無いため、各省庁、各組織、各機関、各部門、毎に勝手な機器導入やソフト開発を行ったために各機関が連携を取り速やかに今回のような危機対処が取れないのです。

データ化された名簿をメールで送信しても、それをプリントアウトして各担当に配布するなどといった行為は日常茶飯事に行われ、そもそも全ての資料がデータ化されていない為、全ての作業が手作業で行われる羽目になったのです。結果、ワクチンの適正配布計画もできず、飲食や物販、観光業など休業させるだけさせておいて、補助金などは半年近い遅れでの支給といった状況です。

選挙目当ての小池都知事などは毎日TVに出演し自粛要請ばかりバカの一つ覚えで言いますが、それと対に報告されるべき補助金については一言も発言しません。補助金配布作業は一から申請に対して手作業で行っており、実際に補助金が下りるまで早くて三か月、遅いところは六か月などというところもあります。補助金なしに営業中止を求める事は零細・中小企業にとり死ねという事と同義語なのです。やるべきことをやらず国民に我慢を強いるだけの無能な政治家や官僚はいりません。

また大衆受けを狙った一部政党の一律同額補助金配布は三ちゃん商業には利益をもたらし、従業員を一人でも抱えた企業はもはや青息吐息の状態が続いています。これもきちんと行政が企業内容や情報を把握していれば、例えば納税金額に応じて補償金を出すとか、社員数に応じて出すとかできたはずです。

これも正規社員を少なくして非正規社員を増やし賃金効率を上げようとする経営者の厭らしさが垣間見れます。同時に既存利益を守ろうとする労働組合が非正規社員や実習生の受け入れを拒否し、あらゆる規制を敷いているという側面もあり、これは第二の項目で詳しく話したいと思います。

要するに行政は企業の個別データも、個人データもばらばらでしか所有せず、それも法律的に個人情報保護の下、無制限に野放しされており、今回のような非常事態に対欧ができないでいたのです。個人の自由を貴ぶ米国でさえ社会保障番号で、他国は身分証明書で個人を管理しています。わが国だけができていないのが現実です。政府がかつて推進しようとした「マイ№制度」は野党やマスゴミの「人権侵害だ」という公共性を無視した独特の自己論理の前に頓挫し、結果、今回のような事態には全くその機能を発揮することができませんでした。

その根本問題はIT時代に個人情報をどう扱うか、「誰が、どこの範囲まで利用可能か」といった基本問題の検討が成されずただ作業にPCを導入しさえすればデジタル化という認識しか無い政治家や行政の責任であります。個人情報保護と公共性の保護という最大の課題は、デジタル化社会対応の為に如何に効率よくデータを収集し、クラウドで連結し、検索しやすくするかという機能とルールの確立と、個人データの保護をどこの機関がどこまでどの様に規制するかという事を透明性を持った法律に明確化することです。特に行政では組織を横断した基本法の策定が望まれます。

世界の国々では政府が率先してこの新時代の革命的技術をどう使うか、そのためのルールをどう創るか、という大きな視点で研究しています。世界が時間と空間の壁が取り払われたので国家の管理という今迄の概念では企業や個人を把握することができなくなるからです。特に税金という国家収入面で大きな影響が在るからです。GAFAをはじめ国家をしのぐ力を持ち、何処の国に所属しているか不明な巨大企業が出現し始めたからです。

それはこれらの大企業の資金源が世界中の人々の行動データであることから、一国家が当該企業の経済活動を規制できなくなっているからです。そのため、個人データをどの様に管理し、どの様に利用させるかが国家の大きな関心毎になっているのです。中共のように国家が企業が集めたデータを全て把握できるよう法律を制定する動きも出始めています。こうなるともはや経済活動を超え、思想統制する可能となる国家統制が可能となってきます。

だからこそ、個人データはどう扱われるべきか、腫れ物を触るように伸長に、だけれど早急に法的整備を図る必要が在るのです。もはやPCを導入すればデジタル化などというレベルでは世界から取り残されるどころか、巨大企業に食い物にされることは目に見えているのです。

コロナ禍からの復興2021№19

先進国の中で日本の労働賃金は低いと言われてきました。狭い国土で一つの仕事を皆で分け合うために低賃金が定着したのです。問屋制度はその代表例で、生産者から消費者に直接商品を流せばよいのに敢えて中間に位置し搾取する業態は日本ならではのものです。総合商社などはその究極の形かもしれません。同じようにメーカーに場所貸しで利益を取っている百貨店は世界中から無くなり、残っているのは日本と米国の一部くらいになってしまいました。

ネット販売拡大が生産者と消費者の直接売買を可能とする時代となり、これからもっと隆盛になることは間違いありません。何処でも何時でも買える商材はいちいち中間集積業者に頼らずとも消費者は直接商品を選び購入できるのです。消費者の生活様式は大きく変わるはずです。そして直接商品を配送する為にドローンやウーバーを初めとする新規配送形態の業種が更に伸びていくでしょう。

しかし生活が一変する可能性を占めた新しい技術と、その技術を活用して企業中心だった今迄の働き方を改革するDXを企業が真剣に取り組む為には最大の弊害になるのが既得権益を守るために造られた各種「規制」です。デジタル化の最大の障害はこの「規制」です。この規制は利益追求のためには消費者も社員も利益確保のために存在するという間違った資本主義を信奉する経営者や、利権で楽して利益を追求する一部の既得権者ががっちり守っているのです。

現在、タクシーは物だけを運ぶ事は規制されできません。(コロナ禍下では期間限定の例外規定で許可)      ネット販売が自家需で増加し配送業種は人で不足で汲々なのにタクシーは乗車客がおらず乗務員は無駄に休まされており、企業は政府から補償金を血税から取っているのが現状です。モノを運べれば多少でも利益になるにもかかわらず、ウィンウィンなのに規制の壁がそれを妨げています。

ドローンも国内で飛ばせる場所が規制の壁でほとんど無く、やむなく中国に会社を移すユニコーン企業もあります。自動運転技術も実験する許可が国内では下りず、中国などに大きく後れを取る原因になっています。また、PCで遠隔医療を行えれば過疎地や移動手段が少ない地方に取り大きなメリットになるのですが、初診は医者と対面診療でなければならないという既得権者保護のための規制の壁があります。

このようにDXを推進しようとすると、実に数多くの「規制」でほとんど実行できないことに気が付くでしょう。日本の経営層は低賃金で社員をこき使うことばかり考えず、真剣に社員や非正規雇用の方々の幸せを考え、積極的に政府に規制解除を求める事が不可欠です。既得権を持つ組織は速やかに改変・解散し、新時代の組織に生まれ変わらせなければ日本は生き残ることはできないでしょう。

癌は古い体質の老害経営層とサラリーマン化した官僚組織です。昨今、官邸主導で規制を撤廃する動きがあることは非常に重要な良いことです。官僚や既得権益組織の抵抗が想像されますが、是非ここは徹底して排除し、新しいデジタル社会を早急に構築できるよう頑張ってもらいたいものです。そして役員は30歳でも良いではありませんか。

明治維新は20歳代、30歳代の若者が中心いなって成し遂げた偉業です。400年続いた侍の時代崩壊を誰が想像したことでしょう。今こそ社会を新技術によって変革する時です。令和維新断行は今です。

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