コロナ禍後の世界 №4

最近、面白い記事を読みました。

「IT化が進捗すると工場のロボット化が進み、人々は職を失うという従来の説は間違っているのではないか」

というものです。実際、IT化を進捗させロボット化を推進してきた企業の業績が上がり、結果業容拡大のため人員を増加させたという調査結果があるそうです。

コロナ下でも利益を増やした企業は軒並み人員増だったそうです(2022.01.26日経新聞)。思わず耳を疑う説でしたが、読み進めるうちに「そうかも」と思い始めました。

私たちは工場での生産ロボット化と一般事務の効率化を、ともすると同じ基準で論じてきました。

日本の大手企業は勿論のこと、中小企業でも効率化のための技術開発=ロボット化はかなりのレベルで進んでいるのです。大量生産の手段としてのロボット化から、人手よりもより正確でロスの無い生産体制としてロボット化は世界水準より上だといえるでしょう。

その他にも現在手仕事で作業されている業種も沢山ありますが、機械化=ロボット化を導入すれば効率化が間違いなく図れるものは数多くあるはずです。

スーパーやコンビニなどのレジは間違いなく機械化されるでしょうし、薬品検査などの手作業も効率良くなるはずです。衣料の縫製もいずれ全自動化は可能でしょう。

しかし、手作業で仕事を進めている企業の多くは零細・中小企業でロボット化の設備投資にはなかなか難しいものがあるのも事実です。

農家などでは農耕器具のロボット化やロボット管理の全天候型ハウスがもっと普及すれば生産性は飛躍的に伸びることは間違いありませんが、初期投資が大きく、後継者問題や生産量と価格のバランスなど様々な問題があり、なかなか進捗しないのです。

町工場では機械を導入しても、その機会をメンテする人材不足や機会を動かす労働力不足が通年化しており、やはり新型機械の導入がためらわれているのが現実です。

しかし、ロボット導入化で他社では真似のできない製品や、精度が安定して高い商品を生み出せる企業では業績はどんな時でも右肩上がりなのです。

このように導入までは数々の問題が存在し、簡単にロボット化というのは一部の大企業でしか無理と思われています。しかし、現在曲がりなりにも機械化=ロボット化が進んでいる業種は、①足らない労働力を補う②効率化による生産性向上を目的に確実に改革を進めているのです。故に、ロボット化で効率良く生産性が向上すれば、企業の利益は確実に増え、結果企業は業容拡大に走るというのは十分理解できます。

その為に政府がロボット導入支援基金などを創設し、積極的にロボット化を国策として推進すれば、日本の製造業は世界を相手にまだ十分対抗できる製品力と価格を持つことができると思われます。

そうしてみると日本の企業で一番生産性が低く、ロボット導入化が遅れているのは後方部門や営業部門として、人が中心に活動する部署だと気付きます。

我が国のどの企業も働かない40~50代を多く抱え、働き世代の30代の足を引っ張っています。

高度成長期のように、企業が必ず毎年拡大していく時期ならば必ず昇級でき、仕事もどんどん上級に自然となっていきましたが、安定成長期に入った現在では、自分で新しい仕事を積極的に見つけ、自ら学習して新しい技術やノウハウを培っていくという人材以外は取り残され、企業のお荷物になるのは必然といえるでしょう。

彼らは革新的なことをやって失敗することを極端に恐れ、今まで通りに業務を進めることがベストと考える結果、新しいチャレンジはことごとくこの中間管理職レベルで潰され、従来通りの、効率化より慣れた手仕事を好むのです。

この状況下では会社と組合が一体となり、くだらない労使協定などを結んで安穏としている余裕などあるはずがありません。

IT時代の意味と意義、可能性と新しい使い方やビジネス化の種が山ほど埋もれているにもかかわらず、始めから拒否反応を起こし、若い世代にどんどん仕事を奪われ、企業内で居場所がなくなっているのです。

今こそ、PCを使いこなすための教育や、ITの基礎理論や新技術教育を行い、無駄な人員を有効活用させる為の行動を起こすべき時なのです。

どんな企業でも無駄に遊ばせておく余裕はないのです。特にIT業界は新しいソフトや技術が日進日歩で進むので、基礎から応用まで専門知識が求められます。再教育を拒んだり、成績が悪い人材はそれなりの部署に降下させるのもしょうがないことです。とても高級を払い続けることはできないからです。

故に、企業から所謂中間管理職を除き、手作業を機械化すれば今までの人員の1/3以下で業務は支障なく遂行るのではないでしょうか。また、減点制度ではなく加点主義で企業を運営したら、生産性は間違いなく上がるのではないでしょうか。

企業はよく「減点主義でなく加点主義」だといいますがPDCAを見ても加点主義で運営されてる企業は殆どないのが日本の現状ではないでしょうか。それは、やはり中間管理職がきちんと部下の仕事を見ておらず、自身の職務を全うしてないからに他ありません。

上から指示が出ると企業は人員削減を行いますが、あくまで数字合わせで人員を削るのではなく移動させるだけで、会社全体でみると人員削減はできていないのです。それどころか却って人員削減された部署は契約社員や派遣社員などを入れ、結果増員になっているケースは数多く見受けられる実情です。

リモートワークが増えると困るのはまさにこの中間管理職層です。リモートに反対するのは決まってこの層で「管理ができない」という言い訳を言います

「目の前に座っているだけで仕事をしていると安心し、目の前に居ないとさぼっているに違いない」と考えるのでしょう。その為、仕事の仕方も従来のやり方ではなく成果型でないと管理などできるはずが無いのです。

今までのように昼間はパソコンで遊んでいて、終業間際になると「さあ、残業だあ」と張り切る自分の姿を投影しているからに他なりません。明確に仕事を与えられないのは上司の責任範囲なのです。

IT化はいろいろな問題を私たちに投げかけてきます。今までのやり方、考え方といったものは当然、仕事自体の組み上げ方、終了期限の設定、評価項目の設定など従来にない項目を検討・設定していかねばなりません。今までのようなやってもやらなくても変わらないような仕事内容や進め方は、無くさなければなりません。これは日本型経営を根底から考え直す良い機会だと捉えるべきです。

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