コロナ禍の後に(物販業界)№3-5

二つ目の消費動向は徹底した「こだわり消費」という点です。

消費者がネットで買う商品は「実用品」が中心で、自分の趣味としての「きちんとしたもの」はなかなかネットでは買いません。ネットで探しはしますが自分の目で見て実際に触ってから購入するのです。またこのような商品はネットで簡単に販売されておらず、販売店まで出かけていかないと手には入りにくいのです。

消費者は自分のこだわりに合った商品を、路地裏でも、地方でも、徹底して探し、買いに行くのです。その商品は価格は二の次で、自分の価値観にあえば躊躇なく購入します。このように消費者が実用品以外の消費をするときは「わざわざ、探し、買いに行く」ということが基本になります。そして商品自体もそうですが、わざわざ探しに行くこと自体が楽しいのです。

しかも商品は「デッドストック」や「ヴィンテージ」「限定品」「先行販売品」などで大量にあるものでは無く、カフェのメニューもそこでしか飲めない、食べれないものが中心になり、それゆえ、商品の良し悪しを見分ける目が消費者側に求められます。その基準は消費者自身の「こだわり」になるのです。

千駄ヶ谷の白Tシャツのみを売るFFFFFFTなどはその好例です。千駄ヶ谷の路地裏に土日しかオープンせず、しかも売っているのは真っ白い無地のTシャツだけというその店は、土日になると開店前からファンが作る行列で通行ができないくらい込み合うそうで、入店まで2時間~3時間待ちは当たり前だそうです。ネット販売は一切せず、来店顧客しか買えないのです。(先日オープンしたミヤシタテラスにオープンしましたが、空いていました)

これはカフェなどにも当てはまります。喉が渇いてコーヒーが飲みたいだけならスタバで十分ですが、ゆっくり本を見ながらお茶を楽しみたいというなら、わざわざ下町の入谷+カフェ南青山のシェアグリーンまで行くのです。入谷+カフェでは注文も取りに来ず、自分でサーバーから水を取り、自分でカウンターに注文にいき、自分で出来上がりを取りに行きますが、何時間居ようが、何を持ち込もうがまったく自由でゆったりできます。

形式はスタバと似ていますが店舗の手作り感やスタッフが考えた本日のメニューなど、採算度外視の趣味的に始めたお店が今や大人気で近所のおばちゃんから青山から毎週通ってくるアートクリエーターまで多種多彩の顧客が集い、何故か落ち着くのです。

このようなこだわりを追求すると、自分だけのモノを創ることも人気になっています。ある程度の年齢層からはかつてのように高価格帯でなくても手が届く範囲での「オーダー」が復活しています。それは三密を避けてサービス接客を受けられるという点と、自分のこだわりを満足させられるという点からです。結構若い層でも手の届く価格帯でスーツが一部の層に受けています。既製服と変わらない5万前後でオーダーが作れることは画期的でしょう。

オーダーといえばかつては紳士のスーツやワイシャツでしたが、近年、スニーカーや女性用のバッグ、更には化粧品まで登場する予定です。コーセー化粧品は個人の肌に適したオーダー化粧品を創るべくスーパーコンピューターを駆使し、ビッグデータから遺伝子工学まで応用して生産体制を整えると言っています。

また、「応援消費」というのも消費者のこだわりの一つです。消費者の生活信条に地球や環境、更には人にやさしいというのがあります。ボランティアと同じ感覚で、コロナで販売先を失った生産者の商材を買うことで応援しようという消費が結構隠れて流行っています。食材に多い意識ですが、少なくなった伝統工芸を守る職人の商材や、地方の大手ではない生鮮商品などを積極的に買い求める行為が応援消費です。

これらの商材や自分のこだわりに合致した商材なら、消費者は時間もお金もかけてわざわざ買い求めに行くのです。そして自分の消費に満足するのです。どうでもよい実用品はネットで、自分のライフスタイルにかかわる商品はこだわってわざわざ買いに行く、これがこれからの2大消費傾向です。

コロナ禍の後に(物販業界)№3-4

コロナ禍後の消費動向は大きく2つあります。

コロナ禍の前から消費者は商品選定基準に「地球にやさしい」「環境にやさしい」などを選び始め、更には必要以上にモノを待たないため「断捨離」を始め、最後にはモノを持つこと自体を見直し必要な時に必要な分だけ使えればよいという「シェアー」という概念が生まれたのです。基本的には合理主義と環境問題を合わせた「新・ライフスタイル」のhttp://創造でした。

この流れを一挙に推し進めたのがコロナ禍です。在宅ワークや三密防止などのおかげで消費者は自宅に留まることが多くなり、結果、今までの生活全般を見直すことになったのです。家の中の不必要なものを整理したり、家族との時間を楽しんだり、主婦はパートタイム業務を家で行えるようになったり、会社一辺倒の生活を自宅での効率的業務スタイルに変えることになったのです。

スーツは不要になり、清潔なカジュアルスタイルが一般化し、外出は運動靴になったのです。今までネット販売に馴染みが薄かった主婦層もネットの便利さや機能性に一挙にはまりこみ、外出が自由になった今でもネットでの生活用品購入を楽しむ状になりました。モノを買う楽しみから探す楽しみを覚えたのです。

結果、一つ目の消費動向は「必要なものを買うためのネット利用から、探す楽しみのためのネット利用」が消費者の間に年代を問わず広まったことです。モノを買うために広まった検索機能は、あらゆる範囲にその範囲を広げ消費者に提供していることにあらゆる層の消費者が気が付いたのです。

今では台風予想からコロナの発生地、バーゲンの先行告知、すいてる病院の場所など、欲しい情報検索は無限に使われています。生活の中に完全に根を下したネット昨日はその膨大なメガデータを駆使した予測情報=これから何が流行るか、それは幾らで、何色で、どんなデザインで、値引き販売しているのは何処で、といった情報検索からモノを購入するようになることです。

現在ではなく近未来の予想は消費行動にどう影響するかは全く予測がつかない時代になるでしょう。なぜなら、100人いれば100人が欲しいものが違い、その違うものが買えるようになるからです。消費者は益々ネット検索を利用して自分の好みを探し、欲しいモノを手に入れるようになるでしょう。

コロナ禍の後に(物販業界)№3-3

百貨店のような大型店以外の路面店や専門店ビルでは大きな面積を確保することは現実なかなか難しいですが、大きな面積が取れない店舗では品揃えの中に「ここでしか買えない」商品を展開することがネット対抗上有効です。

ネットではどんな商品も買えますが店頭でしか売っていない商品はわざわざ消費者が探し出し買いに来なければなりません。店でしか買えない商品があれば、どんな裏町だろうが、路地の奥だろうが、古い建物だろうが、今の消費者は宝探しをするように店を探し出し買い来てくれるのです。一等地に店がある必要もなく、商業地でさえある必要もないのです。

いつでも、どこでも、どんなものでもネットで買える時代にはかえってネットで買えない物を探して買いに行くという行為は消費者の楽しみでもあるのです。

PBやオリジナル商品はかつて他店との差別化戦略として、または高利益商品として盛んに造られました。しかし、自社だけでの販売に拘ったので結局数が売れず在庫を残したため利益も得られず、いつの間にかお荷物化され消えていきました。

しかし、大量生産では無い少数量のPBは消費者の購買心理をくすぐるのです。誰もが持っている訳ではない限定品はいつの時代も消費者の欲しい物リストに入るのです。

コロナ禍の後に(物販業界)№3-2

リアル店舗が復活するためにはまずネットの利点を取り入れ、かつ店頭でしか得られないモノやサービスを提供することに尽きます。この観点からMDや店舗展開環境から見直す必要があると思います。

まずそのためにはファッションで言うとワンブランドをフルスペックで展開できるだけの店舗面積が必要になります。

現状日本の店舗は効率を追求するあまり15坪~30坪が標準サイズですが最低でもその5倍150坪は最低必要になってきます。

そうなると同一ビル内にブランドごとの店舗を複数展開するより一つの大きな店舗に集約したほうが顧客ニーズに対応しやすいことになります。

同一ブランドでなく複数ブランドを展開するのであれば、MDをしっかり組直しコーディネートできるようにするべきです。

最近は同じ会社内でも事業部・あるいはブランドが違うと同じ素材でデザインもほぼ同じ商品がブランド名と価格が違うだけで出てくるケースが多くなっています。

これでは自社で食い合うだけで在庫が増えるだけの結果となりがちです。もう一度自社ブランドのMD展開戦略を見直す必要があります。ただでさえブランドポジショニングが不明確になっており消費者は戸惑うことが多くなっています。

特に新規のブランドは目立たせようと身分不相応なショップを造りたがりますが、最初は良くても2~3年目にはブランドの独自性が失せ、他のブランド同様売れ筋ラインに走るのが現状です。

デザイナーの力がまだまだ未熟な部分と、採算を取るよう上層部からの圧力のせいでどうしてもオリジナリティ-が失われ他ブランドと似たり寄ったりになってしまうのは企業の体質と体制が悪いのです。

大型化ショップの中に新人&新ブランドコーナーとしてラック2本分を展開することから始めるのが妥当でしょう。きちんと自社の主力商品群、新人・新ブランドデビュー場所、定番商品群、季節アイテム群のようにショップ内が誰でも分かるようにVMDで括られれば、うるさい販売員がいなくても消費者は十分商品を見れて検討できると思います。

百貨店の場合特に上記の例が顕著でありますが、各ブランドごとの大きさ=品揃えでの地域一番店を占める必要があります。複数のブランド毎に20坪で展開すると5ブランドもあれば5×5=25人販売員は必要ですが、まとめて150坪になれば販売員は7人いれば十分です。

300坪前後でも9人~10人いれば効率的に運営できます。売上は下がるでしょうが、利益は人件費の分を引けば従来より確実に上がります。ショップの大型化はこのように人件費の削減化という要素も大きいのです。

店舗の大型化はZARAやH&Mが先行して展開していますが大きければ大きいほど効率は良いようです。ちなみにZARAの標準店舗は500坪だそうですが消費者は目的商品以外にも、「何か無いかな」と本来の買い物の楽しみ方を楽しんでいるようです。ちなみに販売効率を上げるため、接客要員はおらず、商品整理係が居るだけです。

コロナ禍の後に(物販業界)№3-1

店頭販売が振るいません。外出禁止による自粛・閉店影響は大きく、家庭内に留まる時間が増えたせいで家庭用品・食材は増加しましたが、それ以外は全体で5割以上へこんでいるのが現状です。

「良くて安い」代名詞だったファッションのZARAやユニクロでさえ店頭販売は振るわず、世界規模で閉店や倒産が始まっています。こんな状況下でネット販売が好調です。当然人々が自宅に籠っているのですから買い物はネットに頼らざるを得ませんが、今までネットに不慣れであった高年齢層も今回を機会にネットに慣れしたんだ人も多かったと思います。

「こんな状況だからネット販売が好調なのは当たり前」という声をよく聞きます。果たしてそうでしょうか?

ネット販売はコロナ禍前から好調にに推移しており、コロナ禍はその後押しになった位でしかないと思われます。若年層を中心に買い物はネットが当たり前の層は若干買い物が増えたかな、ぐらいの感じだと言われます。

それはコロナ禍後は収入の減少が想定されるので今まで以上に無駄なものは避け、必要な家の中のモノを買うぐらいだということなのでしょう。

一方あまりネット購入をしていなかった50歳代の主婦層がネット販売売上に寄与したということは十分想定されます。これまで若年層ほどは全面的にネットに依存したライフスタイルにはなってはいませんでしたが、家庭用品を始めとして外出できない憂さ晴らしをネットで購入することに嵌った主婦層は多いということは容易に想像できます。

この主婦層は、安い価格帯はネット購入で問題ありませんが、中・高級価格帯ではやはり店頭売り場で現物を見て触って素材や機能を十分調べて納得して購入するというスタイルは今後も続くと思われますが、どんな推移を示すのか今後データ分析が必要です。

ネット販売が急成長した理由に時間の制約や場所の制約なく商品が購入でき、基本的に商品を見て納得できなければ返品自由、価格も定価以外に複数存在し自分のニーズにあった価格で購入できる、といった点があります。買いたい物や新製品など検索機能で簡単に探せる事も時間を大切にする消費者に受けてきた点でもあります。

今回これらの利点の他に新しい機能が特に付け加わったということは無いのですが、在宅で時間がある程度使える環境下に消費者があったことを考えると、ゆっくり商品を探せたという点が大きく関与したのではないでしょうか。

フルアイテム・フルサイズ・フルカラーが揃っていて全部見れるということはリアル店舗店頭では不可能です。どうしても売れ筋商品を中心に展開し、効率を追求せざるを得ないのです。

そこには消費者が欲しいものと店側が売りたいものと差が出てしまい、結果消費者の支持を得られない事が多々あるのではないでしょうか。店頭販売を嫌う消費者の各種アンケートを見る限り、店が嫌な理由に「販売員が煩わしい」「品ぞろえが十分でない」「色・サイズが無い」というのが上位3位です。これを見る限り店頭が売れない理由に「品ぞろえ=フルライン・フルカラー・フルサイズ」が無い事が十分想定されます。

コロナ禍の後に(飲食業界) №2-4

第3の要素は、新しい売り方の拡大です。外食産業はコロナで三密を避けるために席を空ける事を余儀なくされましたが、席数を減らせば販売効率は大きく下げざるを得ません。売り上げ減をカヴァーするために弁当販売をする店舗も数多くあり、Take outはほとんどの店舗が始めました。しかしどの店舗でもこれらの方法だけでは下がった売上をカヴァーするまでには残念ながら至っていません。三密を避ける施策は新しいスタンダードとして避けて通れません。それゆえ、三密回避を前提に新しい売り方を開発せねばなりません。

ある店舗は昼の顧客集中を避けるために時間差価格を開発しました。通常12時から1時までに集中するランチ顧客を分散させるが離反させないための施策で、定価1000円のランチを午前11時から12時までは900円に、12時から1時までは1100円に1時から2時までは800円にしました。結果、従来は12時から1時までは満員でしたがそれ以外は閑散としたランチタイムが満遍なく11時から2時まで拡散して売上は従来より2割も上がったそうです。これは定価の概念を変え、三密を同時間内ではなく時間軸を広げて拡散したのす。                  またある店舗はサブスクリプションで、ランチセット1000円15食/月を12,000円で提供を導入したそうです。結果月の売上が事前に相当額確保でき、更にフリーの金額も入れれば通常月の売上をやはり超えられたそうです。このサブスクは曜日別に指定してあったのでランチ数をある程度読めるので用意する食材のロスを削減でき、売上確保もそうだが利益面で大きなメリットがあったそうです。居酒屋では夜の「ちょいと一杯」や「接待」需要が無くなる事を想定して昼飲みや昼間の定食屋を始め、家族連れや在宅者の需要喚起を図るところも出始めています。今までの常識であった一緒に働き、一緒にお昼を食べ、一緒に退社する、という考え方はきっぱり捨てて新常態を早く認知することが肝要です。

一方店舗販売を諦め、宅配専門に切り替えた店舗もあります。店舗は最低でも20坪前後掛かるため、5坪ほどの厨房のみの店舗に切り替えたのです。その代わりWeb上にタイ料理専門店、ベトナム専門店、中華専門店、カレー専門店を展開し、かなり特色の強いメニューを提供しています。売上が振るわない専門店は即Webから撤退し別の専門店を展開するのだそうです。こうすれば厨房のみで複数の店舗を展開でき、家賃コストも従業員コストも掛かりません。トレンドの料理が出ればすぐさまトレンド料理の専門店へ鞍替えでき、リスクも大して取らずに済みます。小規模資金で直ぐにでも開業できるのでスモールビジネスを目指す外食入門編としては最適でしょう。今後は同業者が数人集まって厨房も共同化する予定だそうで飲食の課題の一つである効率化も家賃面では大きく改善できる予定だそうです。

限定食数だけ販売し終えたら閉店してしまうことで話題になった牛肉丼の「伯食屋」は、その斬新な営業スタイルで話題を集眼4店舗まで拡大していましたが、コロナの影響で店舗の営業自粛後再開しても客足が戻らずこの度全店閉店となりました。その原因はやはり密な集客を基本とした、旧来からの営業モデルがベースにあったせいでどうしても集客がなければ成り立たない業態だったのです。100食を売り上げるには昼食時に集中して販売しなければならなかったからです。これは大きな教訓です。今まで集客が最大の課題でこれが達成できれば売上は自然とついてきたのです。しかし、有史以来小売りの原点である「集客」が禁止されたのですから私たちは集客しないで、顧客を分散させて売上を確保する売り方を模索しなくてはいけない時代に突入した事を肝に銘ずるべきなのです。

コロナ禍の後に(飲食業界) №2-3

コロナ禍で消費者の生活は一変しました。飲食に関することでは会社内での飲み会は減り、家族と一緒に食事する機会や時間は増えています。自宅で料理する人も増えますが簡単に冷凍食材や半調理品食材で済ませるのではなく、ひと手間かけてよりプロの味や一流レストランの味に近いものにして行くことが流行り、ネットのレシピソフトはその味と簡単さを売りに拡大していくでしょう。家族での食事は子供と一緒にお菓子を造ったり、夫婦でワインに合うメニューをトライしたり、楽しみながら家での食事を取るようになるでしょう。ここで重要なのは消費者のニーズの多様化が拡大していることです。消費者のライフスタイルは確実に変わっていきます。

食事のスタイルは日進日歩で進化するITのおかげで想像もつかないような進化を続けるでしょうが、外食・物販に関して今までと一番違う点は、従来のように「美味しい」「トレンド」といったキーワードの他に「ゆったり空間」「子連れ可」「清潔さ」などが加わることです。これはコロナ禍の影響が基本生活の中にまで浸透してきており、当分スタンダード化するでしょう。これらに加えてコロナ禍が始まる前から変わり始めたキーワードがあります。それは従来は昨今のライフスタイルにおける健康志向の高まりを受け、食に於いても「健康」と言うキーワードは外せないものになっています。自宅に居る時間が長くなり、料理時間が増えたことにより食材に対するニーズ、それも健康に対するニーズが高まっています。それは食材に対して「人工添加物は入っているか」「輸入品はどこの国からか」「保存剤は使っているか」「養殖か」「冷凍品か冷蔵品か」といった健康に関するニーズが強くなっていくのです。従来も賞味期限は必要以上に気にされてきましたがそれ以上に「身体に悪い」事に関しては消費者は敏感になっています。多少価格は高くなっても、「自然」「無添加」であれば容認する消費者は確実に増えており、今後コロナ禍の後は加速度的に増えていくと思われます。「安い」だけの消費者ニーズ獲得は減ることはあっても増えることはありません。世界的に見ても低所得層は大量生産され身体に良くないと分かっていても「安価」なものを求めざるを得ない事実がありますが、日本の場合大多数といわれる中間所得層は、少しづづではありますが、身体に悪い食べ物は遠ざけ始めています。特に女性はダイエットと関連して「食」に関して「健康志向」は大変強いものがあります。海外では四人に一人がベジタリアンや ビーガンと言われ、無農薬の有機野菜にこだわり、動物性由来や魚はは一切口にせず大豆を中心に徹底した菜食主義中心の健康志向です。日本ではまだまだオーガニックレストランは高いですが、海外では一般的でどんな場所にでも普通にあり結構リーズナブルに食べれます。日本でも確実に増えていくと思われます。これが第二の変化です。

コロナ禍の後に (飲食業界) №2ー2

ITが進むと消費はどう変わるでしょう?消費者が家庭で料理を作るとき主婦が一番悩むのが、①何を造るか②そのためには材料は何が必要か③美味しく造るためのプロのレシピは、の3点だそうです。現在では簡単にネット検索できてしまいますが、問題は①の何を造るか毎日考えるのは結構大変なので、何らかの形で提案してもらえると大変有難いそうです。スーパーへ行っても食材は売っていますが料理の提案までは為されていません。もしスーパーの入口に季節料理や定番料理の写真とバーコードが提示されており、バーコードを読み込めば料理方法から材料の販売場所まで提示されれば買い物時間を大幅に短縮すると同時に、無駄な買い物をしなくて済むようになります。スーパーはレシピを提供する会社と提携するか、自社で掲載するかして、消費者の囲い込みを図るようになります。

現在では実際2017年に成城石井が造った「グローサラント型」店舗ではスーパーとレストランの共存店で、レストランで使用する材料は同一店舗内の成城石井で販売されており、消費者がレストランで食べて美味しかったらメニュー裏のレシピを見て食材は置かれている場所の番号が記され、商品選びも簡単に出来ると言う代物です。こうなるといちいち何を造るか、材料は何か、造り方はどうするなどの課題がいっぺんで解消されてしまい、消費者の頭を悩ますことは無くなります。昼間の間にレシピを見て食べたい料理を指定しておけば、会社帰りに予め揃っている材料セットをピックアップするだけですんでしまいます。このようなIT化がもっと進むと、外食して美味しかった料理を写真に撮りその写真の中身を分析するソフトで、材料と造り方を分析するものが出てくるでしょう。そうすれば美味しかった料理を家庭で再現できるのです。わざわざ一流レストランへ出向かなくても美味しい食事が簡単に造れるようになるでしょう。

また、食品物販では値札の①付ける②時間で書き換える作業が一大作業ですが、ITを使えばいとも簡単に作業ができます。デジタル値札です。現段階では棚用が中心ですが、投入商品の売上がデジタルで記録され、売上時間、在庫状況など一瞬にて分かります。生鮮では夕方売れ残りを無くすため価格変更を手書きで行っていますが、本文パソコン一台で全店の、あるいは一部店舗の値札を簡単に変更でき、売れ残り予防に大いに役立つと言われています。値替えは一日何度でも、値下げだけでなく値上げさえ出来てしまうのです。食材ロスを無くす意味でも急速に普及するでしょう。

飲食業界はIT化と無縁と言う方が多かったですが、今こそデジタル時代の申し子となり、その恩恵を最大限受けるべきです。

コロナ禍の後に (飲食業界) №2ー1

飲食業界はコロナ禍により想像だにしなかった①インバウンド客の消滅②混雑緩和策(3密排除)の強制③非常事態宣言による営業自粛により一般店舗は壊滅的打撃を受けました。宅配や弁当販売などの苦肉の策を採った企業も数多くありますが、利益の補填とまではいかないのが現実のようです。非常事態宣言は終焉しましたが未だコロナ禍が終焉した訳でなく、第2次感染拡大の恐れもあり通常の生活が完全に戻るにはまだかなりの時間がかかりそうというのが大方の見方だと思われます。さらにはコロナ禍が終焉した後も前のような生活が戻るかどうかは大きな疑問が残ります。何故ならコロナ前もそうであったように消費者のマインドがどんどん変化し続けており、生活のキーワードは「漫然たる消費」には向かっていないからです。

これから飲食業は物販も含めどうしたらよいのでしょうか?まず第一にITの導入による非接触型の店内営業化は不可欠です。人やグループが従来のように密接に会わないように仕切りを付けたり、個室化したりすることや、メニュー紹介および会計の電子化は避けられず、人と人が向き合うテーブルは廃止されるでしょう。そうなると入店客数は極端に制限され、従来の利益確保は難しくなります。下手をすると大規模な店内改装が必要になるかもし得ません。ロボット化も視野に入れておくべきです。物販も同様です。試食販売は対面接客しない方法を考慮しないと百貨店やスーパーでは許可にならないでしょう。初めからパックされた容器開発も必要です。今まではシズル感を出すために目の前でよそったり量ったりしていましたが、分量が分かるサンプルの用意は必須になるでしょう。売上を取るためには、①回転率を上げ客数を増やす②客単価を上げるの2方法があります。利益を取るためには①メニュー改定をして低コスト化を図る②素材ロスを無くすため共通素材のメニュー開発する③人件費の削減があります。従来ならこれらを検討して対応すれば売上も利益も十分回復したでしょう。しかし今回は残念ながらそうはなりません。何故なら先ほど述べたようにコロナ禍前のような生活には消費者は戻らないからなのです。消費者の関心は明確に変化しつつあるからです。

コロナ禍の後に №1

コロナ禍は日本人のライフスタイルに大きな影響を及ぼし、日本の社会基盤の脆弱性を露わにしました。安易な生産拠点の海外化や緊急医療体制の不十分さなどに伴う社会安全保障認識の欠如、ネット購入や宅配の急増による配送網のパンク、学校の休校により発生する広範囲での負担、事前準備もなく行われた在宅勤務やTV会議による生産性の低化、国家や自治体が本来持つべき非常時対応の法的未整備、など戦後70数年築いてきた日本型社会の制度疲労・時代不適合・欠陥が明確になったのです。特に日本は先進技術立国と思い込んでいましたが、欧米どころか東南アジアや中国と比べもIT化の遅れは決定的で、このままでは世界での競争力はおろか国内産業の基盤さえ守れなくなることは必定です。政府の施策は二転三転し、経団連は何もせず、非常時には一枚岩と思われていた日本株式会社は機能せず、かろうじて民度の高さで乗り越えつつありますが、世界的規模の災害の前では個々の企業ができる範囲は極めて限られ、上手く機能することは少ないのです。コロナ禍が完全に収束するまでに今のままでは多くの産業や企業が倒産に追い込まれることは必須であります。政府としても今後抜本的なDX化(デジタルトランスフォーメーション)を推進するでしょうが、官僚のみならず日本企業全体が古い体質化にある現状ではその進捗は遅々として進まないことは想像に難くありません。我々は自身の手で自分を守らなくてはなりません。では私たちはまず何をすべきなのでしょう?次回からこれからの「飲食」、「物販」、「コト寄り」、に分けて考えていきましょう。

 

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