コロナ禍の後に(物販業界)№3-1
店頭販売が振るいません。外出禁止による自粛・閉店影響は大きく、家庭内に留まる時間が増えたせいで家庭用品・食材は増加しましたが、それ以外は全体で5割以上へこんでいるのが現状です。
「良くて安い」代名詞だったファッションのZARAやユニクロでさえ店頭販売は振るわず、世界規模で閉店や倒産が始まっています。こんな状況下でネット販売が好調です。当然人々が自宅に籠っているのですから買い物はネットに頼らざるを得ませんが、今までネットに不慣れであった高年齢層も今回を機会にネットに慣れしたんだ人も多かったと思います。
「こんな状況だからネット販売が好調なのは当たり前」という声をよく聞きます。果たしてそうでしょうか?
ネット販売はコロナ禍前から好調にに推移しており、コロナ禍はその後押しになった位でしかないと思われます。若年層を中心に買い物はネットが当たり前の層は若干買い物が増えたかな、ぐらいの感じだと言われます。
それはコロナ禍後は収入の減少が想定されるので今まで以上に無駄なものは避け、必要な家の中のモノを買うぐらいだということなのでしょう。
一方あまりネット購入をしていなかった50歳代の主婦層がネット販売売上に寄与したということは十分想定されます。これまで若年層ほどは全面的にネットに依存したライフスタイルにはなってはいませんでしたが、家庭用品を始めとして外出できない憂さ晴らしをネットで購入することに嵌った主婦層は多いということは容易に想像できます。
この主婦層は、安い価格帯はネット購入で問題ありませんが、中・高級価格帯ではやはり店頭売り場で現物を見て触って素材や機能を十分調べて納得して購入するというスタイルは今後も続くと思われますが、どんな推移を示すのか今後データ分析が必要です。
ネット販売が急成長した理由に時間の制約や場所の制約なく商品が購入でき、基本的に商品を見て納得できなければ返品自由、価格も定価以外に複数存在し自分のニーズにあった価格で購入できる、といった点があります。買いたい物や新製品など検索機能で簡単に探せる事も時間を大切にする消費者に受けてきた点でもあります。
今回これらの利点の他に新しい機能が特に付け加わったということは無いのですが、在宅で時間がある程度使える環境下に消費者があったことを考えると、ゆっくり商品を探せたという点が大きく関与したのではないでしょうか。
フルアイテム・フルサイズ・フルカラーが揃っていて全部見れるということはリアル店舗店頭では不可能です。どうしても売れ筋商品を中心に展開し、効率を追求せざるを得ないのです。
そこには消費者が欲しいものと店側が売りたいものと差が出てしまい、結果消費者の支持を得られない事が多々あるのではないでしょうか。店頭販売を嫌う消費者の各種アンケートを見る限り、店が嫌な理由に「販売員が煩わしい」「品ぞろえが十分でない」「色・サイズが無い」というのが上位3位です。これを見る限り店頭が売れない理由に「品ぞろえ=フルライン・フルカラー・フルサイズ」が無い事が十分想定されます。