クーデター倶楽部 2025年7月 07.31
クーデター倶楽部
第3章 現状の課題と対策
項目2-3 組織
我が国の企業組織といえば新卒一括採用、終身雇用、ジョブローテーションによる出世型、プロフェッショナルを育てるよりかはゼネラリストを育成するのに向いた組織です(メンバーシップ型)。しかしここ数年、これでは硬直した組織の立て直しや、時代に即応できる人材が育成できず、スピード感を以て専門課題に取り組むことが難しくなってきています。専門職のプロには幅広い知識と深い判断力が求められていますが、現状のメンバーシップ型ではプロが育ちにくく、自社の独自性が発揮できず同業他社と同質化する傾向があります。IT技術が企業活性化の原動力となる現代、自動車自動車メーカーから百貨店・スーパーに至る迄、戦後の日本型企業組織はその機能を享受するには充分とは言えないものになってしまいました。
まず通常の業務にIT機能を導入する部署の設立が不可欠ではありますが、部署を創設するだけでは効率的な組織へと改善できる訳ではありません。現状の組織上の問題点や運用上の問題点を明確にする必要があります。その為には何の為にITを導入し、何を目的とするかを明確に掲げる必要があります。基本的には生産性を上げるためといわれますが、自社の生産性を上げ、効率的な業務へ改善するために必要な事柄を全て確認し、それを一つ一つ改善する為に何が必要がか明確にすることが先ず求められます。更に最も重要な事は組織を運営する社員(および経営層)の意識改革です。新たなソフトを導入したり機械化したり、作業効率を上げるといっただけではだめなのです。それには社員から『どうすれば作業効率が上がるか』といった現状の作業をどうしたいか、どうすれば生産性が上がるかを現場から見直すことが重要なのです。しかし間違えてはいけないのはイレギュラーな、又は稀な事例や案件迄対応しようとするとソフトが重くなったり、ほとんど使われないものがソフトが多量になり結局複雑且つ高額なものになってしまうのです。これは注意すべき点です。
百貨店では利益が薄い事業構造故、売上が下がると人件費に手を付け利益改善を図る構図が永年続けられてきた結果、後方部門では人が余り、店頭では人手不足といういびつな構図になっています。消化仕入れ拡大により店頭人員が要らなくなったことが最大の要因ですが、正社員はは非正社員や派遣社員の監督指導等が主たる業務になったり、会議の為の会議資料作成や、中間管理職の保身の為の膨大な手元資料を作成するため、本来業務が疎かになり、日本企業特有のピラミッド型組織に意思決定を求めていく方法においては現場としての有効な意見具申ができず、経営判断に大いなる支障が出ていると言わざるを得ません。可もなく不可もない業務では優秀な人材が流出し、サラリーマン的な作業で満足する人材のみが残る傾向が大企業から中小企業まで広がっています。
ピラミッド型に意思決定を上に上げていく方法では、役員が現代のIT技術やAI活用の為の基本知識に欠けるため、新規案件は否定されているのが現実です。また決済を望む案件も中間管理職が自己保身の為、成果を上げるためのリスクを嫌がり、その時点で上程を止めるか忖度して、前年踏襲主義で可もなく不可もない案件に修正されてしまうことが多々あります。結果企業は前年踏襲型の安全な政策しか採らず、時代に世界に、消費者に置いて行かれてしまうのです。
かと言って全面的にジョブ型が良いかは業種によります。幅広い知識が管理者に求められたり、異業態や異業種迄知識を求められる業種にはメンバーシップ型が良いですが、細かく業務内容を見るとジョブ型が不可欠な職種も多数存在します。百貨店やスーパーでは現場に特化したジョブ型(プロ販売員)が不可欠ですが、どうしても企画部とか宣伝部とか言った部署より格下に思われ、賃金や昇格も遅いのが現状です。それ故評価制度も厳格化し、現場や後方の賃金&昇給格差をなくす政策が求められます。昔提案して一蹴されたのですが、百貨店販売員の役員が居ても良い、いや必要なのではと提案しましたが笑らわれて終わりました。しかし新入社員が偉そうに百戦錬磨の販売員(そのほとんどが派遣社員ですが)の前で演説をぶっても誰も聞かないのは当たり前のことです。戦略を立てる部門はメンバーシップ型とジョブ型が同居した部署が最適で、現場はジョブ型が最適だと思われます。
それに加えて即戦力を確保するという意味で中途採用を大幅に拡大すべきです。現在の組織では急激なジョブ型に変更するにはかなり無理があります。会社の全体を把握しなくてはメンバーシップ型でもジョブ型でも最適な提案はできません。故にジョブ型では即戦力として中途採用が不可欠になってきます。その為には明確な評価基準が必要になってきます。売り上げ数字だけの評価ではなく、何人個客を集客・獲得したか。来店人数をどれだけ増やしたか。顧客販売単価や点数をどれだけ上げたか。誰だけ売場の情報を顧客に発信したか、などを評価基準に加えるべきであります。業務上の具体的目的を数字で付与し、結果を評価する。
従来の総合職的発想を捨て、専門職の新規開発や大幅な中途採用、外国人起用、現場販売員の役員登用。昇給の為の子会社での現場作業経験3年を導入など、要するに人員 数ではなく社員の能力開発を早急に行い、能力評価型組織にすることが必須事項であります。これから人手不足が解消される見込みは全く無いと言えるでしょう。それなら今居る人員をより効率的に働いてもらうために、無駄な作業を止め、スキル向上の為の社員教育をリスキングを強化し、能力給を取り入れていくしか方法がありません。人事部は外から講師を招くだけではなく、今居る社員を有効活用する為に50歳代と30歳代の社員を組み合わせて講師にするなどの手法を考えるべきです。