世界が相手に №1
日本のモノ造りレベルの高さは世界的に定評があり、高い技術力や丁寧な仕事に絶対的な信用を得ています。しかし戦後70数年経ち、日本のモノ作りが曲がり角に来ています。理由の一つは日本型組織=会社に制度疲労が起きていることです。成功体験に裏付けられた前年踏襲主義が時代の急速な変化に対応できず、対処療法的な組織変更や業務変更ではピラミッド型日本社会を時代に遅れず動かすことができなくなっているのです。時代対応のスピード感が全く足らないといえるでしょう。それゆえ、データ改ざんやねつ造が多発し、商品に対する信用を著しく毀損してしまったのです。二つ目は消費者意識が大きく変化してモノへの価値観が多様化し、従来型の大量生産大量消費は立ち行かなくなったのです。更に価格は抑えられ品質は向上させねばならず、今までのモノ造りでのコストカットや販売経費削減は限界まで来ており利益を確保することは到底難しくなっているのです。ではこれからのモノ造りはどうすればよいのでしょう?
方法は2つあります。1つ目は日本国内市場だけを見るのではなく、初めから国際市場で戦うことを想定したモノ造りに変わっていくことです。現在ではあくまで国内向け商品の海外向け改良版でしかなく、それも低価格路線でしかありません。日本の高い技術に見合った価格設定は残念ながら全くありません。その原因は「デザイン力」の不足にあると断言できます。どうしても日本の特徴を出そうとすると伝統的な「和」を出すのが常套手段で、「現代」の日本を前面に出したモノは全くありません。確かに琳派は人気ですが、草間彌生のほうが圧倒的な広範囲な層に支持されているのです。要は世界共通ニーズに対応するデザインを入れるのです。車からファッションまで、欧米の真似では欧米はもとより東南アジアでも支持されるはずがありません。憧れの日本でしか造れない高レベルのモノ造りに日本感性で独自のデザインを以て、世界市場に打って出るのです。初めから世界を相手にするには事前のマーケティングは欠かせず、生産量の設定から販売スケジュール、国別の価格設定、投入時期から宣伝戦略まで気の遠くなる作業がありますが、世界企業は既にやっている作業に過ぎません。今からでも全ての業種で行うべきです。