コロナ禍からの復興2021№8
「安くて良い」商品が市場を席巻したせいで、巷は「低価格」だけが商品みたいな風潮が広がっています。確かに低価格でも良い商品は重要ですが、誰もが同じものを着たり持ったりしていては消費者は満足しないものです。ブランド名を付けただけで高い商品は論外ですが、多様化する消費ニーズに対応するには消費者ニーズを細かく把握すると同時に各小売業やメーカーは自社商品を再度見直し、自社のオリジナル性を磨くことが最重要課題の一つになります。安易に安価な商品創りばかりしていては、いずれ飽きられてしまいます。
これからのモノ創りは「made in japan」を徹底して追求しJapanオリジナルをブランド化すべきです。衣料はDCブランドで世界制覇をした実績がありますし、Kawaiiは世界の若い世代を魅了しました。それなのに日本ブランドは車と醤油以外の認知度は無いのが現状です。エルメスのスカーフは横浜で、シャネルの眼鏡は鯖江で、アルマーニのコートは青森で創られています。プラダのストレッチ素材は東レ製だし、ティファニーの指輪は甲府で創られていたなど世界のブランド商品は少なからずmade in japanにもかかわらずです。
日本製品は本当に良いものがあるにもかかわらず、ブランディングが下手で、宣伝も中途半端ゆえ一般への認知拡散が少ないのが最大の欠点です。百貨店で売っているものは良いものという認識は50代以上で、若い世代には全く浸透していませんし、ただ高く敷居が高く行かない消費者は増え続けています。実際、百貨店のオリジナルはほとんどなく、どこででも売っている商品がほぼ100%です。
こんな状況下では高所得者層は完全に日本製品に見切りをつけ、海外有名ブランド嗜好になるか、独自にオーダーしているのが現状です。サービスも同様です。「煩わしいから販売員は寄ってきてほしくない」という誰が調べたか判明しない謳い文句で、メーカーや小売業も人を減らし人件費を削減することを目的化し、セルフ販売が当たり前のような感があります。一方街の専門店では派遣の、商品知識が皆無と言ってよい、時給制ゆえ、ただ居るだけの販売員が多いのも事実です。要するに商品も販売員も時代に合っておらず、不要になってしまい、売れないのです。
今迄、大量生産大量販売がこの国の小売業の基本施策に長らく据え置かれてきましたが、今日、個人向けの施策は全く機能しなくなって居る事は明らかです。新・旧富裕層を捉えるためには確実に従来の商品創りから販売方法まで全てを作り変える必要があるのです。マス対応から個対応を本格的に実施しないと手遅れになってしまう事は明白です。
新しい顧客層に対応する為に、商品品や販売手法以外にも換えなくてはいけない事があります。
それは、新しいMD店舗では店頭在庫負担増になるため店間物流の整備や処分ルールの設定が重要になります。如何に効率的に商品を回転させるか、必要なものを必要な客に必要な時に届けるかが勝負だからです。販売員の顧客別接客の再教育も必要です。更には来店顧客を瞬時に把握する為に会員登録が絶対条件となりますので、初回購入あるいは入店時に顧客カードを提示瞬時に顧客データが出てくるくらいの設備投資は絶対条件でしょう。
販売員が顧客の顔を御覚えるのは重要ですが、上得意顧客以外の顔を覚えているというのは不可能に近いのです。だからAI技術の力を借りて瞬時に顧客を認識できるシステム等の近代装備が今後の店舗には不可欠であります。内装が良いだの綺麗だのはニの次三の次になり、まずは近代装備AIを装備した実店舗が早急に求められます。
個の実店舗実現の為には、初回購入時や来店時に顔写真を含んだ顧客カードを創る事が不可欠になりますが、それ相当のインセンティブが必要です。購入していただいたお客様には店のインスタグラムに掲載するとか、今週のベストコーディネート顧客には外れなしのポイント付与等が効果的かもしれません。来店しただけの顧客には顧客のコーディネートをインスタに上げるのでぜひ写真を、と言うのも効果的です。このように最初の1年間はデータ集積に邁進し、取れたデータを分析し顧客の感性ニーズを確立させていくのです。
この実店舗への転換がなされなければ、従来通りの販売員の感に頼った、或いは売らんが為の嘘に塗れた接客で、売り上げだけ上がれば良いという1回のみの当ての無い戦いが繰り返されるだけに留まってしまいます。