IT時代の新しい売り方№4

40代・50代の彼女達が現在の実店舗で満足できない理由の第一は、実店舗にフルアイテム・フルサイズ・フルカラーが揃えられていないからです。

取り寄せで買うくらいならネットで買ったほうが早いからです。わざわざ実店舗に行っても購入したい商品が揃っていないのでは行く価値がまずありません。

大手ファッションメーカーのONWARDは試着中心で購入はネットという専門店を開発します。「ONWARD・クローゼット」は郊外のSCに50数店舗展開されますが、現状の婦人服17ブランドを一堂に会し、其のブランドサンプル品のみを置き、購入はネットでもその場でも可能(一部サイズ・カラー・アイテム取り寄せ?)になるそうです。

ただかなりの大型店にならなければ全アイテム・全サイズ・全カラーを展開できないため、郊外では採算が合っても都心の家賃が高い場所ではなかなか効果測定が難しそうです。

この方式だと余計な在庫生産や展開をしないで済むため生産効率は大幅に向上します。百貨店商材が中心なので試着ができ、触って見て確認できることはミセス層には安心でき、大変良いアイデアだと思います。

第二に販売員の「売らんかな」という姿勢です

サイズが合わなくても「お似合いです」は無いだろう,馬鹿にするな!が消費者の声です。商品に関する知識も充分教育されているとは思えません。

「消費者が欲しがる商品が無ければ似たような代替品を売れ」というのが小売販売の基礎として教わることなのですから。 現在は販売員より消費者のほうがより知識も多く、色々なブランドを横断的に見ているので、自社ブランドしかみていない販売員では情報面で勝てません。

それゆえ、コーディネートやTPOなどの深い専門的なアドヴァイスをできるような販売員育成が不可欠になってくるのです。もっと言えば其の商品を着て、何処へ,誰と、いつ、何をしに行くかわかればそれに関するすべてにアドヴァイスができるコンセルジュとしての販売員が求められるのです。

かつて消費者は、第一段階に何を買うか、第二段階に何処で買うか、第三段階で誰から買うかと、消費傾向を変えてきました。そして今正に第四段階でどんな人から買うかという段階に入ったのです。

なぜなら買い物に費やす時間より自分のライフスタイルを豊かにしてくれるコトやモノに時間もお金も割きたいのですから。もはや買い物は最優先課題では無くなっているのです。 ではどうしたら一番消費にお金を使うこの年代層を取り込めばよいのでしょう。

第三に店舗がブランド別になっている割には同じ生地、同じデザインでタグを変えても全く分からない商品が多すぎるため、消費者としてはコーディネートの為にはいくつかのブランドの実店舗を渡り歩く必要が有り、現代の女性たちには受けないのです。

先ほど述べたONWARDの実験店は17ブランドを集合させる店舗なのでこの点は解消されるでしょうが、意外と同じような商品が多く、かえって消費者は戸惑ってしまうかもしれませんね。

実際今後中高年層はネット販売に傾斜していくでしょうが、サイズ確認は勿論、高額品や素材が気になる商品などは実店舗で試着をしたいという欲求は無くならないと思われます。それゆえ今後はネットでも実店舗でも買える店というのが主力になるでしょう。

しかし、すべてがそうなるとは思えません。実用品や消耗品は充分ネットで、ちょっと高級品はネットで見て実店舗で、あるいは其の逆という流れが主流にはなるでしょうが、店が無い地方や高級高額品が欲しい場合はネットだけで消費者は満足できるのでしょうか?特に新富裕層や旧来からの年齢層が高い富裕層は実店舗での商品を自分で確認してからでないと購入しない傾向が出始めています。

では実店舗はどうなっていくのでしょう?あるいはどうあるべきなのでしょう

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