新しい時代の小売り業№1
コロナ禍により判明した日本社会の弱点が3つあります。
一つ目はデジタル化の世界的流れから全く取り残されていたこと。二つ目は政治家を初め上場企業のトップが時代の流れを読めず変化を嫌い前年実績主義を重んじるサラリーマン国家に成り下がり果てていたこと。三つ目は世界一の製造業国家というのは幻影であったことの三つです。
一つ目のデジタル化社会への社会構造の変換は順調かつ速やかに行われているものと一般庶民は思っていた筈です。今やどの家庭にもPCは存在し、スマートフォンの普及率は9割を超えているからです。完全なる生活必需品であり、無くてはならない存在だからです。旧来のTVよりNet配信を、地図よりgooglマップを、shopping行くよりAmazonのほうが便利でお買い得、というように生活のいたる所でIT化が入り込んでいるからです。
しかしそこには大きな落とし穴が在りました。それは行政です。
民間はとっくにIT化にどっぷり漬かっていましたが、行政はそうではなかったのです。予算の壁?いやそうではありません。縦割り行政の悪弊が大きく表れた結果です。各省庁のデジタル化推進を横断して調整・進捗させる部署が無いため、各省庁、各組織、各機関、各部門、毎に勝手な機器導入やソフト開発を行ったために各機関が連携を取り速やかに今回のような危機対処が取れないのです。
データ化された名簿をメールで送信しても、それをプリントアウトして各担当に配布するなどといった行為は日常茶飯事に行われ、そもそも全ての資料がデータ化されていない為、全ての作業が手作業で行われる羽目になったのです。結果、ワクチンの適正配布計画もできず、飲食や物販、観光業など休業させるだけさせておいて、補助金などは半年近い遅れでの支給といった状況です。
選挙目当ての小池都知事などは毎日TVに出演し自粛要請ばかりバカの一つ覚えで言いますが、それと対に報告されるべき補助金については一言も発言しません。補助金配布作業は一から申請に対して手作業で行っており、実際に補助金が下りるまで早くて三か月、遅いところは六か月などというところもあります。補助金なしに営業中止を求める事は零細・中小企業にとり死ねという事と同義語なのです。やるべきことをやらず国民に我慢を強いるだけの無能な政治家や官僚はいりません。
また大衆受けを狙った一部政党の一律同額補助金配布は三ちゃん商業には利益をもたらし、従業員を一人でも抱えた企業はもはや青息吐息の状態が続いています。これもきちんと行政が企業内容や情報を把握していれば、例えば納税金額に応じて補償金を出すとか、社員数に応じて出すとかできたはずです。
これも正規社員を少なくして非正規社員を増やし賃金効率を上げようとする経営者の厭らしさが垣間見れます。同時に既存利益を守ろうとする労働組合が非正規社員や実習生の受け入れを拒否し、あらゆる規制を敷いているという側面もあり、これは第二の項目で詳しく話したいと思います。
要するに行政は企業の個別データも、個人データもばらばらでしか所有せず、それも法律的に個人情報保護の下、無制限に野放しされており、今回のような非常事態に対欧ができないでいたのです。個人の自由を貴ぶ米国でさえ社会保障番号で、他国は身分証明書で個人を管理しています。わが国だけができていないのが現実です。政府がかつて推進しようとした「マイ№制度」は野党やマスゴミの「人権侵害だ」という公共性を無視した独特の自己論理の前に頓挫し、結果、今回のような事態には全くその機能を発揮することができませんでした。
その根本問題はIT時代に個人情報をどう扱うか、「誰が、どこの範囲まで利用可能か」といった基本問題の検討が成されずただ作業にPCを導入しさえすればデジタル化という認識しか無い政治家や行政の責任であります。個人情報保護と公共性の保護という最大の課題は、デジタル化社会対応の為に如何に効率よくデータを収集し、クラウドで連結し、検索しやすくするかという機能とルールの確立と、個人データの保護をどこの機関がどこまでどの様に規制するかという事を透明性を持った法律に明確化することです。特に行政では組織を横断した基本法の策定が望まれます。
世界の国々では政府が率先してこの新時代の革命的技術をどう使うか、そのためのルールをどう創るか、という大きな視点で研究しています。世界が時間と空間の壁が取り払われたので国家の管理という今迄の概念では企業や個人を把握することができなくなるからです。特に税金という国家収入面で大きな影響が在るからです。GAFAをはじめ国家をしのぐ力を持ち、何処の国に所属しているか不明な巨大企業が出現し始めたからです。
それはこれらの大企業の資金源が世界中の人々の行動データであることから、一国家が当該企業の経済活動を規制できなくなっているからです。そのため、個人データをどの様に管理し、どの様に利用させるかが国家の大きな関心毎になっているのです。中共のように国家が企業が集めたデータを全て把握できるよう法律を制定する動きも出始めています。こうなるともはや経済活動を超え、思想統制する可能となる国家統制が可能となってきます。
だからこそ、個人データはどう扱われるべきか、腫れ物を触るように伸長に、だけれど早急に法的整備を図る必要が在るのです。もはやPCを導入すればデジタル化などというレベルでは世界から取り残されるどころか、巨大企業に食い物にされることは目に見えているのです。