新しい時代の小売り業№2
二つ目の弱点は、既存の各種行政組織や上場企業が時代の大きな変化を読めず、かつ自分達の既得権を守るために変化を嫌い、業界毎や地域毎に多数の「規制」を敷き新しいことに前向きに取り組まない、社長から新入社員までサラリーマン化していることです。
ITの技術革新は第4次産業革命として社会を根幹から変える力を持っています。独逸が「インダストリー4.0」としてIOT普及を国家プロジェクトとして2011年に発表されたのが始まりでした。この10年で産業界のコンピューター化による効率生産化、品質の安定化や向上、改善も大幅に進化しました。社会は生活の利便性だけでなく生活様式を一変させ、新規に登場する企業と時代に対応できず消えていく企業が明確化しました。
これからは更にビッグデータやAIによる最新バイオテクノロジーの融合により、医療・工業・農業・エネルギー産業など様々な分野で活用できると期待されています。また人口問題・食糧問題・資源エネルギー問題・高齢化社会といった現在社会が直面する課題解決策になるうるとして期待されています。
このテクノロジーの最大の効果は、地球環境を保全し貧しい隣人を恒常的に援助し自立することを促し、人々が皆安全に楽しく暮らせる社会を皆で創っていこうという気運を技術面で協力に後押しすることができるという点です。これからの社会のキーワードである脱炭素化やSGDsはこれらのIT技術無くしては成しえないことなのです。SDGsを企業の旗印に掲げるには今あるITテクノロジーを十分理解して、自社にどの様に活用できるか考えなければなりません。それがまず第一歩なのです。
しかし、技術は進化してもそれを使う人間が変化に付いていけなければ全く意味が在りません。今回のコロナ禍では三密を避ける為にリモートが初めて導入されましたが、一部上場企業の日本を代表する大企業の社長が「リモートは効率を下げる」として廃止し、全社員出社に戻したそうです。そこにはSGDsの意味を全く理解していない経営者の姿が見えてきます。
単にコロナ禍中での生産性維持を従来通りのやり方で維持しようとすることは、戦前の日本の精神論そのものです。満員電車で通勤させ、万が一にも職場にコロナウィルスを持ち込みクラスターが発生した時のリスクを考えなかったのでしょうか?それより災い転じて福となすとばかりリモートを積極的に取り入れ、将来の働き方改革をテストし、本社ビル維持費や通勤費更には業務の新しい評価制度導入や新しい個人予算の組み方の研究などに繋げようとは思わなかったのでしょうか?
医師会は自粛を強制しながらこの2年間、緊急時の医療体制構築を怠ってきました。既存の病院施設に責任の全てを押し付け、「残りのベッド数がどうのこうの」しか言いません。一般診療が崩壊すると脅しておきながら、リモート初診は医師の収入減になるからと頑なに反対しています。薬剤師や歯科医師による接種に対しても、医師の問診が不可欠故見た目ない方針を出し、同時大規模接種を妨害しました。また、看護師免許を持ちながら家庭に埋もれている方々を再度臨時的に再雇用する制度を立ち上げ、人手の足らない病院や大規模接種会場に派遣するなどの対策は考慮しなかったのでしょうか?これも臨時収入より所得税が上回るからと実施されませんでした。
大量の外国人をオリンピックで見込んでいたタクシー業界は、人の代わりに荷物を運ぼうと希望したら運送業界の規制の前に敢無く計画は頓挫しました。結局は運送業界保護の為の各種「規制」の壁が立ちはだかったのです。在宅が増えた結果、宅配業務が大幅に増え、人手が足らず配送が大幅に遅れているにも拘らず、既得権益団体は大きく改革の前に立ちふさがったのです。
また経営者団体である経団連は今回のコロナ禍に企業としてどう政府に協力するのか、あるいは独自の対策をだすのか、そのどちらもしませんでした。リモートするのに端末が無い、或いは安全性に問題がある、などの場合に緊急対策として産業界全体での対応策を提案すらしていないのです。人流を避ける為に各社のリモート率発表や在宅勤務率などを毎週発表することさえしません。中小・零細企業は実際出社しなければ業種は沢山あります。しかし大手は交代出社でも十分企業として回っていった筈です。零細企業にも補助金支給以外に共同で使えるクラウド提供を行うとか、共有ソフトを提供するとか、何かできたはずなのですが、やはり業界TOPがITに対する知識や認識が無ければどうしようもないのです。
またリモートは家庭環境でのPCでは秘密保持上問題があるという意見が多数ありました。今迄その問題が放置されていたのは家庭での業務遂行が想定外だっただけではありません。自社のネットワークの安全対策が不十分だという認識が企業上層部に無かったからです。何処でも、何時でも、誰からでもアクセスでき、自由にデータや情報を取れるメリットと、秘密データや情報を全く外部から取りこめてしまう危険性を真剣に検討してこなかったつけが回ってきたとも言えるでしょう。これも企業のシステム担当がシステム担当役員に説明しても理解されないからだと、かつて言っていたことを思い出します。