クーデター倶楽部 2025年 再生元年

初めに

日本の小売業が大きな岐路に立たされて10数年経ちます。ITの急速な発展とそれに伴う消費ニーズやライフスタイルの劇的変化を理解できず、無策の内にズルズルと時間のみが過ぎた事が主な原因です。その間大都市部中心に膨大なインバウンド客が雪崩込み、ラグジュアリーブランドをはじめ、薬にお菓子といった土産品まで所謂爆買い現象が発生し、ひとまず都市部の大型店はコロナ前近くまで業績を戻しています。しかし目先の売上にのみ一喜一憂し、ITが齎す更なる影響の拡大を小売業としてどう導入し活用するか、その為に小売業態自体を根本的に変革させていくという課題をすっかり忘れてしまったのです。今のままのインバウンド頼みの経営ではその恩恵を受けない地方の大型小売店舗のみならず、今の業態では大型小売業はほぼ全滅するしか道は残されていません。人口の減少に相まって地方の百貨店や総合スーパーは閉店ラッシュで、業態としての大型小売業の衰退はすでに始まっています。

大型小売業とは、広義のサービス業(サービス・接客・商材)と言えます。特に百貨店は世界の一流品や国内の上質な商品を幅広く揃え、高級オーダー品から食品まで品質の良さを商品知識豊富な販売員から非日常な空間で購入でき、消費者に夢と商品に対する信用を提供してきました。塩一つ買うのも近所のスーパーで買うのと優越感が違い、ギフトならその包装紙が齎す贅沢感は他では得難いものでした。総合スーパーはその膨大な品揃えを低価格で提供することにより、所謂ワンストップショッピングを従来の価格より安価に且つ安易に購入できるMDで生活密着型として成長してきました。地方ではなかなか買えない商材が安価で大都市と変わらず簡単に手に入るようになり、地域住民の生活を間違いなく向上させてきました。

しかし今日、消費者はどちらの業態にも背を向け始めています。

百貨店に対して消費者は「買い物」をするのに豪華な環境・設備、丁重且つ的確なアドヴァイスを含んだ接客により、とても優雅で煌びやかな時を過ごすことができたのですが、現在では効率化一辺倒の政策が長く続き、消費者ニーズの変化を「モノを売る」という観点でしか見ていません。効率化とリスクヘッジの為に消化仕入れを拡大し続け、販売員すら自社社員ではなく、商品知識のないアルバイトに毛が生えたレベルの販売員しかおらず、見せ方、売り方まで消費者ニーズに対応出来うるものではありません。遅まきながらのネット販売は先行する企業から既に業界スピードでは100年程後れを取り、IT技術をもってして何ができるのか全く理解も研究も遅れてしまいました。MD的には他社や他店との同質化が顕著となり、何処へ行っても何処で買っても同質化してしまい、消費者の望む商材、売り方、見せ方に全く対応できていないのです。このような状況ではネット販売に対抗しうるはずがなきのです。

総合大型小売業であるスーパーは「他業態より圧倒的に安い」を謳い文句に、世界中から国内まで朝早くから夜遅くまで生活用品全般を低価格で提供することにより、消費者のニーズに応えてきました。特に食品は直ぐにでも食べられる調理済み品から、冷凍・冷蔵製品に関しても、圧倒的品数を誇り大家族でも1人でも利便性では日常生活には欠かせない業態で始まりました。しかし最近ではオリジナル商材で価格を更に下げた専門業態スーパーや大型専門店にMDで負け、利便性ではコンビニ業態に完全に包囲されてしまったのです。単なる価格競争では立ち行かず、消費者の求める利便性ではコンビニに勝てないのです。何でも有るは何も無いと同義語となってしまったのです。

どちらも業態も、消費者ニーズがIT革命によりその生活の中の価値観や生活スタイル全般を変えてしまった事に全く気付かなかった結果なのです。

今日の消費者は小売業に何を求めているのでしょう。

今年は大型小売業の、時代に即し、消費者ニーズに合った業態開発について研究を進めていきます。

本年度は「百貨店の再生」を図るべく、現在消滅の際に在る百貨店業態を根本的に変革させ、次世代にも残る消費者に支持される業態開発を提案いたします。

第1章 百貨店衰退の本質的原因

第2章 百貨店は何の為に存在するのか

第3章 現状の課題と対策

項目1 再構築すべき顧客第一主義

徹底した消費者ニーズの獲得&分析を行い、それを基にMD・サービスの新規構築を行う。

項目2 組織のと再構築&活性策と人材育成

マーケティング戦略部・経営戦略部・IT戦略部・営業戦略部・人事戦略部・宣伝戦略部などを再編及び新設し、時代に                        合った具体的目的を付与し、数字で図り結果を評価する。従来の総合職的発想を捨て、専門職の新規開発や大幅な中途                        採、外国人起用の道を開く事。現場販売員の役員登用。昇給の為の子会社での現場作業経験3年を導入。要するに人員                          数ではなく社員の能力開発を早急に行い、能力評価型組織にすること。

項目3 IT技術の応用策開発

徹底した機械化による省人手化と、対面接客時の活用策、来店促進策、新規顧客データ獲得策と新規分析

項目4 消費者ニーズ対策のMD

消費者の望むMDとは、従来型仕入方法からの脱却・新規売り場開発=MDmix型売場・此処でしか買えないもの、                        ネット販売との対抗・PB復活・買取政策拡大「モノ」ではなく「コト」販売の強化/ショーの開催・制作現場公開・新                         規文化催&商品催

項目5 コラボの推進による新業態開発

ラグジュアリーとのコラボ開発(商品・ショーの導入)やライフスタイル型売場開発(カフェ+カジュアルレストラン+             本屋+作業場など)異業種mix

項目6 新たな集客策

新たな価値観で自分のライフスタイルを持つ消費者をどう集客するか。従来の媒体ではなくどう「コト」を形にするか。                消費者に取り興味があるものをどう集客に結び付けるか。

項目7 社員がどう幸せに生き生きと仕事ができるか

サービス業の根本要素である社員の為の対策。

これらの課題と対策を各項目毎に検証していきます。

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